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ドリトル先生と京都の狐

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第二幕その六

「別の季節に行っても楽しめそうだね」
「秋にもだよね」
「うん、秋の綺麗さがあるよね」
「冬もね。雪が降ったら」
 その時はです、どうなるかといいますと。
「凄く綺麗だから」
「そうだよね、白い嵐山だね」
「その時も凄いよね」
「かなり凄いよ」
 実際にそうだというのです。
「この目で見ていないけれど写真で見るとね」
「凄いんだね」
「そう、凄いから」
 だからだというのです。
「僕も今度行ってみるよ」
「その時は僕達もかな」
「冬の嵐山にも」
「一緒に来ようね」
 その季節もだとです、こうお話してでした。 
 皆はまずは嵐山を見て回りました、そしてそれからです。
 キャンピングカーを使って京都のあちこちを見て回ることにしました、まずはです。
 清水寺に行きました、先生は遠くまで見えるその舞台に来ました。けれどここでその下を見て怖そうに言うのでした。
「いや、ここも綺麗だけれど」
「怖い?」
「こうした場所に来ることは慣れてるけれど」
 それでもだというのです。
「いや、高いね」
「落ちるとね」
 どうなるかとです、王子は先生に清水寺のこともお話します。
「以前も何人か落ちた人がいるけれど」
「死んだよね、その人は」
「いや、これまで何人かいたけれど」
 それでもだというのです。
「死んだ人はいないよ」
「あっ、そうなんだ」
「そうなんだ、死んだ人はいないんだ」
 こう言うのでした。
「今のところはね」
「そういえば木も多いね」
 先生はあらためて舞台の下を見ました。すると確かに高いですが下には木が一杯あります、それを見て言うのでした。
「それに引っ掛かってだね」
「うん、それでなんだ」
「助かったんだ」
「こうした場所だから」
 それでだというのです。
「落ちた場合も安心していいよ」
「いや、落ちないからね」
 そもそもそうならないというのです。
「絶対に」
「それが無難だね」
「うん、それにしても」
 ここで、です。先生は今度は舞台を見て回りました。観光客の人達も一杯いるその舞台自体もです。先生が見まして。
「いや、かなり」
「かなり綺麗だよね」
「いい場所だね、日本にはこんな場所もあるんだ」
「そうだよ、京都にはね」
「凄過ぎるよ」
 感嘆の言葉でした。
「日本はね」
「美しいって言うべきかな」
「美しい日本の私だったかな」
 ここで、です。先生はこの言葉を出しました。
「そうだったかな」
「ええと、確かその言葉は」
「川端康成だったかな」
 この作家さんの名前を出すのでした。 
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