| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ぶつかった相手は

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七章

「俺達じゃなくてな」
「そうか、違うか」
「別のところの誰かか」
「そうだよ、最近はそいつとな」
 大阪で遊んでいるというのだ。
「そうしてるんだよ」
「そうか、誰かわからないけれどな」
「仲良くやってるんだな」
「そいつと大阪で遊んでるんだな」
「最近は」
「御前等ともだけれどな」 
 このことは変わらなかった、祥太郎は彼等とも遊び続けている。
 だがその相手ともだ、共に遊んでだというのだ。
「楽しくやってるぜ、食べ歩きとかしたりしてな」
「まあ仲良くやれよ」
「楽しくな」
 彼等もそんな彼の背中を押した、そうしてだった。
 祥太郎はまた大阪に行った、今度は住吉に行った。八条鉄道の住吉駅を降りるともうそこに彼女がいた。
 上は緑のブラウスで下は黒いズボンだ、祥太郎はその格好の麻美においおいといった顔で声をかけた。
「ちょっとな」
「ちょっとって?」
「その格好ださくないか?」
「そう?」
「ああ、折角遊ぶのにな」
「いつもじゃない、それでに今日はお好み焼き食べに行くのよね」
「そうだよ」
 そのことはその通りだというのだ、祥太郎も。
「今からな」
「それならいいじゃない、ラフでも」
「そういうのじゃないだろ、何ていうかな」
「デートだからっていうの?」
「何か垢抜けないな、スカートとかな」
「スカート好きじゃないから」
 これは麻美の服の趣味だ、だからだというのだ。
「これでいいじゃない」
「やれやれだな、本当に高校の時からな」
「色気がないっていうのね」
「何か違うんだよな、遊ぶならな」
「いいじゃないラフで」
 あっさりと返した麻美だった、そこには何の屈託もない。
「遊ぶんだし」
「見解の相違かよ」
「そうなるわね。とにかく今からね」
「ああ、お好み焼き屋に行ってな」
 それからだとだ、祥太郎は麻美にさらに話した。
「その後で住吉さん行くか」
「住吉大社ね」
「太鼓橋渡ろうな」
 住吉大社の名物である上に高いアーチになった木の橋だ、そこを二人で渡ろうというのだ。
「食べた後でな」
「そうね、それでお参りもしてね」
「何お願いするんだよ」
 お参りと聞いてだ、祥太郎は麻美に問うた。二人で祥太郎が案内するお好み焼き屋に向かいながら話している。
「一体」
「いや、次もこれからもね」
「これからも?」
「一緒に楽しく食べ歩きたいなってね」
「そんなこと願うのかよ」
「あんたと一緒にいたら美味しいもの一杯食べられるからね」
 それでだというのだ。
「そうお願いするつもりよ」
「そんなのお願いすることかよ」
「駄目なの?」
「他人が何をお願いしようと何も言わないからな」
 それはないとだ、祥太郎は首を左に傾げさせて述べた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧