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闇を祓う者~他人の恋愛見てニヤニヤし隊~

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原作開始前
  ルナさんとの邂逅

 
前書き
初めまして!
楽しんでいただければ嬉しいです! 

 
 白い。純白という言葉を体現したかのように白で埋め尽くされた空間に、今俺はいた。
 オッス、オラ賀狩彼方。いってぇ、ここ何処だ? オラなんかワクワクして..........こねぇよ。何処だよここ? セルフノリツッコミなんかしてる場合じゃないだろ。
 それにしても何処だろう、ここは? ここに来る前は何をしていた? いや、それは覚えてる。簡単に言うと、死んだわ、俺。となると、ここが何処だかも分かってくる。

「生と死の狭間……かな? 三途の川って無いの?」

 ほとんど独り言……というか、誰も居なかったんだから普通に独り言をポツリと呟くと、それに応える声があった。

「よく分かったね? その通りだよ♪ あと、三途の川があるのはここじゃないよ」

 振り返ると、艶やかな金髪ブロンドをポニーテールにしたナイスbodyの女の人がこっちに向かって歩いてきた。え? なんでボディがアルファベットなのかって? それはほら、あれだよ。ね? 大丈夫、分かってくれる人が絶対いるから。

「こういうのは好きで読んでましたし、死んだはずなのにこんな所にいれば大体把握出来ました。まさか自分が体験するだなんて、思いもしませんでしたけど」
「あははっ! それもそうだね!」
「それで、貴女は神、女神ですね?」
「そうです、私が女神のルナです!」

 女神……ルナさんが胸を張った。……その豊満な胸を揺らしながら。非常に眼福です。ありがとうございます。ん? お前そこ代われとか幻聴が聴こえる。きっと幻聴が聴こえる。

「それで、この状況が分かったってことは、この後の展開……わかるよね?」
「はい。『転生』ですよね? おそらく俺が、そっちの手違いで死んでしまったのが原因で」
「う~ん、半分ハズレで半分正解かなぁ」

 どういう意味だ? はっ! まさか……

「なんでわざわざお前を転生させなきゃいけねぇんだよボケッ! ……的な?」
「違うよ!?  彼方くんの目には私はそんなこと言う(ひと)に映ってるの!? 私が言いたいのは、あそこで死んだのは私達のミスじゃなくて、そういう運命だったってこと」
「はい? ということはなんですか? 俺の寿命は最初からあそこまでだったってこと?」
「そういうことになるね」

 orz……マジかよ……俺の人生あそこまでだってことかよ……。道理で■■■のことを絶対助けなきゃって思った訳だ。いや、違うな。関係ない。あの気持ちは、あのときの俺自身のものだ。運命なんてものに縛られてたまるかっての。

「うんうん。その通りだね。それでこそだよ」
「声に出して無いんだから、勝手に心を読んで反応すんの止めてもらっていいですか?」

 神様だから出来ること何だろうけど、考えてることが駄々漏れになるのは困るなぁ。迂闊なことを考えられないじゃないか。

「変なことを考えなければいいんじゃない?」

 だから止めいと言っとるのに。あと、考えないとか無理です。一応これでも年頃の男子なんで。

「だが断る」

 モウヤダコノカミサマ。断られた、岸辺露伴の顔で断られた……。世の中の(というか神様の)不条理さと岸辺露伴のかっこよさにうちひしがれる。まあ、そんなことを続けていたら埒があかないので本題に入ろう。

「それで、ただ単に寿命を全うして死んだ俺を呼んだ理由は何ですか?」
「ええ、では本題に入りましょうか」

 そう言った瞬間、今まで親しみやすい雰囲気だったルナさんから、突然荘厳さが溢れ出た。俺はそれから目を離せなかった。美しい。素直にそう思った。おそらくこれが神格の顕れなのだろう。

「賀狩彼方くん」
「はい、なんでしょう」
「私の代わりに、闇を祓う者として《闇》と戦ってはもらえませんか?」
「……とりあえず詳細を聞かせてください。それからじゃないと返答のしようがありません。そもそも《闇》とは何です?」
「まずはそこからですよね。例えばあなたたちでいうラノベの世界が本当に存在すると言われたら、信じますか?」

 ありえない話ではないと思う。所謂パラレルワールド、平行世界というやつだ。確か無限-1ぐらいの数あったと記憶している。簡単に説明すると、可能性の世界。例えば、俺の寿命があそこまでじゃなかった世界。俺がここに呼ばれなかった世界。……俺があの力(・・・)を持っていない世界。等々だ。

「平行世界とかですよね?」
「そう。私達は便宜上、『確率世界』と呼んでいるのだけれど」

 『確率世界』か。らしい呼び方だな。

「その『確率世界』にイレギュラーが突然現れた」
「それが、《闇》……?」
「ええ。《闇》とは生き物であって、決して生き物ではないもの。無機物であって、決して無機物ではないもの。現象であって、決して現象ではないもの。故に、生き物であり無機物であり、現象であるモノ」

 何だか、ナイアルラトホテップの説明を思い出した。ナイアルラトホテップまたはニャルラトホテプ。別名として、『燃える三眼』、『這い寄る混沌』、『月に吠えるもの』等々。人で遊び、弄び、人の心を可笑しく、犯し尽くす。そして、人の人生を脚本家として、時には自分自身が役者(キャスト)として、喜劇(悲劇)にし、笑い、嘲笑うかの邪神。かの邪神の特徴は無貌故に、逆説的に千の貌を持っているということだ。『這い寄れ!ニャル子さん』では、割とコミカルに描かれていたが、本来は『斬魔大聖デモンベイン』のナイアの様な全ての黒幕であることが殆どだ。

「ただ、私達も正確には《闇》についてはよく分かっていないわ。分かっていることは、世界を喰らって成長するということ」
「世界を……喰らう……」

 待てよ、そんなことしたらその世界は…

「そう、消滅するわ」

 サラッと俺の心を読んでくれちゃったりしたが、そこにツッコむ余裕がないぐらいに愕然としていた。

「事情は分かりました。だけど何故俺なんです? ただの人間ですよ?」
「何を言ってるのかしら? あんな能力(スキル)を持っておきながら。そんなのは普通の人間とは言わないわよ」
「それは言わないでください。あれは滅多なことがない限り使えませんよ。暴走することの方が多いです」
「貴方が未熟だったからね」
「返す言葉もありません。しかし、貴女じゃダメなんですか? 貴女は神なんでしょう?」
「う~ん、まあ、そうなんだけど」

 あ、口調が戻った。

「私じゃダメなの。理由は名前から推測して。多分彼方くんなら分かるわ」

 名前? ルナ、ルナねぇ……あ、そういうことか。

「貴女の名乗った名前はルナ。ルナとはローマ神話における月の神。月は夜の主。つまり、月の神は夜の神。属性は月の神であるために光も含めているが、主な属性は闇。だから、同じ属性である《闇》を倒しきれない」
「そういうこと♪ それでは問題です、私の神としての本当の名前はなんでしょう?」
「ルナだ! ……と言いたいところだけど、それじゃあさっきの威圧感が説明できない。ルナはギリシャ神話のセレネと同一視される。そして、セレネは同じギリシャ神話のオリンポス十二神の一柱であるアルテミスとも同一視される。アルテミスは月の神であり、狩猟の神。これで、さっきの威圧感も説明がつく。よって、あなたはアルテミスだ。Aren't you?」
「あったりー♪ よくわかったね?」
「知恵を振り絞りましたとも、ええ。ライトノベルも役に立つもんだ」
「それでもすごいよ。あ、あと私のことはそのままルナで」
「了解です。因みにコレ。断ったらどうなるんです?」
「彼方くんの記憶を全て消してランダムで次の世界へ送る。引き受けてくれるなら、特典(ギフト)を与えていろんな世界へ行ってもらうかな」

 む?

「転生する世界は一つじゃないんですか?」
「めんどくさいことに《闇》はしぶといんだよねぇ……」
「なるほど、分かりました。引き受けます」
「いいの? 色んな世界廻らないといけないから大変だよ?」
「むしろそれは願ったり叶ったりです」
「ありがとう!」

 ルナさんは笑った。ルナさんは月の神だが、その笑顔は太陽のように輝いていた。

「それにルナさんみたいな美人から頼まれちゃ断れないですよ」
「もう、彼方くんったら。じゃあ、この中から行きたい世界を選んで?」

 はぐらかされてしまった。というか、

「行き先選べるんですか?」
「うん、いった先で何も無ければそれでよし。あったら対処する。というか、こちらから《闇》の出現は予測出来ないんだよねぇ」

 なるほど。さて、何処いこうかなぁっと。……お?

「じゃあ、此処で」
「ISね。なんかこうして欲しいとかいう願望はある?」
「そうですねぇ、じゃあこれは絶対お願いしたいんですけど転生するとき、俺を主人公、ISで言えば織斑一夏として転生させないでください」
「なんで? ISに転生なら普通一夏に憑依でハーレム狙いじゃないの?」
「俺にそんな甲斐性ありませんし、修羅場は遠慮したいですね。そもそも第一に俺は他人の恋模様を見てニヤニヤしたい」
 
 そう言った時の俺の顔はさぞかし愉しそうな顔をしていたことだろう。愉悦だ。そんな俺の顔を見たルナさんもニヤッと笑い、

「いいねぇ、それ。すごく私好みだよ♪」

 どうやら、俺とルナさんの好みは同じ様だ。

「じゃあ、特典(ギフト)の内容を決めていこうか。王の財宝(ゲートオブバビロン)とか無茶言わないでよ?」
「流石にそんなこと言いませんよ。扱いきれませんし。まず、その世界にあった素質をください」
「OK! ISの世界に行ってISに適性ないんじゃ意味ないしね」
「あと、ディケイドかなぁ。あれ、ドハマリしたんですよ」
「分かった。にしても面白かったねぇ」

 ルナさんもハマっていたご様子。てか、天界(?)でも仮面ライダーってやってんのか。

「他には?」
「他か……あ、俺のISってどうなります?」
「彼方くんを送ってから造るけど、なんか要望ある?」
「いえ、お任せで。出来れば早めで白騎士事件の一年前には欲しいです。操縦に馴れておきたいので。大丈夫ですか?」
「だいじょぶ! 任せてよ!」
 
 この人、さっきの大人っぽいのもいいけど、なんかこういう子供っぽい感じも可愛いよなぁ」

「ちょっと、彼方くん!」

 あれっ!? ヤバい、なんか大事なこと話してたか!? うっかりにも程があるだろ……

「そういう恥ずかしいこと、本人の前で言わないでよ……」
「ゑ?」

 ルナさんは頬を朱に染めながら言った。俺なんか言った? 思いだs……ん?

「今の読まれてました?」

 しかし、フルフルと首を横に振るルナさん。もしかして……?

「さっきの……口に出しちゃってました?」

 外れて欲しいと思いながら訊いたものの、願い叶わず首を縦にコクンと振ってしまう。あかん、フォローせねば!

「あの、ルナさん? 今のは思わず口に出ちゃった言葉なので、本心であってお世辞じゃないですよ……って何を口走ってんだ俺はぁぁぁぁああああ!」

 フォローになってねぇよ、俺のバカ! 追い打ちかけてるだけだよ、俺のアホ! ほれみろ、ルナさん顔真っ赤にして俯いちゃってるじゃねぇか! 可愛いなぁ、もう。じゃねぇだろぉぉぉぉぉおおお!

                 ~しばらくお待ち下さい~

「落ち着きましたか?」

 自分自身に向けてもいるが。

「うん、ゴメンね? ありがとう♪」

 謝るのはむしろこちらですよね。ごめんなさい。

「話を戻すけど、他にある?」
「割と丈夫な身体(内蔵含む)で」
「最後の(内蔵含む)って何?」
「俺はこれから色んな世界に行かなきゃいけないんですよね?」
「そうだよ?」
「その中には普通の食材を化学兵器にする必殺料理人がいるわけです」

 ISでの千冬さんやセシリアなどもそこに入る。

「俺は料理を食べて死にたくない!」
「なるほど、切実だねぇ」
「と、まあ、こんなもんですかね」
「もういいの? ニコポとかもあるよ?」
「要りませんよ、あんな地雷スキル! 踏み台まっしぐらじゃないですか!」
「まあ、同意見なんだけど。いるんだよねぇ、まずニコポとか、まずナデポとか」
「アホですね。あと最初に言ってた王の財宝(ゲートオブバビロン)とかね」
「転生させる側の私達が言うのもダメな気もするんだけどさ」
「なんですか?」
「明らかにハーレム目的の奴とかいるじゃん?」
「いますねぇ」
「正直さ……最初の彼方くんの台詞じゃないけど、なんでわざわざお前を転生させなきゃいけないのかって思うんだよね」
「ルナさんも女性ですもんね」
「その転生した奴がさ女の子に相手にされてないのを見ると笑えてくるんだよね」
「すごい分かる気がします」

 俺が同感の意を伝えると、ルナさんが悲しそうな顔をして言った。

「さて、もう貴方を送り出さなきゃ行けない」

 そして、真面目な声音で

「ゴメンね、重い使命を貴方に与えてしまって……」

 そう謝った。やっぱり気にしているのか……。ルナさんは自分のせいだと自分を責めてしまうだろうから、

「使命じゃないですよ、言ったでしょう? 貴女みたいな美人に頼まれちゃ断れないって」
「お世辞はいいの」
「お世辞なんかじゃない! 俺は貴女の役に立ちたいと思ったから引き受けたんだ。だから、自分をそんなに責めないでくれよ」
「もう、彼方くんたらカッコつけちゃって……そんなこと言われたら好きになっちゃうよ」
「え?」

 後半が小さくて聞き取れなかったから聞き直そうとしたが、止めておいた。なんだか訊かない方が良いような気がした。

「それじゃあ、彼方くん」
「はい。行ってきます」
「うん、いってらっしゃい」

 そう言うと、急速に全てが白に支配されていった。

「ま……て……わ……も……ぐに……彼方くん……に……に……から!」

 ルナさんが何か言っているが、もう断片的にしか聴こえない。ただ名前を呼ばれたのは分かった。そして、最後に俺が見たのは今までで一番のルナさんの笑顔だった。















『待っててね。私もすぐに、彼方くんの所に会いに行くから!』 
 

 
後書き
ナイアルラトホテップ、ルナ、アルテミス、セレネについては俺の独自の考え方ですので、間違った所があってもそっと胸にしまいこまず教えてください!

感想等々お待ちしてます!

7/4 修正 半分ハズレで半分ハズレ→半分ハズレで半分正解 どっちもハズレやん…… 
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