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貴方がいなければ祖国もない

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第三章

「リアルで」
「本当に恐ろしい国だな」
「ただ悪いだけじゃなくてね」
「そうした有り得ないことがな」
「全部当てはまるなんて国本当にあるよね」
「確かにとんでもない人でとんでもない国だけれど」
 僕もこのことは否定しなかった、小学生が見てもどちらも洒落にならない位悪い人で悪い国だと確信出来た。
「見ていてネタだよね」
「本当にな、ここまでくるとな」
「普通有り得ない位だから」
「ギャグ漫画に出ても不思議じゃないな」
「特撮の悪役とかにも」
「僕そう思うよ」
 本心から思った、まさにネタだと。
 両親も僕の言葉に納得してくれた、そして学校でも皆に話すと関根勤さんみたいに手を叩いて笑顔でこう言ってくれた。
「そうだよ、あの将軍様凄いぜ」
「あのファッション最高よ」
「パーマにジャケットにあの靴」
「もうそれだけで笑えるし」
「やってることがもう」
「完全にギャグよね」
 男の子も女の子も笑って言ってくれた。
「軍隊ばかり多くて」
「国民は餓えてて」
「悪いことばかりしてて」
「しかも美人侍らしてね」
「自分だけ贅沢とか」
「普通しないぜ」
 皆もこう言う、そして。
 女の子は将軍様についてだ、こんなことも言った。
「正直彼氏にしたくないわよね」
「あんな人と結婚したくないわね」
「顔とか背とかの問題じゃなくて」
「あんな性格駄目」
「アウトよ、アウト」
「絶対にね」
 女の子達は見事なまでに本音を語ってくれた、そして。
 そのうえでだ、男の子達も言うのだった。
「あの軍服もないよな」
「あの軍隊の軍服も」
「何か妙におかしくないか?」
「生地が悪くてな」
 参考は自衛隊の人達だ、あの人達は格好いいけれど。
「帽子変にでかくて」
「デザインおかしくね?」
「肩章か、肩にあるの」
「あれが妙に大きくて」
「バランス悪いぜ」
「迷彩服もセルみたいだぜ」
 ドラゴンボールの敵だ、皆これで通じた。
「白マントとかな」
「雪の中から颯爽と出て来る」
「それに自爆する犬な」
「犬をいじめるなっての」
 将軍様よりも犬だった、皆が心配するのは。
「本当にな」
「どんだけふざけてるんだよ」
「というかまともな軍備ないのかよ」
「あるにはあってもな」
 それでもだった、あの国の兵器は。
「目茶苦茶古いらしいしな」
「自衛隊とは比べものにならないんだよな」
「ポンコツばかりなんだろ」
「食いものだって碌になくて」
「それでな」
 ここでだった、クラスメイトの一人が。
 ふと行進をしてみせた、その行進は膝をぴんと立ててやたらと足を上に上げるという随分妙な行進だった。
 その行進を見てだ、皆笑い転げてこう言い合った。
「そうそう、その行進」
「あの国の行進な」
「いつもそうするのよね」
「もう見るだけで笑えるっていうか」
「何であんな行進するのか」
「ちょっとないわよね」
「馬鹿みたい」
 男の子も女の子も笑い転げて話す。
「膝に悪いだろ」
「それで敬礼がこうで」
 表情を妙に目を見開いて口を尖らせてやたら大袈裟な敬礼をしてみせる、勿論あの行進をしながらである。 
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