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美しき異形達

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第六話 水と氷その四

「別にね」
「そう仰るのですか」
「うん、僕は僕だよ」
 あくまでだとだ、智和は菖蒲に気品のある笑顔で話す。
「だからそうしたことはね」
「言わないで欲しいのですね」
「出来るだけね」
「わかりました、それでは」
 この話はこれで終わった、菖蒲はそれを待っていたかの様に智和に尋ねてきた。
「先輩、それでなのですが」
「うん、何かな」
「先輩もあの怪人達のことは御存知ですね」
「彼等の正体はまだわからないけれどね」
「そうですか」
「うん、一切不明だよ」
 その何もかもがというのだ。
「僕も残念に思っているよ」
「明らかに普通の存在ではないですね」
 菖蒲はクールな顔と目で述べた。
「彼等は」
「自然の存在ではないね」
「あってはならない技術で生まれたものかと」
 菖蒲は智和にこの予想を述べた。
「それも生み出された」
「誰かによってだね」
「はい、何者かによって」
「問題はその誰かだね」
「そうです、誰でしょうか」
 菖蒲は智和との話を進めた、あの怪人達のことを。
「若し彼等を生み出しているのなら」
「相当な奴なのは間違いないよな」
 薊も話に入って来た、腕を組み考えている顔で述べる。
「技術があって連中を生み出す金と設備があって」
「相当なものよ」
 このことは間違いないというのだ、菖蒲も。
「その三つの要素を備えているとなると」
「何だ?どっかの政府か?」
 薊は腕を組んだまま考える顔でこう言った。
「アメリカとか中国とか」
「どちらの政府でも流石にないと思うよ」 
 智和は大国達の可能性を否定した。
「それは」
「何でないんだい?」
「彼等でもそこまでの技術を持っているとは思えないよ」
 人間に動物の能力を備え付けさせた異形の者達を生み出す様な、というのだ。
「資金や設備があってもね」
「それでもか」
「うん、例えその二つがあってもね」
 もう一つの絶対要素である技術、それがないというのだ。
「技術が。それにね」
「それに?今度は何だよ」
「彼等はそうしたものを全部持っていたら絶対に国益に使うよ」
 彼等のそれの為にというのだ。
「軍隊に導入するなりしてね、極秘でも」
「ああ、生物兵器か」
「そう、そうしたことに使うから」
 アメリカや中国といった国々ならばというのだ。智和は国際政治や政治学の観点から薊達に話していく。
「君達にだけ向けるとかはね」
「ないか」
「うん、実験に使うにもね」
 薊達を狙うにしてもというのだ。
「それは軍の中ですればいいし」
「やっぱり極秘だよな」
「うん、そこはね」
「じゃあどっかの大国の可能性もないか」
「ないね」
「よくある話だと日本政府とかあるけれどな」
 薊は特撮等でよくある展開を話に出してきた。 
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