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たちまち遊戯王

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第3話 始まりでコケると全て台無し

 
前書き
やっとデュエルです。 

 
「これで大丈夫」
 レタウはそう言うと両方の決闘台の距離を取った。大体2m位だろうか。
「大丈夫って?」
「デュエルが始まって、お互いに決闘台で通信出来るようになりました。2人共位置について下さい」
 レタウの指示に従って2人は各々のデッキを載せた決闘台を介して向かい合った。
『おーい、聞こえる?』
 務都弥の決闘台から、鈴瞳の声がする。
「聞こえる」
 務都弥は短く返した。
『わーっ!凄ーい!』
 鈴瞳は子供のようにはしゃぎ声を上げた。
「それはよかったな」
 務都弥は素っ気無く返した。
『聞こえるー?聞こえるんだよねー?あーい、おー、えーえーただいまマイクのテス』
「ドローフェイズ。カードドロー」
 務都弥は引いたカードを見た。サイクロンだ。
『あーっ!何勝手に先攻決めてんのぉ!?』
 スピーカーから割れんばかりに声がする。
「落ち着け。決闘台の右上見ろ」
 務都弥はそう言いながら自分の決闘台の右上を再び見た。ライフ表示の隣に青がかった緑色で『先攻』と書かれている。日本語で。
「ちなみに鈴瞳さんに説明しますと、決闘台同士でデュエルが成立した瞬間に先攻後攻を決める権利がどちらかに発生します」
 務都弥は深いことを考えるのをやめてレタウの話に耳を傾けた。
『えー、ジャンケンしないのー?』
鈴瞳の不満げな声。
「離れててもデュエル出来るようにするには、それが手っ取り早いんですよ。あぁ、後、カード効果にチェーンしたりドローフェイズやスタンバイフェイズにカードを発動出来る時は、左中央に発動という表示が現れるのでそれをタッチして下さい」
 務都弥は中央を見た。そこにはM1と書かれている。メインフェイズ1のことだろうか。最早日本語ですらない。
「……」
 その件は置いて、務都弥は発動と表示されるらしい所を見たが、今は何も表示されていない。それにメインフェイズ1に移行したと務都弥は宣言していない。ということは、お互いに反応が無かったのでメインフェイズ1に自動で移行したようだ。
「……《マジョレーヌ》を召喚。効果発動、……デッキから《ミィルフィーヤ》を手札に加える」
 いつものようにチェーンの確認をしないことにやや違和感を覚えながら、務都弥はデッキから《ミィルフィーヤ》をサーチした。

マドルチェ・マジョレーヌ
星4/地属性/魔法使い族/攻1400/守1200
このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、
このカードをデッキに戻す。
このカードが召喚・反転召喚に成功した時、
デッキから「マドルチェ」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。

『……いつも爬虫類みたいに無愛想極まりないむっ君がそんなデッキを使うと知って、お姉ちゃんは呆然としております』
「絵柄に興味は無い」
 務都弥が使っているのは《マドルチェ》。サーチを多用して手札を減らさず展開しつつ、対象を取らないデッキバウンスという防御の難しい除去を持つ《クイーンマドルチェ・ティアラミス》で締めるデッキだ。
 手札3枚から相手のカードを2枚デッキにバウンスしつつライフを8000削るのは言うまでもなく強力な上、《マドルチェ・エンジェリー》の登場で安定性が増し、環境にも名を残すようになった。
 更にそのファンシーなイラストから、その面での人気もある。
『はいはいそーですねー……って嘘!?』
 鈴瞳が急に叫んだ。
 どうしたのかと鈴瞳の方に目を向けようとしたところで鈴瞳が叫んだ理由に察しがついた。
 《マジョレーヌ》の立体映像が目の前に現れていたのだ。
「……」
 務都弥は何故か変に納得してしまった。まるで空想の世界にいるような、成る程の一言で全てが片付けられそうな気分だ。
「カードを2枚伏せてエンド」
『私のターン、ドロー』
 中央の表示がDP、SP、M1と忙しなく変わる。黄泉ガエル使うのは苦労しそうだと務都弥は他愛無いことを考えた。  
成金(なりきん)忍者》を召喚。レベル4の召喚に成功したから、《カゲトカゲ》の効果発動。守備表示で特殊召喚』
 《成金忍者》の正しい読みは《ゴールドにんじゃ》だが、どうでもいいので務都弥は訂正しなかった。

成金(ゴールド)忍者
星4/光属性/戦士族/攻 500/守1800
1ターンに1度、手札から罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。
デッキからレベル4以下の「忍者」と名のついた
モンスター1体を表側守備表示または裏側守備表示で特殊召喚する。

カゲトカゲ
星4/闇属性/爬虫類族/攻1100/守1500
このカードは通常召喚できない。
自分がレベル4モンスターの召喚に成功した時、
このカードを手札から特殊召喚できる。
このカードはシンクロ素材にできない。

(忍者か……)
 務都弥は身構えた。使ったことも無いし、相手にしたこともあまりない。
 《忍者》は、上級をリクルートできる《忍法 変化の術》と《忍法 超変化の術》をどれ位重視するかでデッキの形が変わってくる。
(《成金忍者》に《カゲトカゲ》ってことは、少なくとも《ダムルグ》とかを呼ぶ為だけみたいなのじゃない、か。ランク4でビートするのに比重が重く置かれてるんだろうな)
 務都弥はざっと分析を終えた。
『手札の《スキル・プリズナー》を墓地に送って成金(なりきん)忍者の効果発動』
 務都弥は、発動と表示されている所をタッチした。
「ライフを2000払って《神の警告》。《成金忍者》の効果を無効にして破壊」
務都弥 LP8000→6000

神の警告
カウンター罠
2000ライフポイントを払って発動できる。
モンスターを特殊召喚する効果を含む効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動、
モンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚のどれか1つを無効にし破壊する。

『うげっ!』
 鈴瞳はえずいたような声を上げた。
『……カードを1枚伏せてターンエンド』
 エンドフェイズになると、務都弥は発動をタッチした。
「その伏せを対象に《サイクロン》。その伏せを破壊」 
『うわっ、えぐっ!』

サイクロン
速攻魔法
フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。

 これは俗に言う『エンドサイク』というもので、罠は伏せたターンに使えないことを利用したものだ。

務都弥 LP6000
場:モンスター 《マドルチェ・マジョレーヌ》(攻撃表示)
  魔法、罠  無し
手札4枚

鈴瞳 LP8000
場:モンスター 《カゲトカゲ》(守備表示)
  魔法、罠  無し
手札2枚

「俺のターン、ドロー」
 鈴瞳の場には《カゲトカゲ》のみで、魔法、罠も無い。《マドルチェ》にとって、 モンスター棒立ちは格好のカモだ。
「……《ミィルフィーヤ》召喚。効果発動、《エンジェリー》を守備表示で特殊召喚。自身をリリースして《エンジェリー》の効果発動、……《ホーットケーキ》を攻撃表示で特殊召喚。《ホーットケーキ》の効果発動、墓地の《エンジェリー》をゲームから除外して……《ホーットケーキ》を攻撃表示で特殊召喚」
『へぇー、《メッセンジェラート》じゃないんだ』
「それを出すのはまだ先のつもりだ」

マドルチェ・ミィルフィーヤ
星3/地属性/獣族/攻 500/守 300
このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、
このカードをデッキに戻す。
このカードが召喚に成功した時、
手札から「マドルチェ」と名のついたモンスター1体を特殊召喚できる。

マドルチェ・エンジェリー
星4/地属性/天使族/攻1000/守1000
このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、
このカードをデッキに戻す。
また、このカードをリリースして発動できる。
デッキから「マドルチェ」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは戦闘では破壊されず、
次の自分のターンのエンドフェイズ時に持ち主のデッキに戻る。
「マドルチェ・エンジェリー」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。

マドルチェ・ホーットケーキ
星3/地属性/獣族/攻1500/守1100
このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、
このカードをデッキに戻す。
また、自分のメインフェイズ時に、
自分の墓地のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターをゲームから除外し、
デッキから「マドルチェ・ホーットケーキ」以外の
「マドルチェ」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。
「マドルチェ・ホーットケーキ」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。

 務都弥の場のモンスターは、《ミィルフィーヤ》、《ホーットケーキ》2体、《マジョレーヌ》。務都弥は、手札からの妨害がない限り勝つ気でいる。
「《ミィルフィーヤ》と、《ホーットケーキ》の効果で特殊召喚した方の《ホーットケーキ》で《インヴォーカー》をエクシーズ召喚。《ホーットケーキ》を取り除いて《インヴォーカー》の効果発動。……《メッセンジェラート》を特殊召喚。《ホーットケーキ》が場にいるので《メッセンジェラート》の効果発動。……《チケット》をサーチ。《チケット》を発動」 

M.X(ミッシングエックス)-セイバー インヴォーカー
ランク3/地属性/戦士族/攻1600/守 500/エクシーズ
レベル3モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
自分のデッキから、戦士族または獣戦士族の
地属性・レベル4モンスター1体を表側守備表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。

マドルチェ・メッセンジェラート
星4/地属性/戦士族/攻1600/守1000
このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、
このカードをデッキに戻す。
このカードが特殊召喚に成功した時、
自分フィールド上に「マドルチェ」と名のついた
獣族モンスターが存在する場合、
デッキから「マドルチェ」と名のついた
魔法・罠カード1枚を手札に加える事ができる。

マドルチェ・チケット
永続魔法
自分のフィールド上・墓地の「マドルチェ」と名のついたカードが
カードの効果によって自分の手札・デッキに戻った時、
デッキから「マドルチェ」と名のついたモンスター1体を手札に加える。
自分フィールド上に「マドルチェ」と名のついた
天使族モンスターが存在する場合、
手札に加えず表側攻撃表示で特殊召喚する事もできる。
「マドルチェ・チケット」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

「《マジョレーヌ》と《メッセンジェラート》で《ティアラミス》をエクシーズ召喚。《メッセンジェラート》を取り除いて《ティアラミス》の効果発動。墓地の《ホーットケーキ》と《メッセンジェラート》をデッキに戻して相手の《カゲトカゲ》をデッキに戻す。《チケット》の効果使用、《メッセンジェラート》を特殊召喚。場に《ホーットケーキ》がいるので《メッセンジェラート》の効果発動。……《シャトー》をサーチ。《シャトー》を発動」
マドルチェ・ホーットケーキ 攻撃力1500→2000
マドルチェ・メッセンジェラート 攻撃力1600→2100
クイーンマドルチェ・ティアラミス 攻撃力2200→2700

クイーンマドルチェ・ティアラミス
ランク4/地属性/天使族/攻2200/守2100/エクシーズ
「マドルチェ」と名のついたレベル4モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、
自分の墓地の「マドルチェ」と名のついたカードを2枚まで選択して発動できる。
選択したカードをデッキに戻し、
戻したカードの数まで相手フィールド上のカードを選んで持ち主のデッキに戻す。

マドルチェ・シャトー
フィールド魔法
このカードの発動時に、
自分の墓地に「マドルチェ」と名のついたモンスターが存在する場合、
そのモンスターを全てデッキに戻す。
このカードがフィールド上に存在する限り、
フィールド上の「マドルチェ」と名のついた
モンスターの攻撃力・守備力は500ポイントアップする。
また、「マドルチェ」と名のついたモンスターの効果によって、
自分の墓地のモンスターがデッキに戻る場合、
デッキに戻さず手札に戻す事ができる。

「バトルフェイズ」
『……あれ、負け?』
「《インヴォーカー》でダイレクト」
鈴瞳 LP8000→6400
「《ホーットケーキ》でダイレクト」
鈴瞳 LP6400→4400
「《メッセンジェラート》でダイレクト」
鈴瞳 LP4400→2300
「《ティアラミス》でダイレクト」
鈴瞳 LP2300→-500
《ピー、デュエルを、終わります》
こうして、2人の初対決は務都弥の勝利で終わった。


「お疲れ様です2人共」
 3人は先程のソファと椅子に座った。
「どうだった?ならず者だのなんだのできそう?」
「そうですね。大丈夫だと思いますよ」
「よく分かんないけどよかった」
「……ぅあー、ぁ?」
 埒路がうっすらと目を開けた。
「……あ、らっ君いたんだね」
「……」
 埒路はぽけっとした顔つきで鈴瞳の方を向いた。
「え、えっと、違うんだよらっ君」
 鈴瞳は慌てたように手を広げた。
「たまたま忘れちゃっただけだって。いつもは常日頃年中無休24時間体制でらっ君のこと考えてるよ」
「……お前は誰に弁解してるんだ?」
「私の為に私を弁護してるんだよ!」
 務都弥が冷たい目を向けると、鈴瞳は声を張り上げた。
「……どうしたの?」
 埒路は首を傾げた。
「らっ君許して」
「いいよ」
「ありがとー!」
 鈴瞳は両手を合わせて黄色い声を出した。
「どういたしまして」
「らっ君のそーゆー優しいところ大好きだよー」
「どうも」
 埒路は軽く頭を下げた。
 ピーンポーン
「はぁい」
 その時、玄関の方から電子音がした。レタウはそれを聞くと玄関に向かう。おそらく呼び鈴の類いだろう。
「おっじゃまするぜー」
 玄関から元気のいい少年の声がした。流石に日本語ではない。
 それからレタウと少年の話し声や廊下を歩く音がして、居間の扉が開いた。
「よっ」
 少年は二コッと微笑んだ。
 レタウと同じ青の髪に緑の瞳、身長は務都弥より少し低い位。大きな目と開いた口で溌剌とした印象を受ける。
「おー、初めましてー」 
 鈴瞳はアイドルにするように両手を振った。
「こんにちは」
「初めまして」
 埒路は一礼をした。
「彼はキッゾ・ノーカン。一緒に戦う仲間です」
 レタウはキッゾを手で示した。
「あはっ、宜しくな」
 キッゾはニカッと笑った。 
 

 
後書き
レタウ「今日のキーカードは、《クイーンマドルチェ・ティアラミス》。対象を取らないデッキバウンスという強力な除去が出来る上に、《マドルチェ・シャトー》があれば《マドルチェ》と名のついたモンスターを墓地から手札に戻せて《マドルチェ・チケット》があればデッキから《マドルチェ》と名のついたモンスターを特殊召喚出来ます。言わずと知れた《マドルチェ》のエースですが、逆に普通の《マドルチェ》がこのカード無しで勝利するのはほぼ不可能なので、相手から狙われやすいです。このカードの効果を1回通せば並大抵の相手なら物量差で押し潰せるので、いかにこのカードの効果を通すのかが《マドルチェ》使いの腕の見せ所です」

さるとんどる。おみのづえSPです。
デュエルってこんなに文章量取るんですね。前は1ターンに15000字位かけてたけどあれは例外中の例外ですし。
これでも一瞬で終わったつもりなんですよ。その割には茶番抜いても量あるように感じます。
1話の目安は5000字を貫いてる僕ですが、デュエルが中途半端に長いせいであっちは短いしこっちは長いしうーあー。
このままだと1デュエルで2話取りそうですね。でもそうなると2話目の分量が足りなくなりそう。
カードの解説とかいらないでしょうか?アニメみたいに効果説明をプレイヤーが行うのは苦手なので避けたいのですが、効果をwikiからコピペすると文章取るしテンポ悪くなりますかね。
あと、フィールドの書き方ももっといい案あったらお願いします。
他にも改善案や間違い等あったらどしどし言って下さい。 
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