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ドリトル先生と京都の狐

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第一幕その三

 トミーも遂に日本に来ました、トミーは空港で博士達の出迎えを受けて満面の笑顔でこう皆に言うのでした。
「やっと日本に来ました」
「うん、待っていたよ」
 先生はにこりと笑ってトミーに応えました。
「本当によく来てくれたね」
「じゃあ僕は今から」
「僕達の家で一緒に住むんだよ」
「そうですよね、じゃあ」
「日本でもね」 
 イギリスにいる時と同じ様にというのです。先生はトミーに笑顔で述べます。
「一緒に楽しくやろう」
「はい、それじゃあ」
 トミーも笑顔で応えます、そうしてでした。
 トミーを含めた一行は王子の執事の人が運転するキャンピングカーで空港のある大阪から神戸の八条町に向かいます、そのキャンピングカーの中で、でした。
 トミーは窓の外の景色を見ながら先生達にこんなことを言いました。
「先生、今僕達がいる街が大阪ですよね」
「うん、そうだよ」
 温和な笑顔で、です。先生はトミーに答えます。
「この街がね」
「日本で二番目に大きな街ですよね」
「ロンドンよりもまだ賑やかかもね」
「へえ、ロンドンよりもですか」
「人の数はどうだったかな」 
 これは人口についての言葉です。
「多かったかな、ロンドンより」
「じゃあ本当に凄い街なんですね」
「ロンドンとは全く違う街なんだ」
 二階建てのバスやビッグベン、ロンドン橋はないというのです。もっと言えばバッキンガム宮殿も赤い軍服の衛兵さん達もです。
「大阪はね」
「商業の都でしたね」
「水の都ともいってね」
「川が多いんですね」
「そうだよ、僕も遊びに行ったけれど」
「いい街ですか」
「賑やかでね。あと道頓堀という場所があって」
 先生は王子にこの場所のこともお話します。車から見える景色はその都度変わっていきます。まるで映画を観ている様に。
「そこは野球のチームが優勝したら飛び込むそうだよ」
「あっ、日本はサッカーより野球でしたね」
「そうだよ、野球の方が人気があるよ」
「イギリスでは最近はじめましたけれど」
 ドイツもです、欧州でもやっと野球が知られる様になっているのです。
「日本ではサッカーよりも人気ですか」
「ラグビーやラクロスよりもね」
「国によって好きなスポーツが違いますね」
「そうだよ。あと武道もあるよ」
「日本のですね」
「剣道や柔道」
 先生は具体的にそうしたものを挙げていきます、皆キャンピングカーの中でお茶を飲みながらそれぞれ座ったり寝そべったりしてお話をしています。先生とトミーは席に向かい合って座ってお茶を飲みつつお話をしているのです。
 その中で、です。先生はその剣道や柔道について言うのです。
「日本の、本当に独特の」
「剣道はフェシングとは全然違いますね」
「全く違うよ、八条大学にもフェシング部もあるけれどね」
「剣道部がですね」
「あるよ、それで剣道部の方が盛んなんだ」
「そうなんですか」
「いい先生が教えてくれているしね」
 剣道の先生もだというのです。
「皆楽しんでいるよ」
「いい先生もいるんですね」
「うん、ただ日本はね」
「日本は?」
「とてもいい国だけれど学校の先生はね」
 どうかとです、先生は日本の学校の先生については顔を曇らせてこう言うのでした。 
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