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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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恐ろしきもう一つの姿

<ゾーマの城>

大切なアイテムを置いてきたと言われ激怒するアルル達。
そんな仲間等を指差しながら大笑いするリュカ。
もうどうしていいのか分からず立ち尽くすゾーマ…
あの…ラスボス戦の真っ最中なんですけど…

「ジョーク、ジョークよ!ほれ…この通り『光の玉』は持ってきてます!」
存分に笑い終えたリュカが懐から光の玉を取り出し、後方の仲間等に掲げ見せる。
「みんなスゲー顔で怒るんだもん…ちょ~うける~!!」
ガックリと項垂れるアルル等…
この状況で明るいのはリュカただ一人だけ。
オルテガすら青ざめていたくらいだ…

(スッ…)
するとゾーマがリュカの手から光の玉を掠め取る!
「ほう…これがワシの闇の衣を無力化させる光の玉か…」
光の玉をしげしげと眺めながら、リュカから距離をおき呟いた。
「ちょっと…それは大事な物だから返してよ!」

「キサマは馬鹿なのか?」
凄く大切なアイテムを、これから戦う相手に奪われたのに、何故かユルい口調のリュカに、心底疲れた様子で尋ねるゾーマ。
「よく言われるけど何で?」
「…何でじゃねーよ!このアイテムが何に使われるのか解ってるのか!?」
「あれ?…お前もしかしてルビスの説明を聞いてなかったの?それを使うと闇の衣が消えるんだよ。凄いだろ!…じゃ、返して」

「………か、返すワケねーだろ!これを使われたら、ワシは弱くなるんだ…そんな物をこれから戦う相手に渡すワケねーだろ!」
リュカの緊張感のない口調に、思わず怒鳴るゾーマ。
本気なのかワザとなのか判断付かないのが困りものだ。

「あはははは…弱くなるって…たいして変わらないよ。お前、闇の衣があったって弱いじゃん!傷口が回復するってだけで、お前は弱いじゃん!むしろ苦痛が長引くだけだよ?光の玉を使ってサクッと死んだ方が良くね?」
「………くっくっくっ…はっはっはっ…随分と愚かな人間も居たものだ…己の実力も判らぬとはな。よくここまで来れたものだ!」
勝つ事を前提に喋るリュカを見下し、一人であざけ笑うゾーマ…
流石にリュカの表情が真面目な物に変わってきた。

「ふん…大人しく光の玉を返していれば、真の苦痛を味わずに済んだのに………」
「いい加減にしろ!キサマ如きか弱き人間が、闇の大魔王ゾーマ様に勝てるワケが無いのだ!手始めにキサマを一瞬で塵に変え、残りの者共もあの世へ送ってやるわ!」
言い終わるや、ゾーマはリュカ目掛けてマヒャドを唱えてきた!
しかし軽く躱して鳩尾にカウンターキック!
因みにこのキックは、よくドリスがリュカへのツッコミとして入れてくる鳩尾キックと同じ物だ。

「ぐぅ……やるではないか…だが無駄な事…闇の衣がある限「その中途半端な回復を後悔しろ!」
リュカは立ち上がり嘯いているゾーマの台詞を遮り、ドラゴンの杖を掲げながら言い放つ。
「なまじ回復するが為に、僕のもう一つの姿を見る事になる…苦痛の中、後悔と共に死んで行くがいい!」
リュカは杖を掲げたまま大声でゾーマを恫喝し、どちらかと言えば悪者の台詞を叫び力を込める!

するとドラゴンの杖が輝きだし、その輝きはリュカを包み込む!
そしてリュカが見えなくなる程輝きを増すと、突如巨大なドラゴンが目の前に姿を現した!
「な…何だ…これは…!?」
流石のゾーマも絶句する…
そこに現れたドラゴンは、リュカより二回りは大きいゾーマを遥に凌ぐ大きさで、その巨大な尻尾だけで(ゾーマ)の身体と同等なのだ。

「これからお前の苦痛の時間が始まる…光の玉を返さなかった事を永遠に後悔せよ!」
目の前の巨大なドラゴンから、先程まで聞いていたリュカの声が響き渡る。
「と、父さんなんですか!?それは父さんなのですか!?」
後方で控えていたティミーが、リュカの声に反応し思わず叫び尋ねた。

「あぁそうだ。これがドラゴンの杖の本当の能力…」
「すげぇ………あの杖には『ドラゴラム』の力があったんだ…」
リュカの返答を聞き、魔法のスペシャリスト…ウルフが呆然と呟いた。
ドラゴラム…それは使用した者を巨大なドラゴンに変え、その圧倒的な能力で駆逐する魔法…

「…ふ…ふふふ…ははははは!なるほど…ドラゴラムか…しかしそんな物はワシの前では無意味だ!」
ウルフの呟きを聞いたゾーマは、多少狼狽を残しているが、目の前の巨大なドラゴンに向けて凍てつく波動を放つ!
この『凍てつく波動』を喰らえば、魔法の効果は消え去り、また元の人間の姿に戻ってしまうのだが…

「それがどうした!」
「ぐはぁ!!」
なんとリュカはその巨体からは想像出来ないスピードで、ゾーマの凍てつく波動を避け躱し、その巨大な爪でカウンター攻撃を繰り出してきた!

「ぐわぁぁぁ………」
その圧倒的に増したパワーの前に、ゾーマは腹部から半分に引きちぎられてのたうち回る。
だが闇の衣の影響で、そんな状態からでも回復して行く…
「……辛くなったら、何時でもいいから自ら光の玉を使えよ」
皮肉を込めた口調で、巨大なドラゴンのリュカがゾーマを見下ろしながら呟いた。

「お、おのれ~………キサマなぞ、ワシの凍てつく波動さえあたれば…」
そう言い終え、再度凍てつく波動を浴びせようと試みるゾーマ…
だがまたも避けられ、今度は灼熱の炎が(ゾーマ)を包み込む!

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
その炎はゾーマの身体を焼いて行く…しかし同時に闇の衣が焼け爛れて行く部位を回復する為、苦痛の時間が長きに渡る!
その間リュカはトドメを刺す訳でなく、苦痛に苦しむゾーマが落ち着くのをただ待っている。
そして反撃しようと身構えると、その圧倒的強さで苦痛の世界へ引きずり込んでゆく…



 
 

 
後書き
読者様に簡単に展開を予想される作者「あちゃ」…
そんな情けない男の作品ですが、もう少しお付き合いくださいませ!

だれか私に想像力を与えてください。 
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