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Re:SYMPHONIA

作者:紅雨
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非情の檻



        Re:SYMPHONIA‐リ・シンフォニア‐



          #2 非情の檻

           ―Extra3 イセリア人間牧場―

人間牧場とはその名の通り、人間を家畜として劣悪な環境で労働をさせる、言わば奴隷である。監視は全てディザイアンで、動きを緩めた者・倒れた者には容赦なく鞭打ちを行う。

監視A「オラオラァ! 休むな、この豚どもがっ!!」

アクセル「・・・っ、ひでぇ」

スザクはフェンスの向こう側にいる老婆に声をかける

スザク「マーブルさん!」

マーブル「スザク! そちらはお友だち?」

アクセル「ああ、アクセルだよ」

マーブル「よろしくね」

スザク「マーブルさん、見た? 神託があったんだよ」

マーブル「ええ。救いの塔が見えたわ。これでようやく神子さまの再生の旅が始まるのね
     今度こそ成功してほしいわ」

アクセル「前の神子は失敗したんだって?」

マーブル「ええ。途中でディザイアンに殺されたと聞いているわ」


スザク「コーネリアは大丈夫かな・・・」

マーブル「マーテル様に祈りましょう。神子さまを導いてくださるよう・・・」

アクセル「・・・ん? ばーちゃん」

スザク「マーブルさん、だろ?」

アクセル「・・・マーブルさん それ、エクスフィアじゃないか?」

マーブルの手の甲にエクスフィアが埋め込まれている

マーブル「そういう名前なの? ここに来てすぐに埋め込まれたんだけれど・・・」

アクセル「うん、やっぱりエクスフィアだ でも要(かなめ)の紋(もん)がついてないな・・・要の紋がついてないエクスフィアは体に毒なんだぜ」

スザク「要の紋って何? 体に毒って?」

アクセル「エクスフィアは肌に直接つけると病気になるらしいんだ。それなのに肌に直接つけなきゃ意味がない。だからエクスフィアから毒が出ないように制御するまじないを特別な鉱石に刻み込んで土台にするんだ それが要の紋だよ」

マーブル「くわしいのね」

スザク「でもマーブルさんのエクスフィアには、その土台自体がないみたいだよ」

アクセル「そうみたいだな。まじないを彫るだけなら俺でもできるんだけど・・・土台になる抑制鉱石がついてなけりゃどうにもならねぇ・・・」

スザク「そんなぁー、何とかしてよ」

アクセル「簡単に言うなよ。本当は要の紋ってのはドワーフの特殊技術なんだぞ」

スザク「アクセルのお義父さんもドワーフだろ? ねぇ、ダイクおじさんに頼んでよ」

アクセル「分かったよ 親父に頼んどく」

マーブル「無理はしないでね」

監視B「そこのババァ! 何をしている!」

マーブル「いけない!ディザイアンが来るわ。二人とも、お逃げなさい さあ、早く!」

アクセル「・・・わかった! ごめん、ばーちゃん!」

スザク「マーブルさん、ごめんね!」

二人は走り去る

監視C「おい、こんなところで何をしている!」

監視D「油を売るヒマがあったら とっとと持ち場に戻れ!!」

マーブル「・・・申し訳ありません」

監視C「何だぁ、その目は」

監視B「俺たちディザイアンに逆らおうっていうのか」

マーブル「い、いえ・・・そんなことは・・・」

監視B「つべこべ言うな! お前たち、こいつを連れていけ!奥で痛めつけてやるんだ!」

監視C・監視D「おうっ!!」

アクセル「・・・まずいぞ、ばーちゃんが奥に連れて行かれた」

スザク「でも、どうしたらいいんだ」

アクセル「何か方法があるはずだ どこか高台から、ばーちゃんの様子を確認しよう」

マーブルが奥で背中に鞭打ちをくらっている

スザク「マーブルさんが・・・!」

アクセル「やっぱり助けよう!」

スザク「でも、どうやって?」

アクセル「お前はここから魔法でディザイアンを攻撃しろ」

スザク「ええっ!? そんなことしていいの!?」

アクセル「いいの! その後、茂みに隠れながら村へ逃げるんだ。その間、俺が囮になる」

スザク「でも、それじゃあアクセルが危ないよ!」

アクセル「大丈夫! 顔を見られないように崖を降りて、村とは違う方向へ逃げるからさ」

スザク「・・・了解! ファイヤーボール!!」

スザクのファイヤーボールがディザイアンたちに命中した

監視D「何だ!?」   監視E「あいつだ! あいつを捕まえろ!! 正門を開けろ!」

奴隷A「大丈夫か、マーブル」

奴隷B「今のうちに、こっちへ!」

マーブル「ありがとうスザク、アクセル・・・」

スザク「いたたたたたた・・・」 スザクがこける

監視F「!? 何だ」

アクセル「やっべぇ! こっちだ!」

監視G「いたぞ! こっちだ!」

アクセルは監視の鞭を避け、監視に斬撃を浴びせる

       イセリアの森 イセリア側入り口

スザク「アクセル、顔、見られたよね! ごめん! ボクのせいだ・・・」

アクセル「何言ってんだよ。大丈夫だ 顔を見られた奴らは倒したし、追っ手はまだ崖の上だ 急いで逃げればわかりゃしないって」

スザク「・・・」

アクセル「また宿題、かわりにやってくれればいいから」

スザク「・・・うん!わかった!」

アクセル「じゃあ俺はこのまま家に帰るよ。お前は村に帰れ。先生によろしくな」

スザク「アクセル!マーブルさんを助けてくれて、ありがとう」

アクセル「バーカ、いいんだよ」

         イセリア人間牧場

?「正面ゲートの記録装置を解析しろ!」  監視H「はっ!」

?「今の跳躍は、本当に人間だけの力か・・・?」

水色の髪で、左腕が武器の男は静かにそう言った

         イセリアの森 中部

アクセル「なあ、ノイシュ。なんかお前聖域出てからソワソワしてないか? どうかしたのか?」

ノイシュ「クゥ~ン」

アクセル「変なヤツ・・・」 ノイシュ「クーンクーン!!」

アクセル「な、何だよ!?」 ノイシュ「クゥ~ンクン!!」

アクセル「全然わかんねぇよ・・・お前、喋れればよかったのにな」

        ―House 1  ダイクの家―

森の中にただ一軒、木造の家が建っている。近くには小川が流れ、墓が一つある。
アクセルはその墓を見つめて言った。

アクセル「ただいま、母さん・・・」

ダイク「おお、おかえり」

アクセル「ただいま、親父。 あのさー、要の紋を作ってくれないか?」

ダイク「何でぇ、いきなり」

アクセル「今日知り合った人が要の紋なしのエクスフィアをつけてたからさ、要の紋なしのエクスフィアは体に毒なんだろ? それともまさか、いったん要の紋なしのエクスフィアを装備したらもう手遅れなのか?」

ダイク「そんなこたぁねぇ。ただ要の紋がないエクスフィアは取り外すだけでも危険だ。
    だから抑制鉱石でアクセサリーを作って、それにまじないを刻むことで要の紋に
    するしかねぇなぁ」

アクセル「ふーん それで大丈夫なんだ。 じゃあ、腕輪でイイや。 すぐ作ってくれよ」

ダイク「ちょっと待て。その要の紋がないエクスフィアってのはどこの誰が身につけてる
    ンでぇ?」

アクセル「・・・え? あー、えーっと・・・ 旅の人だよ。旅の傭兵」
ダイク「そんな訳ねぇだろ エクスフィアってのは基本的にディザイアンどもしか使って
    ねぇんだ。 奴らから奪ったなら要の紋もついてるはずでぇ」

アクセル「そ、それは・・・・・」

ダイク「ドワーフの誓い第11番 嘘つきは泥棒の始まりでぇ! 正直に話せ。どうして
    要の紋が必要なんだ?」

アクセル「・・・今日牧場で知り合った人が要の紋なしのエクスフィアをつけてたからさ」

ダイク「牧場に行ったのか!?」

アクセル「わ、悪かったよ! ちょっと色々あってさ・・・」

ダイク「ディザイアンにエクスフィアを見られなかっただろうな?」

アクセル「ああ、大丈夫だよ・・・でもどうしてそんなにこいつのこと隠すんだ?
     今日村に来た傭兵なんか堂々と装備してたぜ」

ダイク「・・・お前のエクスフィアは特別なんだ」

アクセル「特別?ディザイアンが装備してるのとは違うのか?」

ダイク「・・・そのエクスフィアはお前の母親の形見だ。ディザイアンはそいつを奪うた
    めにお前の母親を殺したんだ」

アクセル「本当・・・なのか・・・?」

ダイク「牧場近くの崖でお前を拾った時の話はしたな? その時、まだ母親には意識があ
    った。間違いあるめぇ」

アクセル「何でそれを今まで黙ってたんだよ!!」

ダイク「言えばお前は、ディザイアンに突っ込んでいっただろう? 昼間、救いの塔が
    出現した。後はコーネリア嬢ちゃんにまかせておけ。 そうすりゃ、ディザイア
    ンも滅びる」

アクセル「だけどよぉ・・・」

ダイク「お前はディザイアンと関わるな! 母親が命をかけて守ったエクスフィアとお前
    自身を大切にするんだ」

アクセル「・・・で、要の紋は作ってくれるのか?」

ダイク「アクセル! 話を聞いてなかったのか!?」

アクセル「聞いてたよ! 聞いたらなおさらほっとけねーよ!!」

アクセルは家から飛び出す 外は既に夜になっていた。アクセルの家の前にはスザク・コ
ーネリア・リリーナ・リオンの四人がいた。

アクセル「・・・あ。 もしかして、今の話聞いてたか?」

スザク「ごめん、ボクのせいで・・・」

アクセル「いいよ。・・・別に、お前のせいじゃない」

リリーナ「・・・ねぇ、アクセル。コーネリアと二人で話をしていらっしゃいな。私たちはこの辺りにいますから」

アクセル「・・・わかった」

コーネリア「アクセル、ベランダに行こ?」

            ベランダ

アクセル「ごめんな。誕生日のプレゼント間に合わなくて」

コーネリア「いいよぉ、そんなの」

アクセル「でも、ああいうのって誕生日当日に貰うから意味があるんだろ?」

コーネリア「じゃあ、『おめでとう』って言ってくれる? 私が16歳になれた記念に」

アクセル「あ、ああ・・・おめでとう」

コーネリア「エヘヘ・・・ありがと。良かった 今日まで生きてこれて」

アクセル「何言ってんだ・・・この後も生きぬいて世界を再生するんだろ」

コーネリア「・・・そ、だね・・・」

アクセル「?  なぁ、明日なんだけどさ・・・やっぱり俺もついていったらダメかな?」

コーネリア「駄目って言うか・・・ディザイアンに狙われたりして危ない旅になるんだよ?」

アクセル「そのディザイアンだよ。俺、今まで母さんは事故で死んだんだと思いこんでた。
     でも母さんは殺されたんだ・・・ディザイアンの連中に! それを知っちまっ
     たのに奴らと不可侵条約を結んでる村で暮らすなんて 俺にはできないよ」

コーネリア「・・・そだね。 ・・・私たち、明日のお昼に旅立つの。だからお昼頃、
      村に来てくれる?」

アクセル「ああ、わかった! これでお前が天使になるのを この目で見られるんだな」

コーネリアは悲しげな表情で少し欠けた月を見る。

コーネリア「・・・うん」

コーネリア「やっぱりあのレミエルさまがホントのお父さまだったんだね。 私、天使の子どもだったんだ・・・」

アクセル「いいじゃねぇか! どっちが本当の親父でもコーネリアはコーネリアだ! 何
     も変わんねぇ。ただ親父が二人いるだけだよ。人より多くて得した・・・ぐら
     いに思っとけって」

コーネリア「うん。アクセルが言うならそうするね」

アクセル「それにしても、再生の旅か・・・何かちょっとわくわくするよ」

コーネリア「そうだね。封印を解放して天使になって、そして最後には・・・」

アクセル「最後には?」

コーネリア「ううん、なんでもない とにかく火の封印に行けばまたお父さまに会えるんだし 私、頑張るね」

アクセル「ああ、頑張ろうな」  ガチャリとベランダの戸が開く

リリーナ「そろそろよろしい?」

コーネリア「あ、はい 今行きます。じゃあね、アクセル」

アクセル「ああ、また明日な!」

コーネリア「うん・・・さよなら・・・」

アクセル「よし、さくっと誕生日プレゼント作っちまうか!」

            朝 ダイクの家

アクセル「よし、完成だ! 親父に話をつけないとな・・・」

アクセルの母の墓の前にダイクが立っている

アクセル「親父、昨日は・・・」

ダイク「ほらよ。要の紋だ どう使うかは、お前の自由だ。一応、俺は止めたぞ」

アクセル「親父・・・! ありがとう!!」

ダイク「ドワーフの誓い第2番 困っている人を見かけたら必ず力を貸そう
    それを実践しただけでぇ」

アクセル「親父、俺、旅に出る コーネリアたちと一緒に世界を再生して母さんの仇をと
     る」

ダイク「・・・そうだな そう言うと思ったわい」

アクセル「じゃあ、許してくれるのか」

ダイク「・・・ああ。でもな、ここはおめぇの家だ。血が繋がってなくても おめぇは俺
    の息子だ 疲れたらいつでも帰ってこいよ」

アクセル「わかった・・・行ってくる!」

ダイク「アクセル! ドワーフの誓い第7番を忘れるなよ!」

アクセル「正義と愛は必ず勝つ、だろ? 今時だっせーなー! わかってるよ。
     行くぜノイシュ! 世界再生の始まりだ!!」

ノイシュと共にスザクもアクセルのもとへ駆けつけた

アクセル「・・・あれ? 何でお前が出てくるんだ?」

スザク「アクセル! まだこんなとこにいたの?」

アクセル「スザク! ちょうどいいや。マーブルばーちゃんの要の紋、作ってもらったぜ!」

スザク「そ、それは嬉しいけど・・・コーネリアの見送りはどうしたのさ!」

アクセル「ああ、それなんだけどよ 俺も旅について行こうと思ってるんだ」

スザク「バ、バッカじゃないの!? コーネリアたちならとっくに出発しちゃったよ!」

アクセル「・・・は?」

スザク「ボク、いつまでもアクセルがこないから、迎えに来たんだ」

アクセル「そんなバカな!?」
ダイク「アクセル! 急いで村に行くんだ」

スザク「そうだよ 早く早く!」

          イセリア村 入口

門番「アクセル、ファイドラさまがお前を捜してたぞ」

アクセル「ばーさんが? わかった」

          コーネリアの家

アクセル「ばーさん!コーネリアが行っちまったって本当か!?」

ファイドラ「本当じゃ」

アクセル「コーネリアの奴、俺に時間を間違えて教えたのか?」

フランク「・・・そのことでコーネリアから手紙を預かっているよ」

『親愛なるアクセルへ
 これをアクセルが読む頃には 私はもう旅に出ています
 ごめんなさい 私はアクセルに嘘をつきました
 世界再生の旅は 今まで大勢の神子が失敗してきた 危険な旅です
 大好きなアクセルを 巻き込みたくなかったの
 私が がんばって魔物やディザイアンを鎮めるから
 アクセルは再生された世界で 平和に暮らして下さい
 今まで仲良くしてくれて 本当にありがとう
 アクセルにめぐりあえて 私は幸せでした さようなら
                       コーネリア・ハーツ』

アクセル「・・・何だよ・・・こんなの、まるで遺書みたいじゃないか・・・」

フランク「遺書・・・そうかも知れないね」

スザク「それ、どういう事なの?」
フランク「アクセル、スザク。キミたちにも、村のみんなにも隠していたことがあるんだ
     よ コーネリアは・・・神子さまは・・・もう・・・」

ドオォン!!

スザク「うわっ!」     アクセル「何だ!?」

家の外で大きな音と地響きがした。 二人は外へ駆けだした。
家の外に広がっていた光景は、ディザイアンによって火が放たれて村が真っ赤に燃え上っていた。
民家も、雑貨屋も、スザクの家も・・・

スザク「ボ、ボクの家が・・・! ひどい・・・姉さんが帰ってきたら何て言えばいいのさ・・・ せっかくボクらの故郷になりそうだったのに・・・」

アクセル「? なんだって?」

スザク「な、何でもないよ!」

アクセル「ちっくしょう!ディザイアンめ!」

スザク「こいつら何でこんなひどいことするんだ!」

アクセル「とにかくみんなを避難させて、奴らを追っ払うぞ!」

         イセリア村 広場

兵士A「アクセル・バークライト! 出てこい!!」

アクセル「また、村を襲いに来たのか! いい加減にしろ!!」

兵士B「何を言ってるんだ?」

?「戯言だ。放っておけ。
  聞け、劣悪種ども。 我が名はフォシテス。ディザイアンが五(ご)聖刃(せいじん)の一人
  優良種たるハーフエルフとして愚劣な人間どもを培養するファームの主」
フォシテスは人間牧場にいた水色の髪で左腕が武器の男である。

スザク「ハーフエルフ・・・」  スザクは意味深に呟いた

フォシテス「アクセルよ! お前は人でありながら不可侵条約を破る罪を犯した。よって
      貴様とこの村に制裁を加える!」

スザク「条約違反はそっちも同じだろ! 神子の命を狙ったくせに!」

フォシテス「・・・?」  兵士と顔を見合わせる

兵士C「我々が、神子を? ふははははは! なるほど。奴らが神子を狙っているのか」

アクセル「奴ら? コーネリアを襲った連中とお前たちは違うって言うのか!?」

フォシテス「劣悪種に語ることは何もない。 それよりも貴様だ、アクセル
      貴様が培養体F192に接触し 我らの同志を消滅させたことはすでに照会済みなのだからな」

村長「なんということだ! 牧場には関わるなとあれほど念を押したのに!」

アクセル「・・・ごめん」

フォシテス「貴様の罪にふさわしい相手を用意した」

現れたのは緑色の巨躯で、ゾンビに似ている、もはやこの世のものとは思えない魔物であ
る。しかし、人間牧場の奴隷の服を着ている・・・

アクセル「な、何だこいつは!?」

フォシテス「さあ、引き裂かれるがいい!」

魔物が腕を振り下した時の衝撃は凄まじいが、動きが鈍い。そこを突いてアクセルとスザ
クは攻撃を続ける。 アクセルの双剣さばきは見事だった。リオンの渡した指南書をきち
んと見ていたに違いない。
そして、二人のコンビネーションで見事、異形のものを倒した。
兵士D「フォシテスさま!やはりあの小僧、エクスフィアを装備しています!」

フォシテス「・・・やはり我々が探し求めていたエンジェルス計画のものかっ!
      小僧!それをよこせ!」

アクセル「いやだ! これはお前らに殺された母さんの形見だ!」

フォシテス「何を言うか! お前の母は・・・」

フォシテスが何かを言いかけた時、先程倒した魔物がフォシテスにしがみついた。

『逃げな・・・さい・・・スザク・・・アクセル・・・』

スザク「な、何、今の声・・・ ま、まさか マーブルさん・・・?」

アクセル「そ、そんなバカな!」

『ウ・・・ウゥ・・・グウッ・・・離れて・・・早く・・・っ!』

『スザク・・・新しい孫ができたみたいで 楽しかったわ・・・さようなら・・・』

そう言い残すと魔物は自爆した。スザクの足元にエクスフィアを一つ落としながら・・・

スザク「・・・・・・っ」

フォシテス「・・・ぐっ・・」

先程の爆発でフォシテスは負傷した。

兵士C「・・・まずい、フォシテスさまをお助けしろ」

フォシテス「・・・アクセルよ。その左腕のエクスフィアがある限り お前は我々に狙われる・・・覚えておけ!」

スザク「マ、マーブルさん・・・!マーブルさんっ!!
    うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
スザクの叫びが、燃え盛る村の中で虚しく響き渡る。

村長「大変なことをしてくれたな。見ろ! この村の惨状を!・・・おまえのせいだ」

そこには、昨日までの閑静な森の村の姿はどこにもなかった。
ただ、ぱきぱきと家を薪にして燃える火の音が聞こえるばかり・・・

アクセル「ごめん・・・なさい」

村長「あやまってすむ問題じゃない。奴らはお前を敵と認定した。 お前がいる限りこの
   村の平和はないのだ・・・わかるな?」

スザク「ちょっと待ってよ! それってアクセルを追い出すって事!?」

村長「そうだ」

スザク「そんな! アクセルは悪くない。ただマーブルさんを助けただけなのに・・・」

村長「牧場に関わる全てが禁忌だ。 例外はない」

スザク「じゃあ、村を守るためなら人間牧場の人は死んでもいいの!?」

宿の女将「どうせ牧場の人なんて、あそこで朽ち果てる運命じゃないの」

村長「そうだ。余計な事をしなければ 死ぬのはそいつだけで済んだのに」

スザク「・・・人間なんて、汚い」

アクセル「もうよせ、スザク。 今回のことは確かに俺が悪かったんだ。
     ・・・出ていきます」

住民A「村長、こんな子どもにそこまで厳しくしなくても・・・」

住民B「何を言ってるんだ!こいつのせいで、たくさんの人間が死んだんだぞ!」

スザク「アクセルは悪くない! 牧場に誘ったのはボクだ。だからボクが悪いんだ!」
村長「それでもディザイアンが狙っているのはアクセルだ。 それにアクセルは元々村の
   人間じゃない。 ドワーフに育てられた、よそ者だ」

スザク「だったら、ボクも出ていく。 ボクも同罪だ!」

アクセル「スザク、お前・・・」

村長「・・・ならば、仕方がない。 村長権限でここに宣言する。 ただ今をもって
   アクセルとスザクを追放処分とする」

「出て行け!」   「出て行け!」   「出て行け!」    「出て行け!」
村人が全員で二人に非情の言葉を浴びせる。

アクセル「迷惑かけて、すまなかった・・・」

ファイドラ「その気持ちがあるのなら、どうか神子さまを追いかけて守ってやっておくれ
      そうすることで世界が救われれば、きっと皆の気持ちも変わるじゃろう」

フランク「コーネリアも・・・きっとそれを望むはずだ」

アクセル「ああ・・・。償いはする。 俺のせいで亡くなった人のためにも必ずコーネリ
     アを守るよ」

スザク「ボクは、アクセルについて行くよ。アクセルが追放されたのはボクのせいだもん
    だから・・・ずっとついていくから」

アクセル「なあ、スザク。 そのエクスフィアはお前が装備しろよ
     マーブルさんの・・・形見だ」

スザク「・・・うん」

アクセル「要の紋の使い方はゆっくり説明するよ。 どうせ・・・長い旅になるしな」

スザク「そうだね・・・」

ノイシュ「クーン」
アクセル「行こうぜ、ノイシュ」

ファイドラ「命を粗末にするんじゃないよ」

フランク「キミたちに、マーテルさまのご加護がありますように」

こうして、アクセルとスザクは旅に出た。帰る所を失い、つらく悲しい門出になった。
今の二人には、イセリアはまさに非情の檻といえよう。
鳥籠から放たれた二人。 旅路の無事を祈る者がいないのなら、せめてここから・・・

                        To Be Continued
 
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