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万華鏡

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第七十三話 雪その十

「ゲーム三昧かしら」
「それか飲むか?」
「そういうのかしら」
「ううん、何かね」
 そうした日の過ごし方はというのだ、琴乃にしてみれば。
「そういうのってね」
「好きじゃないのね、琴乃ちゃん」
「引き篭もってっていうのは」
「うん、休みでお外に出るのならいいけれど」
 それはいい、だがというのだ。
「一日お家の中にっていうのはね」
「そう、好きじゃないから」
 活発な彼女にしてみればだった。
「何とかならないかしら」
「とはいってもね」
「雪だからね」
「お外には出られないわよ」
「どうしてもね」
「ゲームも好きよ」
 これ自体はだ、だがそれでもだというのだ。
「けれど一日中そればっかりっていうのは」
「目にもよくないしね」
「不健康だしね」
「だからよね」
「お外に出ないと」
「そう、皆と買いものしたり何か食べたりカラオケ行ったり」
 そうして遊びたいというのだ。
「そうしたいのに」
「まあ仕方ないわね」
「雪はどうにもならないわよ」
「自然だけはね」
「人間の手には負えないわよ」
 人間は間違っても万能の存在ではない、その出来ることには限りがある。天候をどうにかすることもまだ出来はしない。
 だからだ、雪もなのだ。
「とてもね」
「そうよね、じゃあ」
「諦めるしかないわね」
 琴乃にとって残念な結論がここで出た。
「もうね」
「やっぱり?」
「この雪だとどうしようもないわよ」
 またこう言われるのだった。
「だからね」
「諦めてお家の中でゲームして」
「そう、他にもね」
 その他にも出来ることはあった、家の中でも。
「お酒を飲むとかお風呂に入るとか」
「そうしてなのね」
「時間潰したら?」
 そうしたことをして、というのだ。
「いっそのこと温泉にでも来たと思って」
「温泉ねえ」
「前向きに考えないとね」
 大雪の中でも、というのだ。
「そうでもないと」
「明るくなれないわね」
「そう、琴乃ちゃんの信条はいつも明るくでしょ」
「ええ、そうしていきたいわね」
「だったらね」
「前向きになのね」
「そう思おう。身体を休めると思って」
 そうしてだというのだ。
「そうしていきましょう」
「わかったわ、それじゃあね」
 琴乃はここで納得した、そしてだった。
 学校から帰るとだ、家にいた母にもこう言われた。
「明日は学校に行けないかもね」
「ううん、そうかもね」
「一日ずっと出られないかも知れないわよ」
「うん、学校でもそのこと話してたわ」
 クラスメイト達との会話のことも話した。
「実際にね」
「そうなのね」
「明日休校だったら」
 その時はというのだった。 
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