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オズのモジャボロ

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第六幕その五

「これが何か」
「全く」
「こんなもの見たことないです」
 ナターシャが二人に真剣な、それもいぶかしむお顔で言ってきました。
「何でしょうか」
「あれっ、まさか」
 ですがここで、でした。恵梨香だけは。
 その粉のものを見てです、こう言いました。
「おからじゃ」
「おから?」
「おからって?」
「私も久しぶりに見るけれど」
 この前置きからも言う恵梨香でした。
「これおからよ」
「ほう、おからというのか」
 ここで王様も恵梨香に言ってきました。
「これは」
「あれっ、御存知なかったんですか」
「最近我々は大豆を食べているね」
「はい、実際に」
 見ればその大豆の料理もあります、それでなのでした。
「美味しそうですね」
「豆乳も飲んでいてね」
「じゃあ豆乳を搾って」
「その残りカスがね」
 この粉だというのです。
「我々はただ搾りカスとだけ呼んでいるのだが」
「これおからっていうんです」
「そうなのか」
「日本だけにあるみたいっていいますか」
 ここでこうも言う恵梨香でした。
「最近日本でも食べなくなっています」
「そうなのか」
「お豆腐はや豆乳は食べますけれど」
 それでもだというのです。
「おからはもう食べなくなっています」
「お豆腐は私も大好きだけれど」
 ナターシャも怪訝なお顔で言います」
「おからなんてものがあるのね」
「僕もはじめて見たよ」
「僕もだよ」
 ジョージと神宝も言います。
「お豆腐はアメリカでも今は結構食べるよ」
「お豆腐は元々中国で出来たものだけれど」
「その搾りカスとかはね」
「見向きもしないよ、もう」
「私も久しぶりに見たわ」
 またこう言った恵梨香でした。
「食べたことも殆どないの」
「恵梨香ちゃんもなんだ」
「そうだったんだ」
「ええ、物凄く安いけれど」
 それでもだというのです。
「お豆腐とか豆乳の方を食べるからね」
「しかしこれが滅法美味しいのだよ」
 王様がここでこう言ってきました。
「我々にとってはね」
「兎さん達にはですね」
「そう、我々の新しいご馳走だよ」
 このおからもまた、というのです。お豆と共に。
「今も食べているよ」
「そうですか、それじゃあ」
「さあ、食べてくれるね」
 王様は陽気な笑顔で皆に言いました。
「このおからも」
「実は美味しいのよね」
 ドロシーもおからの味そのものにはこう言うのでした。
「じゃあ今からね」
「うむ、皆で食べてもらおう」
 こうしてでした、皆で。
 その兎のご馳走を食べました、勿論おからもです。皆は兎の国のお料理も楽しみました。それが終わってからでした。 
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