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蒼の使い魔は悪魔で召喚魔剣士

作者:蒼鈴六花
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吸血鬼

俺たちが翼人たちと村人の問題を解決した後、また依頼が来てプチ・トロワにくることになった。
休む暇もなかったが、タバサの母親の命がかかってるし仕方がない。
次は吸血鬼のようだ、しかしイザベラは腹立つな……今回はとくに何もしてこなかったからよかったが。



そして今回の目的地ザビエラ村の少し離れた所に俺たちは降りた。
あ、そうだ神が俺につけた能力一つがわかった。どうやら動物の言葉がわかるらしい。
普段人のいる所ではしゃべれないシルフィードがそのことを知ったとき大喜びした。
……なぜか召喚獣達の言葉はわからないが。

俺はタバサに

「ここでいいのか?村までまだ少しあるぞ」

「今回は慎重にいく」

「そうか」

そしてタバサはシルフィードに

「化けて」

「いやいや!どうして!」

首を振って嫌がるシルフィードに俺はとりあえず説得して見る。

「竜の姿だとおしゃべりできないぞ」

「きゅい!そ、それは嫌なのね。でも二本足ってぐらぐらするから嫌い!歩きにくい!きゅいきゅい!」

「翼人のときにも言ったが、竜の姿だと村人達が驚くだろう。人の姿にならないと村に入れてもらえないかもしれないぞ」

「きゅいー、しかたがないのね。我をまといし風よ。我の姿を変えよ」

俺は嫌な予感に咄嗟に後ろを向く。
変化が終わったシルフィードは裸だった。

「う~~~~、やっぱりこの体嫌い。きゅいきゅい」

その後、シルフィードに服を着せタバサは杖とマントを渡す。

「お姉さまどういうおつもり?」

「あなた、騎士。わたし、従者」

「?」

首をかしげるシルフィード。

「……多分、囮ってことだと思うが」

「きゅいいいいいいい!お姉さまそれほんと?」

コクリと頷くタバサ。

「ひ、ひどいのね!もうこうなったら後でお肉たくさんもらうんだから!きゅいきゅい」

「アルは召喚獣出して、隠れて村に入って」

「分かった。では、召喚!」

俺の前に黒い機械兵が出てくる。ちなみに霊は隠れてます。

「これはゴーレム?」

タバサはじっと機械兵を見る。

「これはとらわれの機兵と言われる召喚獣だ、ゴーレムではないんだがまぁ……金属でできたゴーレムとでも思ってくれ」

「あとで詳しく聞く」

「説明が難しいんだが……わかった、後で話す」

そして俺たちは村に向かった。



村に着くと遠巻きに村人たちが噂しあってた。

「今度派遣されてきた騎士さまは若い女の人みたいよ」

「呆れた。子供を連れてなさるわ」

「あれ何かしら?ゴーレム?使い魔のほうが強そうじゃないか」

「こないだの騎士さまのほうが、なんぼかお強そうじゃ」

「でもこないだの騎士さまは三日でやられちまった。今度は二日でお葬式かねぇ……」

「騎士なんかあてにならねぇ」

「俺たちの手で、吸血鬼を見つけるんだ」

「……となるとやっぱり、あのよそ者のばあさんが怪しいと思う」

そういうこと言い村人の顔が、怒りと疑いで黒くゆがんでいった。

「きゅい。失礼しちゃうわ!私とお姉さまが頼りないですって?見てらっしゃい。絶対やっつけてやるんだから!きゅいきゅい!」

女騎士の格好したシルフィードが文句を言う。タバサは相変わらず無表情だ。

そしてタバサたちは村長の家に行くが、とらわれの機兵は念のため入り口で待機している。ちなみに俺は隠れてテレビーを召喚して村長の家の様子を映してもらっている。
一応、村の様子も見ながら、タバサたちの様子を見る。

村長の家ではシルフィードが自己紹介の時点でボロが出そうになっておりひやひやした。
村長の報告は見せてもらった報告書とあまり変わらずだいたいこんな感じの内容だ。

二ヶ月前に十二歳の少女が犠牲になったのを皮切りに、九人ばかりが犠牲になった事。
シルフィードは青い顔しながら聞いている。ほんとに大丈夫なのか心配になってくるな……

今の村の現状はお互いグールなんじゃないかと疑って村を捨てるものまで出始めてるらしい。

タバサが村長をグールかどうか調べ、グールじゃないことを確認した後、五歳くらいの金髪の少女が出てきた。エルザというその子も調べられその後、すぐに泣いて飛び出していった。
村長からエルザについて色々聞いた後、タバサたちは調査を開始した。

まず、犠牲者がでた家を回って見る。とらわれの機兵は村人たちに色々驚かれているが気にしない。

どうやら吸血鬼は眠りの先住魔法を使って獲物を眠らせてるらしい。でも部屋は密室で侵入された形跡がない。色々と調べたり話を聞いてると外が騒がしくなる。

二人は外に出ると十数人の村人たちが、クワや棒・火のついた松明などをもって歩いている。
俺はテレビー抱えて移動しながら村とタバサの様子を見る。
タバサたちは村人たちについていくと村はずれのあばら家だった。

村人たちはその家に住んでる婆さんを吸血鬼だと思い、殺そうとしている。息子のアレキサンドルは母の無実を主張するも村人は聞く耳持たず。
我慢できなかったシルフィードが止めに入るも止められず、そこに村長がやってきて何とか止める事ができた。

そしてその後、タバサは自分たちが宿泊してる村長の家に村の若い娘を集め、調査を切り上げてまだ昼間なのに寝てしまった。
俺は吸血鬼の正体知っているし、今のところタバサに危険はないのでテレビーを持ったまま少し昼寝をした。

夕方になり、そろそろタバサが起きているだろうと思い、テレビーを還してタバサと合流する。

「アル、村の様子調べた?」

「あぁ、だが有力な情報はなかったな」

村人の噂もちらほら聞いたが誰が怪しいかとか、引越しのことばかりだったし……

「きゅい、お兄さまどこに隠れてたのね?全然わからなかったのね」

「シルフィードたちから少し離れた場所だ。召喚獣でタバサたちの様子を見てすぐに駆けつけられる様にはしていた」

「そう」

「で、これからどうするんだ?」

俺が聞くとタバサはシルフィードを見る。

「ま、まさか……また囮なのね?」

コクリと頷くタバサ。

「お姉さまはほんと、竜使いが荒いのね!」

「いざとなったら俺達がすぐ助けに行く。まぁ囮だからとらわれの機兵は待機してもらうが」

「絶対来て守ってなのね!」

そしてシルフィードが囮となって二時間ほど……

タバサたちは屋敷から細い悲鳴が聞こえすぐに駆けつけた。
俺は先行して悲鳴が聞こえた部屋の外に行く。

そして窓から誰かが飛び出してきた。その後、窓から顔をだしたタバサが遠くに指を差す。
俺は即座に理解し逃げたやつの後を追う。

誰も見ていないことを確認した後、俺は翼を出し飛ぶ。すぐに逃げたやつを見つけた。
目が血走り、口の隙間から牙をのぞかしたアレキサンドルだった。

「メガクール!」

相手の足を凍らせ動きを止める。
俺はすぐビーストランスを取り出した。

地面に槍をさすと槍が伸び俺は相手の頭上に来る。

「如意槍乱れ突き」

下にいるアレキサンドルを槍で雨のように何回か刺し、地面に着地すると同時にアレキサンドルは倒れた。
そして俺は翼と槍を戻す。
その後タバサが追いつき、アレキサンドルを見てから俺を見る。

「こいつはグールだった」

コクリとタバサが頷き。
俺はタバサの指示で土をアレキサンドルに被せ

「始祖よ、不幸な彼の魂を癒したまえ。イル・アース・デル……ウル・カーノ」

錬金で土を油に変え、発火させる。火花を散らしつつ燃えて犠牲者の遺体を灰に変えた。
それを見届けた後。

「そういえばシルフィードは?」

とタバサに聞いたとたん、シルフィードととらわれの機兵がこちらにやってきた。

「お姉さま!お兄さま!大変!村の皆が!」



俺は、タバサたちの少し後方に隠れながら移動しつつ村に向かった。
だがタバサたちが駆けつけたときには、アレキサンドルの母であるマゼンダ婆さんの家は炎に包まれていた。
村人たちが早まってしまったようだ。

だが、なぜだ?アレキサンドルがグールと分かってからあの家は燃やされるはず……吸血鬼が予定を早めたのか?
俺は疑問に感じながらもすぐにとらわれの機兵に火事を消火するように言った後、様子を見ると村人たちが口々に罵っている。

「燃えちまえ!吸血鬼!」

「何が占い師だ!俺たちを騙しやがって!」

村人の様子を見ているとさすがに胸糞が悪くなってくる。

そんな中タバサは唇を噛むと呪文を唱え、とらわれの機兵もブリザブレイク(弱)を準備する。
タバサのアイス・ストームとブリザ・ブレイクが混ざり燃え盛る屋敷を消火した。
村人たちはその様子を息をのんで見ていたが、我に返り、不満の声をあげた。

「何をするんだ!」

「証拠がない」

厳しい顔つきのタバサが言うと、村人は激昂する。

「証拠?息子がグールだっていう確かな情報があったんだ。息子がグールなんだあの婆さんが吸血鬼だっていう何よりの証拠だろう!」

「見ろよ!吸血鬼は消し炭だ!ざまあみやがれ!」

「こないだ、あんたたちが止めなかったら、もっと早くに解決してたんだ!」

村人の一人がタバサを指差しながら言うがタバサは

「グールの情報を言い始めたのは誰?それに証拠がない」

「もう終わったことだそんなことどうでもいいだろ!」

そして別の村人が

「それに証拠ならあったぜ」

と布っきれが投げ捨てられる。

「そいつが、犠牲者の出た家の煙突にひっかかってた。マゼンタ婆さんの着物の切れ端さ。そんな派手な染めは、この辺のものは着ない」

村人たちは安心した顔で去り始める。口々に使えねえ騎士さまだとかいいながら……
そして村長はぺこりと頭を下げ謝罪した。
俺は最後に他の村人と同じようにさっていく少女を見た。



その後俺たちはとらわれの機兵を還し、部屋で合流したが

タバサは壁際に座り、それを見たシルフィードが落ち込みはじめる。

「なんだか今回わたしたち、あんまり役に立ちませんでしたわね。きゅい」

それを見て俺は。

「シルフィード、まだ吸血鬼は死んでないぞ」

「きゅい!?お兄さまそれどういうこと?」

シルフィードは驚く、そしてタバサも顔を上げる。

「もし婆さんが吸血鬼だとしてグールの情報を漏らすと思うか?」

「漏らさないと思うのね、あ、でも変なのね。グールのこと村人たち知っていたのね」

「他にグールについて情報が流せて、疑われない相手となると一人しかいない」

「それは誰なのね!」

「最後にグールが襲ったのは誰だ?」

「えーと、エルザなのね。運よく無事で良かったの。でも何でそんなこと聞くのね?まさか!」

「シルフィード、落ち着け。そしてタバサ」

俺はタバサを見るとコクリと頷く。

「?どうしたのねお姉さま、お兄さま」

「もうそろそろ来るだろうから俺はシルフィードと森に行っておく。来たら合図してくれ」

コクリと頷くタバサが杖を渡してきたので受け取り、翼をだしシルフィードを抱える。

「お、お兄さま!?吸血鬼の所に行くんじゃないのね!?」

「そのことなら大丈夫だ」

そして俺は窓から飛んだ。



そして少しした後、元の姿に戻ったシルフィードが。

「きゅい!お姉さまが呼んでるのね」

「じゃあ、行くか」

俺はシルフィードに乗ってタバサの元に向かう。

ついたときにはタバサは身動きが取れない状態で服を破かれ吸血されかけていた。
俺は咄嗟に魔法を唱える。

「光よ!フォトン!」

吸血鬼の近くに光が破裂する。

「きゃあ!」

吸血鬼がひるんだ所でタバサのところに翼をだして飛び、タバサを吸血鬼から引き離し杖を渡す。

「きゅい!まさかほんとにエルザが吸血鬼なんて、でもお姉さまを傷つけたからには容赦しないのね!」

シルフィードが突風を起こし、タバサもウィンディ・アイシクルを唱えた。

すぐに立ち直った吸血鬼、エルザは突風に耐え、ウィンディ・アイシクルを数本くらいつつ避けた。その後、俺たちを見て驚く。

「い、いったい何が……風竜それに翼人?なぜこんなところに!」

「それは俺たちがタバサの使い魔だからさ、後、俺は翼人じゃない悪魔だ」

俺はシルフィードが着ていた上着をタバサにかけながら答える。

「悪魔なんてほんとにいたのね。それにしゃべる風竜、古代種……そんなの今でもいたんだ、二人はさっきの口笛で来たのね。けどあの使い魔はなんだったの?」

「あれは俺が術で呼び出したものだ」

「そんなこともできるんだ……で、いつから疑っていたの?」

タバサは

「煙突はとっくに調べた。どこにも布きれはなかった。したがって老婆は犯人じゃない。……となると吸血鬼は小さな子供の誰か」

「あは、どこから進入したか、最初に見抜いてたんだ」

「でも、どの子かわからなかった。けどあの老婆の家が焼かれた時、貴方はしっぽをだした」

「やっぱり、あせっちゃったのがいけなかったか……でも、私だってこのままやられるわけにはいかないの」

エルザは即座に距離をとり詠唱する。

「眠りを導く風よ!」

それに対して俺はすぐさま召喚する。

「召喚!天使エルエル、スペルバリア!」

魔法を無効化する。まさかまだあんなに動けるとは……
タバサは魔法で凌ごうとしたが少しあたってしまい、ふらつく。シルフィードは眠ってしまった。

「あら?使い魔なのに主人を守らないの?」

「眠らせるだけと判断したからな」

「そう、じゃあ今度こそ貴方を眠らせるわ!枝よ、伸びし森の枝よ!彼の手足をつかみたまえ!」

一斉に枝が俺に伸びてくる。俺はタバサから離れながら詠唱する。

「尊貴なる光の斬撃、不滅の悪をも圧倒する!ブレードロール!」

紫色の光の刃が俺を中心に回り枝をすべて切り落とす。
そして俺は驚いて動きが一瞬止まったエルザに即座に近づき適当に剣を取り出した。
それを見たエルザは甘えた声で哀願を始めた。

「おにいちゃんお願い。殺さないで。私は悪くない。人間の血を吸わなきゃ、生きていけないだけ。人間だって獣や家畜を食べる。どこも違わないでしょ?」

「ああ、そうだな。生きていくために必要な殺生は仕方ない。だが少なくともお前はすでに罪もない婆さんを一人死に追いやっただろ。それに……」

俺は殺気を出す。

「お前は俺の主人であるタバサに危害を加えた時点ですでに殺す対象になっている」

「いや!死にたくない!」

殺気を感じ逃げ出そうとするエルザの足をクールで凍らせる。

「わ、わたし、わるくない……」

「生きたかったのなら、もう少し静かに暮らすべきだったな」

俺は剣を振り下ろした。

その様子をタバサは黙ってじっと見ていた。



その後

俺は杖を出して。

「エスポワール」

魔法で二人の魔法による眠気をとばし、タバサにシルフィードの着ていた服を渡して村に一旦戻り荷物をまとめてすぐに村を出た。

そして帰り道。

「お姉さま、優しいですわ。あの村長に手紙を書いたんだもの」

タバサは村を出る前にエルザに関する手紙を書き残していた。内容はエルザを遠い親戚の所に連れて行った。とまあこんな感じだ。

「ああ、そうだな。あの子が吸血鬼だったなんて言えないしな」

本当のこと言うよりましだろう。

タバサは無言のまま、シルフィードが今回のことに不満を漏らし始める。

「今回はこきつかわれた!疲れた!きゅい!」

そしてタバサは
ポケットを探りムラサキヨモギの葉っぱを取り出し、じっと見た後、口にいれ食べ始めた。

そんな光景を見つつ俺は、さっきまでの出来事が嘘みたいだな……などと思いながら三人で帰った。





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今回オリジナル展開、自分にはまだ早かったかな・・・とも思ったり、セリフどうしようと悩みました。

後、今日は書く時間あんまりなかったけど気合で書き上げました。その分もおかしな点があるかもです。

今回出た武器ビーストランスは元ネタの漫画が好きなので出しました。

では誤字・脱字・感想・アドバイス等お待ちしております。


 
 

 
後書き
うしお○とら大好きです。
 
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