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美しき異形達

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第三話 怪人と炎その十一

「そうした先生多いです」
「おかしな先生がだね」
「はい、そうした人達そのままのことを言って」
「差別反対とか平和とか言うね」
「それでもやたら暴力を振るって」
 こうした教師が奈良県では実に多い、これは被差別部落が多い為日教組の勢力が強い為だがまだ高校生の裕香はそこまで社会を知らない。
「無茶苦茶する先生が」
「奈良は酷い先生が多いよ」
「やっぱりそうですか」
「うん、残念なことにね」
 そうだというのだ。
「あそこはね」
「こっちに来て驚いたんです、先生のことで」
「言っていることが全然違うからだね」
「はい、ですから」
「おかしな先生が多いことは困ったことだよ」
 智和もこのことについては神妙な顔で述べる。
「仮にも生徒を教え導く立場だからね」
「暴力を振るう様な人はですね」
「体罰と暴力は違うよ」
 智和はこのことははっきりと言い切った。
「よく昔は体罰が普通だったとか言う人がいるけれど」
「そうじゃないんですね」
「僕は桑田さんが正しいと思うよ」
 桑田真澄のことだ、かつて巨人のエースであり今は野球だけでなくスポーツ全体に見事なビジョン、理論を述べている人物である。
「あの人は暴力を否定しているね」
「はい、あってはならないものだと」
「そうなんだ、暴力特に圧倒的なものは」
 相手を一方的に痛めつける様な暴力はというのだ。
「それは相手を恐怖で萎縮させるだけだよ」
「教育じゃないですよね」
「絶対に違うよ」
 智和も断言する。
「相手を、まして体格も全然違う相手に一方的に暴力を振るうのはね」
「それは何でしょうか」
「虐待だよ」
 それに過ぎないというのだ、教育ではなく。
「教育者はそんなことはしないよ」
「じゃあ奈良にいる先生の一部は」
「教育者じゃないよ」
 ただ職業がそうなっているだけだというのだ。
「ヤクザかゴロツキだね」
「そうなんですね」
「普通生徒は教師に反撃しないよ」
 あくまで普通は、だ。
「まして体格が違うよね」
「はい、全然」
「中には大柄でスポーツをして身体を鍛えてきた先生もいるよ」
 そうした教師がというのだ。
「そんな人がついこの間までランドセルを背負った子供に暴力を振るう。こんなことはあってはいけないんだよ」
「ですよね、絶対に」
 裕香も智和のその言葉に頷いて答えた。
「普通は」
「ましてや大人じゃないか」
 法律的にも社会的にもだ。
「それを考えたらね」
「そんな暴力はおかしいですね」
「君が知っている先生の暴力はどんなのだったのかな」
「剣道で突きをしたり床で背負投をしたり」
 具体的な暴力の内容もだ、裕香は述べた。
「そんなのだったそうです」
「僕は剣道は知らないよ」
 智和は裕香のその問いにこの前提から答えた。 
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