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インフィニット・ストラトス 自由の翼

作者:ren sagiri
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二人目の男性IS操縦者……です。

○side春奈

「あ、あったあった。案内ありがと春奈。」

「ううん。私もこれといった用事がなかったから。」

「そう?じゃあまたね春奈。おやすみ~♪」

「うん、おやすみ。」

鈴ちゃんを総合受付近くまで案内して寮に戻ります。

……それにしても先刻は酷い目にあいました。

鈴ちゃんと再開直後に胸を弄ばれて、嫉妬に火が付いたのか30分はじゃれ憑かれてました。

彼女の絡みは会う度に過激になっている気もしますが……哀しいかな。彼女のセクハラには慣れました。

とにかく、お腹もすきましたし食堂に向かいます。

凰 鈴音。彼女の、鈴ちゃんのフルネームです。

箒ちゃんが引っ越して行ったあとに入れ違いで転校してきて仲良くなった娘です。1年前に何らかの事情で中国に転校していきましたが。……IS学園には、恐らく中国の代表候補生として転校してきたのでしょうね。

一夏曰くセカンド幼なじみです。ちなみに箒ちゃんがファースト幼なじみ。……幼なじみにファーストもセカンドもない気がしますが。

それから10分後に食堂に着きましたが何やら騒がしい気が。

私が食堂を覗くと目のあった生徒が私を指差して……こら、行儀が悪いです。

「織斑さん発見!」

その声に反応したのは入口近くの生徒二名です……なに事ですか?

「―――確保ォォッ!」

突然走ってきた2人の生徒にガッチリと両腕をホールドされてしまいます。

……ってぇぇえ!?

私何も悪いことなんてしてませんよ!?なんで拘束されてるんですか!?

「織斑さん遅いよぉ~。」

「みんな待ちくたびれてたんですよ?人数が揃ってないって。」

何のことかが分からず暫し考査……あ、一つ思い当たりました。

私は頭上後ろを見ると[織斑一夏クラス代表就任記念パーティー]とホログラムが投影されています。

「それにしても、篠ノ之さんてなんでもできるんだねー。」

「……頼まれなかったらしなかった。私は頼まれたから……。」

箒ちゃんが編集したのか。うん、和風で落ち着きます。

……はて?

参加者がうちのクラスだけかと思ったらそれ以上の人数がいる気がするのは気のせいでしょうか?

私が入口付近でほうけている一夏に鈴ちゃんの話しをしようとした時に元気な声が食堂に響きました。

「はいはーい、新聞部でーす。今期話題になっている新入生の織斑一夏くんと史上初の第4世代IS登録操縦者が織斑春奈さんに特別インタビューをしに来ました~!」

周りが盛り上がる中私と一夏は取り残されて状況が掴めません。……特別インタビュー?

「あ、私は二年生の黛 薫子。よろしくね。IS学園の新聞部副部長を任されてまーす。はい、これ名刺ね?」

もらった名刺を見た私と一夏は多分おんなじこと考えてるんだろうなこれ……画数の多い名前ですね。書類とか書くこの人は大変に違いないかも。

私はもらった名刺を腰に下げた端末に量子転換(インストール)してそこから自分の名刺を呼び出し(コール)して実体化します。名刺のストックは残り50枚ですね。

「ご丁寧にありがとうございます。私は楯無生徒会長の元で生徒会庶務を勤めています、織斑 春奈です。以後お見知りおきを。」

私の差し出した名刺を黛さんが「これはご丁寧に」と受け取りながら

「たっちゃんから話は聞いてるよ。敏腕庶務の春奈ちゃんって呼ぼうかなって言ってたよ?」

……あ、楯無さんと同じ二年生だったのか。黛さんは。

「何ですかそれは……。まぁ、あの人の考えそうなことですけれども。」

「それはそれとして、インタビューさせてね?」

断っても意味がないと瞬間的に悟った私は素直に頷きます。

「まずは一夏君からお願いするわね?ズバリ、クラス代表になった感想をどうぞ!」

黛さんの瞳が無邪気な輝きに……子供みたいですね。ボイスレコーダーをずいっと一夏に向けています。その様子はアメリカ兵におかしをねだる子供のような―――結局思い当たるのは子供ですね。

「えーと……」

一夏はあまり乗り気じゃない様子ですが答えるようです。

「まぁ、なんと言おうか……頑張ります。」

それを聞いた女子が数名ずっこけます。一夏に期待する方が悪いんですがね。

「えー?もっといいコメントちょうだいよ~。「俺の視線に痺れるなよ?」とか!」

「「古いわ!」」

思わず突っ込む私と一夏でした。

「あははっ。君たち面白いね。まぁ、適当に捏造しとくから良しとするかな。」

「……よくねぇよ!」

「じゃあ次は春奈ちゃんね。日本代表候補生になった感想をどうぞ!」

「……織斑先生を超えるくらいの国家代表になれるように頑張ります!」

『……』

とりあえず目標は大きく持ちましょう……て、何?この沈黙。

「は、春奈ちゃん……本気で言ってるの?」

「……黛さん?何かおかしかったですか?」

「う、ううん。目標が纏まってていいな~と思って。(あの織斑先生(ブリュンヒルデ)を超える……そう大見得を切ったのはこの娘くらいね。―――今年の新入生は面白い子が多いわ。)」

少々焦っていたようですが何だったのでしょうか?……スルーしますけども。

「あ、セシリアちゃんもコメントちょうだい。」

「わたくし、こういうコメントはあまり好きではありませんが……仕方がないですね。」

と言うセシリアは完全に見えやすいところにいました。近くに控えてたんでしょうがと心の中で突っ込みます。

「ではまず、何故わたくしがクラス代表を辞退したかといいますと―――」

「……ごめん、時間も押してるし長そうだからコメントはいいや。写真だけ撮らせてね。」

「んなっ!?最後まで聞きなさい!」

「いいよ。適当に捏造しとくから。よし、春奈ちゃんに惚れたからってことにしとこうか。」

「「なんでそうなるの(んですの)!?」」

……思わずセシリアとハモりながら全力で否定する私。そりゃそうでしょ!?私は百合っ子じゃないですし、間違えられたくありませんからね?

「うん、いいコメントありがとね。悪いようにはしないからさ。」

無邪気な笑みを見せられると反論する気も失せました。セシリアも同じ気持ちなんでしょうね……スゴイ大人しくなってます。

「んじゃ、専用機持ちのみんなで並んでね。」

「……ツーショットではないのですね。」

「……?セシリア、何か言ったか?」

「い、いえ。なんでもありません。」

……また、相談の件数が増えそうだなぁ――主に一夏に惚れた女子からの。

「じゃあ、そこに並んでね。」

『分かりました(わ)。』

セシリア、私、一夏の順で並んで

「ほんじゃあ撮るよ。1+1は~?」

「「……2?」」

「田んぼ?」

「春奈ちゃん正解!」

『え゛!?』

パシャっと切られるシャッターの音。

「アハハ。うまく引っかかってくれたわね、いい顔が取れたわ。」

そんなことがありながらも、この宴は夜の10時まで続きました。

私と一夏も色々と疲れたので部屋にたどり着くなり、すぐに寝ていましたがね。

……あ、鈴ちゃんのこと言うのを忘れてました。―――ま、いっか。




○Noside

翌日の教室で一夏は隣席に座る女子に話しかけられた。

「織斑くんおはよー。ねぇ、噂聞いた?」

「噂?」

「うん。転校生が来るって噂。」

一夏は首をかしげてわからないと表現する。

「転校生……聞いてないな。この時期の転校生って結構珍しいんじゃねぇのか?」

「そう。その噂の娘、中国の代表候補性なんだって……春奈ちゃんは何か知ってる?」

「あ、多分その子は―――」

「わたくしの存在を危ぶんでの転校に違いありませんわ!」

横槍を入れる乱入者(セシリア)に一夏と春奈は非難の視線を向ける。物理的干渉力があれば彼女のハートは粉々になっていただろう。

「まぁ、このクラスに転校してくるのではないのだろう?騒ぐほどのことではないだろう。」

タイミングを測っていた箒が会話に入ってくる。セシリアはこのやり取りを見て少しは学習したようである。

「どんな奴なんだろうな。」

「いや、だから。私と一夏が―――」

「「気になるのか(気になりますの)!?」」

「えっ!?……いや、どんなISを持ってるのかが気になっただけだよ。」

いきなり前のめりになって聞いてくる箒とセシリアに一夏は思わず仰け反る。

「「―――ならいい(ですわ)……真似をするな(真似をしないでください)!」」

春奈はその様子を眺めながら、恋の宿敵(とも)……か。と少しズレたことを考えていた。

「皆さん、今日はビックサプライズがありますよ!」

そんな声と共に副担任の真耶が教室に入ってくる。普段よりも大きな声に生徒一同は若干戸惑いながらも席に戻っていく。

「山田先生。少し落ち着いてはどうだ?―――入ってこい。」

千冬は浮かれている真耶に一喝を入れながら廊下に声をかける。

「はいっ!」

威勢のよさそうな元気な声が廊下に響いた。

その声色は教室を静寂に包む。その理由は……

教室に入ってきたのはIS学園の制服に身を包んだ赤い髪に翡翠色の瞳を持つ男子生徒(・・・・)だった。ただ、その左目は青色の布地に不思議な紋章を縫い付けた眼帯に覆われている。

「俺は七ノ瀬 天地だ。趣味はバイクで行く一人旅と旅行先での食べ歩きだ。よろしくな!」

教壇で笑顔を見せているのは世界で2人目の男性IS操縦者の七ノ瀬 天地。

メディアへの露出を避けていたため世間ではあまり知られていない。

教室の生徒たちはポカンとしているが、興味なさげな視線を持つ者もいる。

それは春奈、箒、セシリアの3名であるが。

『キャア~~ッ!』

「「ひィッ!?」」

空を裂くとはまさにこのこと。黄色い悲鳴に男子2名が同時に驚いた。

「イケメン!太陽みたいな笑顔が素敵!」

「ミステリアスな雰囲気をかもし出す眼帯に惹かれるわ!」

「こっち向いて!天地くん!」

……とまぁ、教室は変な熱気に包まれてしまう。

因みに天地の眼帯に縫い付けられている紋章はあの組織―――ソレスタル・ビーングの物と同じだ。

「落ち着かんか馬鹿者ども。さて、七ノ瀬。織斑弟の隣が空いているのでそこに座れ。」

千冬は生徒一同に鬱陶しそうに一喝。天地に指示を出した。

「分かりました。」

天地は指示に従って着席しながら隣の一夏に話しかけた。

「よろしくな織斑。まぁ、おなじ境遇同士だし、仲良くしようぜ。」

「ああ、そうだな。何か分からないことがあったら訊いてくれ。……答えれる範囲であれば教えるよ。」
「その時は頼むな。」

軽く挨拶を交わす一夏と天地。

「さて、諸君。授業を始める。今日は制動と制御の正誤性についての授業だ」

こうして、IS学園の一日が始まるのであった。




○side天地

授業が終わり、ほかの教室にも情報が行ったんだろうな。教室のドア、窓には上級生に同学年が集まっている。

……なんというかこの環境に慣れたと言っていた織斑弟には感心させられるな。

そんなことを考えながら俺は左目の眼帯に触れた。

俺を拾ってくれたリボンズには感謝もしている。6年前にイギリスで起きた自爆テロで俺は両親と左目の視力を失った。

髪かって最初は黒かった。でも、いつからかは知らないが赤く変色していったっけな。

ふと、俺は織斑姉を見る。リボンズ曰くとんでもない秘密を抱えた少女だって言っていた気がする。

容姿がデアラの十香って時点でびっくりしたけどな。

……ん?ドアの方が騒がしいな。何があったんだ?

「んなっ!?なんてこと言うのよ、アンタは!」

「おい。」

「なによ!」

バシンッ!……千冬さんにタメ口聞いたらどうなるか分かってるはずなんだがな。

「ち、千冬さん!?」

「……織斑先生と呼べ。休み時間は終わりだ、さっさと教室に戻れ。そして、教室の入口を塞ぐな。―――邪魔だ。」

「……す、すいません。」

千冬さんに……織斑先生にしばかれていたのは二組の中国代表候補生だったな。―――なんだ?すげぇ嫌な予感がするのだが。

「また後で来るからね!?逃げんじゃないわよ、一夏!」

「……逃げねぇよ。」

「凰、さっさと戻れ。」

「はい!」

どうでもいいから覚えてなかったがこのあと篠ノ之とオルコットが追加でしばかれていたのは言うまでもない。

……鬼の通り道を塞ぐからだと俺は思った。

● 
 

 
後書き
天地と剣戟を重ねた一夏は彼と仲良くなっていく。

そんなある日、春奈はピットに現れた鈴音に[禁句]を発してしまう。

次回インフィニット・ストラトス 自由の翼

怒髪天の宣戦布告

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