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ドリトル先生と京都の狐

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第二幕その二

 お握りです、それに卵焼きやソーセージ、それと茸やお野菜がたっぷりと入ったお味噌汁です。そうしたものを食べてです。
 トミーは目を輝かせてです、こう先生に言いました。
「あの、お握りって」
「どうかな」
「はい、凄く美味しいです」
 そうだとです、トミーは先生にその海苔に包まれたお握りを食べつつ言うのでした。
「サンドイッチとは全然違いますけれど」
「日本だとこれがね」
「サンドイッチにあたるんですね」
「日本人は何かあればお握りを食べるんだ」
「日本人のソウルフードですか」
「まさしくそれなんだよ」
 勿論博士もお握りを食べています、それもとても美味しそうに。
「中にも色々なものを入れられるしね」
「あれっ、これは」
 トミーは自分が食べているお握りの中にあるものをここで味わいました。
「海草ですか」
「塩辛くてそれでいて噛みがいがあるね」
「細長く切られていてまとめられています」
「それは昆布だよ」
「昆布ですか」
「それも海草だよ」
 そうだというのです、昆布も。
「美味しいよね」
「確かお味噌汁のだしにも使う」
「それだよ、それで味は」
「御飯にとても合いますね」
 それで美味しいというのです、トミーも。
「いや、いいですね」
「そうだね、他の具もあるから」
「僕さっきはおかかを食べました」
 そしてそれも美味しかったというのです。お握りはテーブルの上に一個ずつ山盛りにされています。お馬さんとオシツオサレツも食べています。
「それも美味しかったですし」
「他の具も美味しいよ」
「そうですか、じゃあ」
「一杯あるからね」
 王子もここでトミーに言います、勿論この人もお握りを食べています。
「遠慮せずにどんどん食べてよ」
「日本って本当に美味しいものばかりだね」
「京都のお料理も美味しいよ」
「そうなんだね、じゃあね」
「楽しみにしておいてね」
 こうしたお話をしながらです、一行は京都に着きました。着いた場所は京都の嵐山というところにある旅館でした。
 お外はもうすっかり暗いです、それで外の景色はわかりませんが。王子は旅館の前で皆に明るく言いました。
「嵐山も景色は素晴らしいからね」
「そうなんだね」
「凄いよ、自然がね」
 王子は朝になるのを楽しみにしておいてとです、先生達に言うのでした。
「一度見たら忘れられない位に」
「それではだね」
「まずは旅館の中に入って」
 そしてだというのです。
「休もう」
「うん、じゃあね」
 先生が応えてです、皆で旅館に入りました。旅館のおかみさん、綺麗な和服を北人が笑顔で迎えてくれてです。まずは動物達の足にです。
 柔らかい袋を付けました、そのうえでこう言うのでした。
「これでしたら床も畳も痛みませんので」
「悪いね、我儘を言って」
「いえいえ、王子は大切なお客様ですから」
 おかみさんは王子に笑顔で応えて言います。
「それにアイディアも出してくれましたし」
「先生は動物の皆と一緒じゃないと寂しくて仕方ないからね」
「はい、それも聞いていますので」
 だからだというのです。
「こちらで用意しておきました」
「おトイレは皆人間のものを使えますので」
 そちらはお気遣いなくとです、先生がお話します。 
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