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美しき異形達

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第五話 二人目の持ち主その十二

 昨日の戦闘のことだった、智和を二人の間に挟んで登校しながら話すのだった。
 その話を聞いてだ、智和は思案している顔で薊に答えた。
「そうですね、そのことは」
「先輩どう思うよ」
「天枢さんは狙われていますが」
「怪人にだよな」
「様々な怪人がいますが」
「ああ、カメレオンな」
「そのことも頭に入れておくべきですね」
 智和は話しているうちに確かな顔になった、そのうえで自分の左隣にいる薊に対して話すのだった。
「蠍やその他にも」
「カメレオンなりな」
「どうやら怪人は人間と掛け合わせている動物の特性を併せ持っていますが」
「力やスピードも相当だよな」
「はい、ですが特にです」
 動物の特性、それだというのだ。
「そこに注意されるべきですね」
「動物のなあ」
「そうです、蟷螂は斬りつけてきますね」
「ああ、鎌でな」
「蠍は毒と鋏、カメレオンは消えます」
「その他の怪人もか」
「今後出て来る怪人もです」
 これからのことをだ、智和は薊に話していく。
「その掛け合わせている動物の特性を考えてです」
「闘っていくべきか」
「蠍の毒を使わせずカメレオンの弱点を見抜かれたことは大きかったです」
 それがそのまま薊が怪人達に勝てた理由だというのだ。
「非常に」
「だよな、やっぱり」
「はい、動物の特性はそれぞれ特徴がありますから」
「蟷螂なり蠍なりカメレオンなりな」
「そうです、今後出て来る怪人達も」
「どんな奴がどれだけ出て来るかな」
 それが、とも言う薊だった。
「わからないけれどな」
「それでもあらかじめある程度の動物の特性を頭に入れておくといいでしょう」
「空を飛ぶ奴とかか」
「水中にいる動物もいますね」
「魚とかか」
「蟹等も」
 魚類以外の水棲生物の場合も考えられるというのだ。
「出て来る可能性があります」
「そうか、色々だな」
「そうしたことも学ばれるべきですね」
「だよな、カメレオンの時は咄嗟だったけれどな」
 姿は消せても影は、とだ。このことは薊の持ち前の機知で相手の弱点を見抜いた。しかしそれが出来たことも。
「あたしが知ってたからか」
「そうです、姿は消せても影は残ることを」
「だよな、知ることか」
「まずは」
 そこからだというのだ。
「僕も闘いの場にいれば」
「教えてくれるか」
「そうさせてもらいます」
 謙虚な物腰での申し出だった。
「それで宜しいでしょうか」
「じゃあ頼むな、悪いけれど」
「悪くはありません、僕は天枢さんの友人なのですから」 
 それ故にだというのだ。
「悪いことはありません」
「そう言ってくれるんだな」
「そうです、では」
「ああ、それじゃあな」
「今後も何かあれば僕にお話して下さい」
「そうさせてもらうな」
 裕香も一緒にいるうえで話をした二人だった、そうした話をして高等部普通科の校門まで来た。そのまま三人で登校しようとした。 
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