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東方変形葉

作者:月の部屋
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日常の中に潜む非日常
  東方変形葉8話「花の異変の原因は?」

 
前書き
四季の花々が咲き乱れる。どう見てもこれは異常な光景である。
つまり、異変。
この異変は誰が何のために起こしたのか、それとも原因はもっとほかのところにあるのか。
視野を広げないと見えない世界がある。
たとえその世界が美しく、幻想的であったとしても。
 

 
「紫、これのこと?」
庭に四季の花々が咲き乱れていた。
「そう。これが昨日言っていた異変よ。」
「・・・じゃあ、手当たり次第調査しに行ってくるよ。」
スッとスキマを開く。
「あら、ヒントはなしで行くのかしら?」
「一からの方がおもしろいし、それに教えるつもりはないでしょ?」
「ええ。じゃあいってらっしゃい。」
「いってきます。」
そういって、空間を変化させ、外に出る。さて、どこからいこうか。



ここは・・・湖みたいだな。地図には霧の湖と書いている。ここになにかいるのだろうか。
「あ!にんげん!」
いた、妖精かな。
「ふふふ、さいきょーのあたいに勝てるかしら?」
なんか、すごい雑に喧嘩を吹っかけてきた。まあいいや。両者スペルカードを構える。

凍符「パーフェクトフリーズ」

変化「須臾の乱れ」





ふう、何とか勝てた。それにしても、なんか寒いな。とりあえず倒してのびている妖精を湖の近くの草地に寝かす。うわっなにこの冷たさ。もしかしてこの子がここを寒くさせていたのか?まあそれはいいや、次行こう。


「それにしても、どこに行っても花だらけだな。これだと埒があかない。」
「らら~ら~♪・・・あれ?人間だわ。」
翼のある妖怪だ、多分夜雀かな。
「花がたくさんあって気分もいいし、人間を襲おうかしら。」
「ずいぶん物騒なことを言うんだな。」
「ええ。こんなに歌い心地がいいのは何年ぶりかしら。こんな時は人を襲うのにもいつもより風情が出る。あなたはこの夜雀の恐怖に耐えられるかしら?」

鳥符「ミステリアスソング」

変化「須臾の乱れ」





よしっ何とか勝てた。先を急ごう。


しばらく進むと、・・・なぜか鍵盤をもった少女にあった。
「ソロコンサート開くわよー!」
「聞かせてもらおうかな。」
「あ、人間だ。ちょうどいいわ、私の演奏をはじめるわよ!弾幕の美しい演奏をね!」

騒符「ソウルノイズフロー」

不読「風に舞う桜吹雪」





ふう、連勝。先を急ごうかな。

※短縮のため弾幕シーンをカットし、扱いを雑にしています。この分は必ずしっかりと埋めますのでご安心ください。ここからは弾幕シーンも入ります。スペルは花映塚以外のを使っているときがありますが、ツッコミは壁にでもしてくださいね。


「もう、てゐはどこにいったのよ~、まだまだ仕事はあるのに~・・・あら?あなた確か・・・・」
「え?」
どこかで会ったかな?見覚えがないけど。
「たしか人形師の・・・」
「葉川裕海。」
「そうそう!師匠が興味を持っているというあの!」
なんのことだろう。この人は誰だ?兎の耳があるな。・・・あ、そういえば竹林の中の屋敷に行った時に・・・
「たしかうどんげさん・・・・かな。あの薬剤師さんの弟子と聞いたような・・・」
「鈴仙・優曇華院・イナバ!もう本名みたいになってきてるわね。」
「れ・・・れい・・?うどんげ・・・・?い・・・?」
長い名前だな、覚えづらい。おまけに呼びにくい。
「もう、わかったわよ。鈴仙でもうどんげでも好きに呼びなさい。」
「ああ。わかったよ鈴仙。」
「あ、そうだ!わたしに人形を作ってもらいたいのだけど、いいかしら?」
「ああ、かまわないよ。」
「まあそれは今度にして・・・てゐ・・・ピンク色の服を着て、垂れ耳のある幼く見える子、見てない?」
「見てないな。まあそれっぽい子がいたら連れてくるよ。」
「ちゃんと生け捕りでね。」
そりゃ殺さないよ。何の狩りだよ。
「じゃあまたね。」
鈴仙に別れを告げ、その場を去る。



「は~、珍しい花はないかねぇ。」
いた。それっぽいのが。選択肢は3つ。
1、 拉致
2、 説得
3、 気絶させて強制連行

・・・1と3はもう論外だな、というかほぼ同じだろ。2しかないじゃないか。
「ねー、そこの垂れ耳の君~」
「なに~?」
「鈴仙が君のことさがして・・・」
「だっ!」
わあすごい、あんなに逃げ足が速い兎さんはじめてみた。でも問題なし!こんなときこそ・・・
「こんなところで捕まってたまあああああ!!!!????」
俺特製の不思議な空間の裂け目に落ちていく。で、こっちに空間がつながるようにして、落ちてきた垂れ耳の子をキャッチ!
「うええ!?いまのなに!?なに!?」
橙ほどではないが、いい反応をしてくれた。
「いやいや、いきなりは連れて行ったりはしないから。ちゃんと君が逃げられる選択肢は用意してあるから。」
「あっなーんだ・・・ってあんた誰?」
「葉川裕海。聞いたことない?」
「あー・・・ああ!あの人形師の!!」
人形師・・・まあいいか。
「俺とスペルカード戦で勝ったら見逃してあげる。」
「もし負けたら?」
「さっきのように空間の裂け目にいれてから、鈴仙のところへ強制送還!おまけに縄で縛る特典付き!」
ふざけて言った。まあ縄は今持ってないけどね?
「・・・勝負!」

兎符「開運大紋」

変化「須臾の乱れ」

交差弾が襲い掛かるが、俺の細かな弾幕が打ち消す。だがこれではきりがないので、勝ちを取りに行く。

異変「異次元空間の大量発生」

隙ができたので、そこに叩き込む。
「こうなれば・・・」

兎符「因幡の素兎」

謎のでかい弾幕がぴょんぴょん跳ねまくり、異空間の弾幕を抑えている。それもたくさん出てくるからてゐに当てられない。てゐの背後に異空間を作っても、あの跳ねてるでかい弾幕が光弾を防いでいる。なんて便利な。
「あたらないか・・・ラストスペル!!」

「生生流転~死の境界~」

「こっちも!」

「エンシェントデューパー」

てゐは光線でこちらの動きを制限し、そしてかなりきつい弾幕を撃ってくる。こちらが苦戦しているように見せかけ、こっそり黒い弾幕をてゐの周りに囲んでいく。
「なっ!?いつの間に!?」
黒い弾幕がどんどん狭まり、大爆発を起こした。



「う~ん・・・負けたぁ~。」
「ふう、勝てたから約束通り強制送還ね。まあ縄はなしにしてあげるけど、力がしばらくうまく出せないように変化させておいたから。」
「ぬうう・・・」
空間の裂け目にてゐを入れる。



「あの子、ほんとにどこに行ったのよ!」
「わああああああああああ!」
「え!?てゐ!?おとと・・・」
「な、ないすきゃっちぃ~」
「いったいどこから・・・?」
「噂の人形師にスキマ送りされた~」
「ええ!?」



この異変、なんだかあまり危険な感じがしない。そういえば今日はやけに幽霊が漂っている気がする。もしかしたらさっきからたくさん漂っている幽霊が原因なのかもしれない。・・・ん?だれかきたな。
「・・・あら、あなたはたしか、この前に人形を届けに来た方ですね?」
「うん、そうだけど?」
この子、たしか妖夢っていう名前だったっけ。
「幽々子様に、会ったら一戦交えてきなさいと申し付かっているので、勝負です!」
「うぇ?いきなり!?」

餓王剣「餓鬼十王の報い」

妖夢が剣で空間にわずかな衝撃が走ったと思ったら、たくさんの弾幕があふれてきた。手ごわいが、隙があるので、そこに叩き込む。

狂変「皆既月食の紅き月」

紅い弾幕は容赦なく妖夢目掛けて飛んで行った。
「なっ!?一瞬の隙を突かれた!?ならば・・・」

獄神剣 「業風神閃斬」

一気に空間に切れ込みを何本も作り、ものすごい量の弾幕が飛び出してきた。これはきついな・・・

「生生流転~死の境界~」

黒い弾幕を妖夢の周りに仕掛けていく。そして大爆発を起こしたが、妖夢は脱出したようだ。だがこれで終わりではない。弾幕をかわしつつ、弾幕を操作する。
黒い弾幕から一転、色とりどりの弾幕が大量発生し、渦巻きながら妖夢を襲う。
「くっ!!ラストスペル!」

「待宵反射衛星斬」

妖夢が剣を構えた時、時間がゆっくりとなり、早く動きたくても動けない。そして解放されたと思ったら、ものすごい速さで斬りかかってきた。
「うわっ!?あぶねっ」
「さすが幽々子様がおっしゃっていた人間・・・お強い。だがこれまでです!」
いつの間にか数本の切れ込みができており、そこから弾幕がでてきて仕切りをつくり、さらに微量の弾幕が漂っている。おまけに妖夢が仕切りと仕切りの間から高速で斬りかかってくる。ならばあれを使うしかない。

「七曜弾幕大結界」

大量のスキマをつくり、スキマとスキマを一本の弾幕の筋を通し、逃げられないようにする。さらに火、水、土、日、月の5種類の弾幕が5方向からじわじわと妖夢に襲い掛かる。これで妖夢の視界を遮るとともに、動きを封じる。そしてさらに木と金の弾幕はホーミング弾なので、一瞬の隙が命取りになる。命を取るつもりはないけど。
「なっ!?しまっ・・・ぬあああああ!!」



「完敗ですぅ~」
「気は済んだか?」
「はい。あ、一つだけ聞いていいですか?」
「なに?」
「この花の異変をどう思います?」
この異変ねえ・・・う~ん。
「わかんない。なにか危なそうな感じもしないし、動かなくてもいいんじゃないかという気がしてきた。ただ一つだけ気になることがあって・・・」
「なんですか?」
「幽霊が多すぎる。」



「あ!」
「あ、魔理沙。」
「勝負!!この前のリベンジだ!!」
「え?」
ひえ~、この人の弾幕はパワーがあるから少し苦手だ。一瞬でも気を抜くとやられそうで。

彗星「ブレイジングスター」

光線の勢いを利用し、高速で突進してくるスペカ。前に勝負した時とは少し違う感じがする。

神変「空間の歪み」

周辺の空間を歪むように変化させ、俺が撃つ弾幕があっちこっちから出てくる。最終的にはこのスペカ効果の範囲のぎりぎりのところに集まるため、弾幕の壁がどんどん厚くなるため、だんだん避けづらくなる。これなら魔理沙はうかつに突進できない。ちなみに歪ます空間の位置は、俺が弾幕を撃つたびに変わるので、絶対にパターンはできない。
「ぬおっなんだこれ!?このスペカが使えないじゃないか!!うわっこっちからも弾幕がきたっ!?どうなってんだ!?」

魔砲「ファイナルスパーク」

巨大な光線で弾幕はすべて吹き飛ぶ。俺を消し去ると言わんばかりの威力だ。だがまだ俺のスペカ効果は終わっていない。光線をぎりぎり避けつつ、弾幕を撃ちまくる。
「くっ、しつこい弾幕だな。」
そういって周りに大型の星型弾幕を散布してきた。これでは弾幕は当たらないな。ならば・・・

「変幻自在の異空間 ~九尾の光線~」

スキマ的なものを多数展開し、そこから9つの細い光線を放つ。威力はそこそこ強く、隙は散布される弾幕によって埋められた。いわゆる万能型のスペルカード。さらに若干のホーミング機能が付いているためとても便利。少し読まれやすいのが難点だが。藍の尻尾を見て思いついたやつだ。
「こんなもの、すぐに消し飛ばしてやる!!」
またものすごい威力の光線を飛ばしてくる。少しきつい。怖すぎるだろあれ、あたったら痛いで済むのか?
うーん・・・せっかくのホーミング弾が払われてしまった。ならば、目には目を、歯には歯を。

天変「局地的大彗星豪雨」

俺が持っている唯一の極太光線スペカ。ただこれは、大きめの弾幕の弾が束になっている。つまり、当たると超痛い。ついでに威力もだいぶ強めだから、マスパ程度では敵わない。魔理沙が今使っているスペカも吹っ飛ばせる。
「うわっなんて威力だ!!こんなのはじめてだぜ!!」
「楽しそうだね。」
戦闘狂?
「ああ、もちろんだ。やっぱりここはあれを使う!!」

魔砲「ファイナルマスタースパーク」

マスパの強化版?あ、すごい強い。さっきのやつより強いな。だがこちらも負けてはいない。
「ぐっ!!これ言うの2回目だけど、なんて威力だ!あ、まず・・・ぐああああああああっ」

ふう、何とか勝てた。それにしても、光線の押し合いでものすごい手が震えている。
「いてて、なんだよあれ。超痛いじゃんか。くそう、リベンジ敵わず・・・おまえすげー強いじゃんか。私と魔法の研究しないか?」
「う~ん・・・魔法とかは苦手分野だから遠慮するよ。じゃあね。」
「ああ、またな。」
その時、ある人が現れた。
「あら、すごい音がしたと思ったら、裕海と魔理沙じゃない。」
「あれ、霊夢。」
「どうしたんだよ。」
魔理沙が聞いた。
「どーしたもこーしたもないわよ。異変だから解決に行くのよ。」
「裕海が邪魔するらしいぜ。」
「ええ!?」
するつもりねえし、考えてもなかったわ!
「ふう~ん?そういえば一度も戦ったことがなかったわね。さあ!私に敗れて異変解決は諦めなさい!」

神霊「夢想封印」

戦うしかないのか・・・なら全力でいかせてもらう!

異変「異次元空間の大量発生」

でっかい八つの光る弾が飛んできた。スキマを大量に展開し、弾をよけつつ弾幕を撃つ。
「紫みたいなスペカね。おっとあぶない。」
結構な量の弾幕なのに、しっかりよけれられる。まあそうでないとおもしろくないな。え?紫ってこんな感じのスペカ持ってんの?
「れーむー、そいつ強いから頑張れよ!」
そして魔理沙はどっちの陣営に入っているんだ。
「ちょこまかとしつこいわね。これでも食らいなさい!」

宝具「陰陽鬼神玉」

・・・でか!!でかすぎるだろこれ!!罠をしかけて様子を見るしかないな。

「生生流転~死の境界~」

でっかい弾・・・球のほうがしっくりするやつを何とかぎりぎりでかわしながら、霊夢の周りに黒い弾幕を仕掛けていく。
「あら、罠かしら。そいっと」
あ、脱出された。だけどもうすこし続く。色とりどりの弾幕が大量発生し、渦巻きながら霊夢を襲う。
「う~ん、少し追いつめられたかしら。なら少し本気出しましょ。」
え?本気?少しって?
「霊夢、まさかあれを?」
「そう、あれ」
「?」

「夢想天生」

ならばこちらも!

「七曜弾幕大結界」

霊夢をどんどん追いつめて・・・いやいやいや、なんで弾当たらないの?当たってるのにあたらない。どうなってんの?
「これが霊夢の能力、空を飛ぶ程度の能力だぜ。」
え?空を飛ぶ?その能力の効果で当たらないの?どう関係があるの?・・・空を飛ぶ、ということは宙に浮くということ。そうだとしたら、霊夢は何事にも宙に浮くことができるのか。なかなかすごい能力だな。俺の能力は効くのか?霊夢の弾幕をよけながら考える。まあ今はやめておこう・・・あ、しまった・・・。





「ぬうう・・・負けた。」
スペカ戦初負けだ。あと疲れた。
「ふう、さすがに少し疲れたわ。」
「もう夢想天生はスペカ戦でさえ無敵になってきたな。」
夢想転生の対策とかあるのかな?
「あら、誰かと思えば巫女と魔法使いと人形師じゃない。」
メイドさんが来た。え~っと、何て名前だっけ。
「あ、メイド長。」
霊夢が反応した。長って?
「悪魔のメイドが何の用だ?というか人形師だと、アリスと被るぜ。」
「それもそうね。ではなく、こちらの人形師に渡すものがあるのです。」
「え?俺?」
「そう、あなた。これをどうぞ。」
赤い紙を渡された。なんだろうこれは。
「招待状です。紅魔館への。私は紅魔館の主、レミリア・スカーレット様の直属メイド、十六夜咲夜です。以後お見知りおきを。」
「あ、俺は・・・」
自己紹介をしようとして遮られた。
「2日後にお待ちしております。」
「お、レミリアが何かまた企んでるのか?」
魔理沙が言った。
「日光も大丈夫な体に変えてほしいとか?」
どうやら、レミリアという人は日光がダメらしい。吸血鬼かな?
「ははは、そんなのできないだろ。」
「できるのよ。裕海なら。」
「は?」
魔理沙は不思議に思ったのか、首をかしげた。
「あれ?魔理沙、この子の能力知らないの?」
「知らない。」
「変化を操ることができるのよ。」
咲夜が言った。
「・・・それって霊夢の能力よりすごいんじゃないのか?」
「さあ?わからないわ。」
どうだろう、変化にとらわれない能力でもあるのだから。わからん。
「あ、そうそう。途中であの小さい鬼に偶然会って、霊夢と魔理沙を呼んでほしいって言ってたわよ。」
「はあ~?萃香が?」
小さい鬼って?萃香って?俺が置いてけぼりのまま会話が進んでいる。
「とりあえず行ってみようぜ!」
「なんでそんなにノリノリなのよ。私は異変の解決で忙しいの。ついでだから、さっきから微妙にこの空間の空気になっているあなたもついてきなさい。」
「余計なお世話だよ。そんなことより、ついて行っていいの?」
俺は霊夢に質問した。だって、もう負けたんだから。
「あなたの能力、便利だからいろいろこき使わせてもらうわね。」
「・・・じゃあ魔理沙、あなたはさっさとこっちに来なさい。」
「おう!!」
こき使うったって、スキマを開くことぐらいだけどな。あれ、咲夜と魔理沙がもうどこかへいっている。早いな。
「じゃあ移動するわよ!!心当たりがあったりなかったりするから、適当にスキマを開きなさい!」
「心当たり、ないんだね。」


そのころ、紫は裕海を見守っていた。
「う~ん、さすがに博麗の巫女には勝てなかったのね。まああの子に夢想天生を使わせるほどだから今後も期待かしら。」
「紫様、茶菓子をお持ちしました。」
「ありがとう、藍。」
持ってきたのは、透明なベールに包まれたあんこ餅、葛餅だった。
「それにしても、あの閻魔様は裕海にどんな説教をするのでしょうか。」
「さあね、あの子はもうちょっとだけ活発になることかしら?」
「ゆーみくん、すごいですねー!」
橙も見守っていた。
「そうね。それにしても、つくづくスキマって便利よね。こっちからあっちの場面は見えるけど、あっちからこっちは見られないなんて。」
「今に始まった話じゃないですよ、私はもう慣れました。幾百年前から思ってましたから。」



適当にスキマを開いたところ、鈴蘭畑にやってきた。なぜ毒花畑に?
「ここの毒気すごいわね。こんな時こそ便利な裕海よ!」
「なんの宣伝だよ。まあここの毒気を消滅させようと思えばできるけど。」
「やめて!!」
叫び声とともにやってきたのは、幼い子供ぐらいの身長の、人形のような妖怪だった。横に何か人形らしきものが飛んでいる。
「あら?妖怪かしら。」
「わたしはメディスン・メランコリー。せっかく集まったこの毒を消そうというのなら、ただじゃおかないわよ!!」
そういうつもりじゃないんだけどな。
「んー、でもちょっと疲れているのよねー」
霊夢が言った。
「同じく。」
俺も同じだったので、同意する。
「なんで喧嘩を売ったようなことをしていながら、勝負を遠慮しているのよ!!」
「知らなかったのよ。」
「見逃してくれないかな?」
「・・・なにかくれたら。」
わあかわいい子。スキマを開き、あるものを取り出す。
「はい、人形でよければ。」
あ、すごい目が輝いてる。アリスみたいな反応だな。
「うわーい!私とスーさんのお友達がふえたあ!ありがとー!」
無垢な幼い妖怪だった。あ、ちょっと?抱きついてきた!?そんなにうれしいのか。あ、霊夢が早くしろといわんばかりの目つきでにらんでる。
「じゃあまた今度ね、俺たちちょっと忙しいから。」
「うん!!また人形持ってきてね!!」
メディスンに手をふり、別れを告げる。




また適当にスキマを開いたら、そこは一面に広がる向日葵畑だった。
「あら、いらっしゃい。殺されにきたのかしら?」
・・・いきなり怖いこと言ってきた。初めてあった人に言うセリフじゃないよな。
「ふふふ、覚悟はできてるようね。」
あれ、疲れはもういいのかな。なんか霊夢が臨戦モードに入ってるけど。
「・・・やめておくわ。そんな気分じゃないから。」
「あらそう。」
・・・なにこの空間。
「あなた、この異変の元凶がどこにいるか知ってるかしら?」
「さあ?」
そういうと、緑色の髪の女の人は手のひらを地面に向けた。すると、向日葵がすごい勢いで生えてきた。へえ~、この人は花を操るのか・・・え?
「・・・!!あなたが元凶ね!!」
霊夢が通常攻撃を開始した。だが相手は必要最低限の動きでかわしたようだ。
「あらあら、せっかちさんねえ。」
そういうと、日傘を霊夢に向けた。

「元祖マスタースパーク」

太い光線が飛んで行った。霊夢はそれをかわして弾幕を撃つ。
「っ!なかなかできるわね、あなた。」
「ふふふ、これからよ!!」
なんか意気投合し始めた。ほんと、なにこの空間。




勝負は30分続いた。白熱してるな。
「あやや、こんなすごい戦いが起こっているなんて、いい記事が書けそうです。」
「どちらさま?」
黒い翼の生えた人がやってきた。すごい勢いで飛んできたのにスッと着地ってすごいな。
「清く正しい射命丸文です。新聞記者の。そういうあなたは、噂の外来人ですね。」
「ああ、そうだけど?」
「あやや!今日はついてますね!!さっそく取材に応じてもらいます!」
「ええ~」
取材は20分続いた・・・



「で、本題です。」
「え?さっきの質問で終わりじゃないの?」
「嫌そうな顔をしないで下さいよ。あなたはこの異変の原因がなんなのかわかっていますか?」
執筆しなくてもいいことなのか、手記を閉じた。
「・・・さっきから1時間近く戦っているあの妖怪ではないかと思いはじめたから、なんか大量に漂っている幽霊に何かあるんじゃないかとおもうんだよ。」
「ほうほう、なるほど。幽霊に関係しているのは冥界と無縁塚ですよ。」
「無縁塚?」
「三途の川の一歩手前のところです。」
なにそれ、こわっ!?俺はまだ死んでないからいかないで・・・いや、この前生きたまま冥界へ行ったんだった。
「・・・なるほど、冥界はあまり今回は関係なさそうだからそこなのかな。文、案内してくれないかな。」
「天狗のあややにおまかせあれ!!」
テンション高いな。



「ふう、今回はここまでにしようかしら。」
幽香が満足したかのように制止を告げた。
「え?あなたが元凶じゃないの?」
「違うわよ。いろんな四季の花を呼び出して話をしようなんて、そんなさみしい子じゃないわよ。」
・・・まあ、そうでしょうね。よく考えればこいつじゃなかったわ。
「そう、じゃあ次行くわよ。裕海・・・裕海?あれ?どこいったの?」
「あの子、天狗に連れられて無縁塚に行ったわよ?」
「はあ!?」
文かしら?というか見てたなら教えてくれたっていいじゃない!幽香!あとで賽銭要求書をなげこんでやる!



「ここが無縁塚です。」
文速すぎ。なんでそんな速く飛べるのさ。
「へえ~、彼岸花がたくさん咲いてるな。」
「お?なんだいあんた達、自殺志願者かい?」
赤い髪で、大きな鎌を持った人が現れた。
「ちがいますよ。」
「じゃあなんでここにいるんだい?」
「花の異変について調べに来たのです。」
文が説明する。
「それで、幻想郷を漂う大量の幽霊が原因じゃないかと思ってね。」
俺が付け加える。
「ふ~ん?幽霊・・・え!?幽霊が多いだって!?」
鎌を持った人はすごい驚いていた。
「あれ、気が付いていなかったのですか?幽霊の運び屋の死神たるものが。」
「あ、ああ~、そういえば。不味いな~。」
運び屋ってなに?三途の川を渡ってあの世に渡す人?
「運び屋?運び屋なら三途の川をわたってさっさと連れて行けばいいんじゃないの?」
「無理だよ~、あんな沢山の霊をいっぺんに運べないよ。」
「こら小町!!何をサボっているのです!!」
「きゃん!」
赤髪の人を、なんか書いてある金属っぽいもので叩いた。
「あ、あなたは閻魔様!!」
「え?」
閻魔?もっと怖い感じのイメージだったんだけど、あんな小さくてかわいらしい閻魔がいたんだな。
「あなたたちが調べている異変は、あなたたちの知っている異変とは少し違います。」
閻魔さんは、説明を始めた。
「どういうこと?」
「この異変は、60年に一度決まって起きます。外の世界で発生する大量の霊が幻想郷に現れるのです。その霊が花に憑依することで四季の花が咲き乱れるので、死神がそういった霊を運ばなければいけないのですが・・・」
「その死神がサボっていると。」
なるほど、本末転倒ですか。
「いやあ~・・・ははは。」
「笑い事ではありません!あなたの給料を9割くらい減らしますよ!!」
給料を大幅カットか。すごいな、上の権限は。
「ということは、別に動かなくてもよかったんだ。」
「そうなります。あ、待ちなさい。あなたに言いたいことがあるのです。」
「え、俺?」
閻魔さんは俺の服をつかんで引き留めた。ここだけ見れば可愛らしい子が服をつかんでいるようだ。
「そう。隣の天狗にも言いたいことがありますが、それは今度にしましょう。それよりも、あなた。あなたは自分の能力を恐れ、あまり人とかかわらないでいた。そうですね?」
「ああ、まあ。」
なんでしってんの?とは聞かない。閻魔はなんでもお見通し!というわけですね?
「確かに変化を操るというのは、とても恐ろしいものです。ですが、その能力を制御しようと思えばあなたならできたはずです。現に、八雲紫のところで修行をしたところ、実質には数週間で制御できているようではないですか。あれは八雲紫の指示がよかったからではない、あなたの気持ちが強かったからです。そう、あなたは思ったことをすぐに決めつけすぎている。」
「・・・・・・」
「決めつけることが良いことであるときなんて、ほんのひと握りです。幾多もある変化に目を向けることが重要なのですから。このままそんなふうに決めつけてばかりいると、あなたは地獄へ行くこととなります。」
「ええ~・・・地獄?でも決めつけなんて人間の捨てきれない癖のひとつなのでは?」
人はどうしても108つの荷物を捨てられない。決めつけがその中に入っていたかは知らないが。
「確かにそうですね。ですが、あなたは決めつけ”すぎている”のです。完全にその癖を直せというのは無理がありますので、少しずつ直していくといいでしょう。そうすればきっと地獄にはいかなくて済むでしょう。」
「なるほど、善処します。」
「あと・・・八雲紫!!あなたがいるのはわかってます!!出てきなさい!!」
説教が終わったと同時に、意外な名前が出てきた。
「あらばれちゃった。」
ええ!?なんでいるの!?というかいたの!?
「少しお話があります。」
「え~?説教はもういいわよ。聞き飽きたわ。」
「そうじゃありません。とにかくこちらへ。」
聞き飽きたって・・・どんだけ説教されたんだ。
「・・・・・・なるほど、じゃあ認めるということね?」
「はい。審査は白です。よほどのことがない限りはこの地にいてもらって構いません。あの子は、幻想郷に大いに貢献してくれることでしょう。」
「・・・なんの話?」
「ああ、そういえばあなたに伝えておくことがあったわ。」
「なに?」
「修行はまだ完了してないけど、そろそろマヨヒガを離れて生活するようにしなさい。2日後から。」
「え?まさか野宿?」
「そんなことは言わないわ。あなたの家を今作ってもらっているのよ。鬼とかに。」
鬼?ずいぶんと友好的な鬼だな。それともただの奴隷か。それにしても、
「・・・2日後って早すぎない?震度1くらいでべしゃっていくような家じゃないよね?」
微震でゲル化するような家なんて嫌だぞ?
「もちろんよ。丈夫な家なんて、2日で完成するわ。」
「そ、そーなのかー。」
なんてめちゃくちゃな。
「嘘よ。実は少し前から立て始めてたのよ。それがもうすぐできるらしいからね。」
嘘かい。
「そうなんだ・・・あ、そういえば紫はこの異変は動かなくてもいいって知ってたの?」
「ええ、知ってたわ。でも経験を積ませるためにあえて行かせたのよ。おかげで博麗の巫女と勝負できたみたいだし。」
「やっぱり見てたのか。」
「あやや、霊夢さんと勝負して勝ったのですか?」
文が質問した。
「負けたよ。」
「裕海―!私をおいていくんじゃないわよ!!」
霊夢が飛んできた。あれ?意外と飛ぶ速さは遅いな。
「噂をすれば何とやら。」
「博麗の巫女、あなたに言いたいことがあります。」
「ああ!?なによ!!」
あ、説教が始まった。
「じゃ、私たちは帰りましょ。」
「ああ、そうしよう。」
「こらーっあんた達にげるんじゃないわよ!!」
「あやや、今日は良いネタがたくさんありますねー。『博麗の巫女、閻魔に説教される』と。」
「新聞のネタを考えるんじゃないわよ!!」




こうして、花の異変の原因が判明したのだった。
ちなみに、小町がサボっているせいで数週間は花が咲き乱れっぱなしだったとさ。
 
 

 
後書き
8話書き終わりました。花映塚って話がややこしいので、書くのに苦労しました。次回から、バトル要素は減ります。では! 
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