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東方変形葉

作者:月の部屋
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幻想入り、そして修行
  東方変形葉4話「永夜異変」

 
前書き
夜が明けない。
いつまで待っても朝は来ない。
満月はいつまでも同じ位置にいる。
「・・・あの月、偽物ね。」
「ええ!?」
「満月のように見えるあれは、ほんの少し欠けている。異変がはじまるわ。即行で行くわよ、藍。霊夢を連れてね。」
 

 
目が覚めた。今日は寝ている間に橙が抱きついてこなかったのですんなり体を起こすことができた。だが・・・
「・・・暗い。」
どういうことだろう、確かにしっかり寝たはず。
不思議に思いながら廊下を歩いていき、台所へ行くと、手紙が置いていた。


裕海へ

幻想郷で異変が発生したわ。夜が明けないのもそのせいよ。付け加えると夜を引きのばしているのは私だけど。私と藍は解決に行ってくるから、橙にご飯をつくってあげなさい。いつ帰れるかわからないけど、なるべく早めに帰ってくるようにするわね。あと、きのうしたような修行をできたらしてちょうだい。  


紫より


・・・・異変・・・・夜が明けないほどの異変。異変というのがどういうものかわからないけれど、恐らくは事件みたいなものだろう。



「ふにゃぁぁぁぁ・・・あえ?暗い・・・え?ゆーみくんどこ?暗いよぉ・・・怖いよ・・」



朝ごはん作らないと・・・あ、その前に橙を起こしておこう。一通り説明しないといけない。
そう思い、自室のドアを開けると、涙目の橙がいた。
「えーーーーーーん」
「うおっと」
抱きついてきた。あ、もしかして怖かったのか?
「一人にしないでよぉ・・怖かったよ・・・」
「ごめんね、怖い思いさせちゃって。」
やさしく橙の頭を撫でる。



しばらくして泣き止んだ。
「落ち着いた?」
「うん・・」
「じゃあ一応伝えるかな。」



「・・・ということなんだ。」
「えー、ゆかりさまもらんさまもいないのー?」
「そういうことになるね、大丈夫。あの二人のかわりになってあげるから心配しないで。」
あの二人のようになれるかどうかわからないけど。
「うん!・・・ところで、ごはんつくれるの?」
少し不安げに質問した。
「ああ。一応前までは一人暮らしだったからね。何か食べれられないものとかある?」
「ねぎとか、生卵とかいろいろ」
「猫が食べられないもの全般か。」
とりあえず朝食はパンを焼こうかな。



昨日と同じように修行を行う。今日はふたりがいないから橙に手伝ってもらう。昨日の内容・・
・まず、3秒以内に能力を使い、完全に変化させること。
・それができたら2つに増やし、3秒以内に完全に変化させる。もちろんそれぞれ別のものを使う。
・さらにそれができたらどんどん増やしていく。
ということだ。
「もってきたよー。」
「ありがとう。」
紙の箱、鉄球、水の入ったコップをもってきてもらった。昨日は1つはいけたけど、2つ同時ができなかったからね。よし。まず一つ目・・・・
「わぁーすごい!紙の箱が木箱になっちゃった。」
次!なんだか今日はいける気がする。力を込めると、鉄球は銅になり、水は氷になった。


そのころ、紫たちは・・・

「紫、そういえばこの前、おもしろい子を連れてきたっていってたわね。」
霊夢が質問した。片手でお札を撃ちながら質問するなんて器用なことするわね。
「ええ、そうよ。それがどうかしたのかしら?」
「どんな子?」
単純な質問だ。
「おもしろい子よ。」
「どんなふうにおもしろいのかきいてるのよ!」
霊夢は少し怒って聞いた。
「それを聞いてどうする気?」
「神社の役に立つかもしれないじゃない。」
“変化”を操ることができるから、神社を金持ち状態に変えられるかもね、とはいえない・・・思わず苦笑いをしてしまった。
「役に立つの?」
「ま、まあ家事ができるからそれなりに役に立つんじゃないかしら・・・あはは・・・」
「む、何か隠してるわね?いいわ、すぐに白状させてあげるわ!」
さすが博麗の巫女。勘がいいわね、変なところで・・・
「あ、紫様。鳥の妖怪らしき奴が近づいてきます。」
藍が教えてくれた。さて、これが終わったら焼き鳥でも食べようかしら。



二時間たち、今日の修行は終了した。すごく疲れたので寝ることにした。縁側で。夜のように暗いので寝るのには最適だった。

「ゆーみくん・・・あ、寝てる。」
すう、すうと寝ている、疲れたのかな。
・・・寝顔意外とかわいい。わたしも寝ようかな。夜のように暗く、薄寒いので、ゆーみくんにくっついて横になる。あ、寝返りをうってきた。って顔近!吐息がかかるほど近い。胸の鼓動が高鳴る。離れようにもゆーみくんが寝返りをうつときにわたしを抱くような体勢になってしまって離れられない。どうしよう・・・


「んっふわぁぁぁ」
あーよく寝た。何時間寝ただろう。疲れがすっかりとれている。ん?
「きゅう~~・・・」
橙が横にいる。なんだか顔がものすごく赤い。・・・あれ?いまどういう状況?
・・・どうしてこうなったのだろう。橙を抱くような体勢になっている。しかも顔がかなり近い。どのぐらいかといえば、橙の甘い吐息が顔にかかるほど。寝返りをうったのだろう。冷静に分析しているように見えるが、実は顔がものすごく熱い。こうやって分析するのが不思議なぐらいに。
紫がいなくてほんとうによかった。いたら絶対しばらくからかわれそうだから・・・。まだ外は暗く、異変は終わっていないようだ。


お腹がすいたのでとりあえず昼食を作る。橙は寝かしておいた。うーん、ちょっと寒いからうどんにしようかな。ちゃんとねぎ抜きのやつを。

「おーい橙、ご飯できたよ。」
「う~ん・・・」
あれ?起きない。相当深い眠りについているようだ。ちょっといたずら心がでてきた。足の裏をこちょこちょ・・・
「う・・にゃ!?にゃあああああ!」
すごい勢いでとびはねて起き上がった。尋常じゃない反応だ。かなり効くようだ。
「にゃっにゃにすりゅにょお!?」
「ああ、いや、なんかかわいかったから・・・」
「か、かわ・・・!?にゃ、にゃかりゃってそんにゃことしにゃいの!わかった!?」
ほっぺをふくらましてる。かわいい。
「ふふっわかったわかった。あ、そうそう、ごはんできたよ。」
「にゅう・・・」
いいものが見れたので、満足満足。


またそのころの紫



「魔理沙を倒していたら変な屋敷についたわね。」
竹林の中にひっそりと建つこの屋敷が怪しい。
「おそらくここにこの異変の主犯がいると思ってもよさそうね。この異変はあのお子様吸血鬼が起こした紅い霧のときの異変よりまずいわね。早く終わらせましょ。」
「だれがお子様吸血鬼よ。」
遠くから声が聞こえた。あら、メイドも一緒ね。
「噂をすれば何とやらね。私たちに倒されに来たのかしら。」
「いいや、犯人がどこにいるかわかったからね。だけど、一緒に行かせるつもりはないよ。」
それはそうだろう。
「あら、私たちが吸血鬼なんかと仕事を一緒にするとでも思ったのかしら?」
「思わないさ。だからあんたたちをやっつけてから行こうと思ってね。ね、咲夜。」
「はい、お嬢様。」
あらあら、威勢のいいこと。
「ふふふ、おもしろいわね。どちらが異変解決に適しているか、白黒はっきりつけようじゃないの。」
「ふん、この偽の月の下で、おまえたちは紅く染まる!」

紅符「スカーレットシュート」

メイド秘技「殺人ドール」

「来るわよ紫!」
「ええ。あなたは下がってみていなさい、藍。」
「はい。」

夢符「二重結界」

魍魎「二重黒死蝶」


提示された枚数はそれぞれ3枚。
一刻も早く終わらせるために少女たちは急いで戦う。この長い、永い夜の下で。



うどんを食べ終え、また昼寝をし、夕食を食べた。・・・なんだか寝てばっかだな。
「ゆかりさま、らんさま、大丈夫かな・・・」
「きっと大丈夫だよ。異変なんてぱぱっと片づけちゃうよ、あの二人なら。」
といっても、そういえる根拠がないけれど。そういえば食事はどうしているのかな。
「あ、そろそろお風呂沸いたかも。」
風呂場へ行こうとすると、橙が服を引っ張った。
「どうしたの?」
「・・・ひとりにしないで、こわいの。」
子供の弱弱しい声が聞こえた。
「そ、そうか・・・じゃあ・・・一緒に入るか?」
橙は頷いた。まあ子供だから仕方ないか。



「はあ~、いいお湯だった。」
「ふにゃわぁぁぁぁ」
大きなあくびをしてる。眠そうだな。
「眠い?」
「うん。でももう少し起きてる。」
「じゃあ外で月でも見る?」
「うん!」

外で月を見る。もともと俺は月を見るのがなんとなく好きだった。孤独なのに美しく光り輝くあの月が。
だけど、今日の月はなんだか違う。あの月はなんだか、本物の月の代わりのような感じがする。
そう、まるで誰かから逃れるかのように。


またまたそのころの紫


「あー。疲れたわ。」
「あともう一息よ。がんばりなさい霊夢。」
霊夢が言うのも無理はない。レミリアたちを倒したのはよかったが、もう何時間も夜をさまよっている。疲労はたまるはずだ。
「そんなこと言ったって―・・・あら?あんなところに扉があるわね。」
「し、しまった!まだ封印が完了していない扉があったの!?」
「・・・紫、私の勘が正しければこの奥にいるのがあの兎の師匠さんの本当の目的が“いる”と思うわ。」
「そうね。行ってみましょう。行くわよ藍。」
「はい。」
「ああ~師匠におこられるぅ~」
なんか兎の耳をつけた子がへなへなと崩れてる。まあどうでもいいわね。

「ああもう、あの子は何しているのよ。」
服がちょっとおかしい人が来たわ。どこで売ってるのよ、その服。
「永琳は下がってなさい。」
「えっ姫様!?」
どうやらこの着物をきた奴は、「主犯」ではないが、「目的」のようだ。
「久しぶりの満月がでてるわ。」
霊夢がつぶやいた。たしかにあの満月はいつもの満月だ。
「もとにもどったみたいね。」
「ええ。だけどあなたたちは帰さないわ。私が満足するまでね」
「迷惑なやつね」
全くその通りである。まあ、これが最後なら別にいいのだけれど。それに・・・
「異変の犯人で迷惑じゃないやつがいたかしら?」
霊夢に少しだけツッコミを入れた。
「いないわ。だから懲らしめに来てるんじゃない。」
「それもそうね。」
「幾つもの地上人が敗れ去ったこの五つの難題を、あなたたちは解けるかしら?」


夜明けが近い。異変は片付いたのだろうか。
「すぅ・・すぅ・・・」
膝の上で橙は寝ている。俺もなんだか眠くなってきた・・・



「ただいまー。元気にしてたー?・・・あら?」
膝の上に橙のあたまを乗せて座ったまま裕海は寝ていた。
「寝てますね、仲良く二人で。」
「仕方ないわね。寝かしておきましょう。」
「そうですね。」




こうして、永い夜の異変・・・永夜異変は幕を閉じたのだった。
 
 

 
後書き
4話書き終えました!永夜異変は俺が知ってる異変の中でも難しい内容だったので少し苦労しました。では! 
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