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MS Operative Theory

作者:ユリス
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MS戦術解説
  三位一体攻撃➁

——「三位一体攻撃」の利点と欠点——

 「三位一体攻撃」のメリットは、3機で1機を攻撃をするために単純に数の上で有利であるほか、2機目以降が1番機の後方に隠れるケースが多いため、2撃目以降の奇襲性が著しく高いことである。格闘戦を中心とする接近戦では奇襲性が低くなるため、特に後者の利点は重要だと言える。

 逆に欠点として、卓越した技術を持つパイロット同士でないと成立させにくいため、隊員を一人でも欠くと「三位一体攻撃」が不可能となることがあげられる。

 このため「三位一体攻撃」を行う小隊はメンバーを配置転換させにくく、軍内での運用柔軟性を著しく書いてしまう。この欠点を補うためか、ベスパのピピニーデン隊は中隊編成を採用し、小隊艦で人員を融通できるようにしていたが、これも決定的な解決策とはならなかったようだ。以上の理由から「三位一体攻撃」はスタンダードなMS小隊の戦術として採用されることはなかった。



——黒い三連星———ジェット・ストリーム・アタック——

 ジオン公国軍突撃機動軍の特務MS小隊で、三位一体攻撃の元祖であるジェット・ストリーム・アタックを考案した。正式名称は突撃機動軍第7師団第1MS大隊司令部付特務小隊。

 ジェット・ストリーム・アタックは、目標に対して直線所に並び高速接近することで単機に見せかけ、接近後に連携攻撃を仕掛ける攻撃法である。1番機の攻撃をかわしても、2番機、3番機が連続で攻撃するため回避や反撃が難しい。


■代表的な機体—————MS-09(ドム)

 オデッサ戦におけるWB隊との戦闘では陸戦用MSドムを使用。ホバー走行による一撃離脱戦法はジェット・ストリーム・アタックに適していた。


■パイロット—————ガイア、オルテガ、マッシュ

 ガイア大尉をリーダーとする3人組。もとは教導大隊の隊員で所属部隊も異なっていたと言われるが、一年戦争緒戦からチームを組み、数々の戦果を挙げた。


➀縦列に展開、接近

 目標に対して一直線の縦列隊形を取り、そのまま急接近する。1番機のみが敵機に見えているため、この状態では2番期以降が確認されにくく奇襲効果が期待できる。


➁攻撃

 接近後、1番機が攻撃を行う。目標が回避か防御を試みた場合は2番機、3番機が攻撃を実施する。


➂連続攻撃と離脱

 回避した目標に対し、2番期以降の機体が攻撃する。これらの攻撃は回避や防御が困難だが、回避された場合は全周囲攻撃か陣形を組みなおしての再攻撃を行う。



——ヤザン隊———「クモの巣」——

 ティターンズ所属のヤザン・ゲーブル大尉が率いたMS小隊(正式名称は不明)で、連邦軍では珍しく三位一体攻撃を使用した。3機のMSで電撃ネットを広げ、目標を捕らえる「クモの糸」を得意としていた。

 だが「クモの糸」は一度しか使えない武器のため多用されず、後には「海ヘビ」と呼ばれる電撃ワイヤーを各機が装備するようになった。


■代表的な機体—————RX-139(ハンブラビ)

 優れた機動性と運動性を備えた可変MS。スピーディーかつ軽快な機動性を誇り、敵機を捕捉、撹乱した。機体各所にモノアイを装備していた。


■パイロット—————ヤザン・ゲーブル、ラムサス・ハサ、ダンケル・クーパー

 ヤザン大尉はグリプスに配属されていたラムサス、ダンケル両少尉を収集し、小隊を編成。彼らは元々チームを組んでいたこともあり、その連携は完璧だった。


➀密集隊形と敵機の誘い出し

 密集陣形で編隊飛行し、目標の敵機を誘い出す。戦闘時には高出力火器による全滅を避けるため散開する場合が多く、密集陣形での行動は敵に察知され易い。


➁「クモの巣」の展開

 減速や回避が間に合わない距離まで敵機を引き付けた直後、編成を解き、電撃ワイヤー・ネットを広げる。各機がネットの端を持つため、散開するとネットが広がる。


➂敵機の捕縛とネットへの通電

 ネットに気付かないか、減速に失敗した敵機をネットで捕獲した後、ネットに電流を流し、パイロットと電子機器にダメージを与える。この直後に攻撃、敵を撃破する、



——「ガザの嵐」隊———ガザ・ストーム・フォーメーション——

 アクシズの巡洋艦エンドラに所属していたMS小隊で、当時のアクシズ次期主力MS、AMX-006(ガザD)の先行量産機を与えられていた。

 煙幕で敵の視覚を封じ、その外から集中射撃を行うガザ・ストーム・フォーメーションを編み出したことで知られる。三位一体攻撃としては珍しく、密接なフォーメーションを取らなかった。


■代表的な機体—————AMX-006(ガザD)

 「ガザの嵐」隊は次期主力機で可変MSのガザDを装備。本機は機動性に優れるほか、搭載火器が多く、敵機の包囲と一斉攻撃に適していた。


■パイロット—————ワイム、ビアン、パンパ・リダ

 元は民間のパイロットで、ガザ・シリーズのテスト時に採用されていたと言われる。このためMSの操縦とチームワークに優れていた。


➀煙幕の展開

 各機が目標の周囲を飛行しながら煙幕を展開し、敵機の視覚を奪う。この際、ミノフスキー粒子濃度が高いと目標を見失う可能性も高いため、注意が必要。


➁煙幕展開地域の包囲

 レーダーなどで目標を捕捉しつつ、包囲攻撃位置へ各機が移動。ミノフスキー粒子濃度が高い場合、この段階で敵機の位置が分からなくなってしまう。


➂攻撃

 煙幕によって、こちらを捕捉できない目標を集中攻撃する。レーダーが効かない場合、命中率は著しく低下するが、高火力機であればフォローも可能。



——ジャムルのスリーD———スリーDの三位一体攻撃——

 ネオ・ジオン所属のMS小隊で、可変MSでの三位一体攻撃を実施した部隊。超加速能力を持つ可変MAを用い、暗礁宙域のような危険地域であってもフォーメーションを崩さずに攻撃を行った。彼らが得意とする攻撃は、数を敵機に悟らせないまま急速接近し、包囲攻撃を加えるものだった。


■代表的な機体—————AMX-01X(ジャムル・フィン)

 開発中の胴体に、頭部や手足を仮設した可変MA。ハイ・メガ・キャノンをはじめ、機体各所にビーム兵器を搭載する。スリーDによる三位一体攻撃はMS形態で行われた。


■パイロット—————デル、ダニー、デューン

 ダニーを隊長とした三人組で、隊員の名前の頭文字がDであったため「スリーD」の名で呼ばれた。連携攻撃に優れ、突出した機動性を持つ可変MAを操縦しても、完璧な連携を見せた。


➀縦列編隊で目標に接近

 ジェット・ストリーム・アタック同様、縦列隊形で高速接近。攻撃を受けたら一時的に散開するが、即座に、編隊を再編することで数を把握されにくくする。


➁散開と包囲

 近距離まで接近したら、目標を取り囲むように分散し、飛行する。この際も散開と編隊飛行を併用し、攻撃側の数とタイミングを把握されにくくする。


➂攻撃

 目標の周囲を飛行しながら攻撃。散開と体系再編を繰り返しながら攻撃するため、攻撃タイミングと攻撃方向を察知される可能性は著しく低くなる。



——異なる機種同士による連携攻撃——

 三位一体攻撃はパイロットの技量による部分が大きく、「戦技=パイロットの連携」であったために広く普及することはなかった。

 その一方、異なるタイプのMSで照隊を編成し、連携能力を向上させる「ハードウェア上の連携」はいくつかが試されている。これらは厳密には三位一体ではないが、機体の特性を利用した攻撃法として多用された。


■RXシリーズ

 白兵戦用のRX-78(ガンダム)、砲戦用のRX-77(ガンキャノン)、RX-75(ガンタンク)は、一年戦争時のホワイトベース隊において、それぞれの能力を生かした部隊配置を行い、高い戦果を挙げている。

 これらの機体は前衛型や後衛型といった役割分担をコンセプトとして開発されたものではなく、各開発プランが相互リンクせずに進められた結果で、偶然の産物であった。


■PMXシリーズ

 U.C.0080年代中期になると、汎用MSの性能が向上したこともあって、異機種同士による小隊編成は激減することとなった。しかし、パプテマス・シロッコ大尉が開発したPMXシリーズには白兵戦型と火力強化型、偵察型という3タイプが存在した。

 これは白兵戦型と火力強化型に、情報収集能力に秀でる機体を加えるという三機の連携を考えた組み合わせだった。


■XMシリーズ

 クロスボーン・バンガード(CV)が装備したXM系MSは、白兵戦仕様と偵察型の二つに大別できる。このため、タイプが異なる白兵戦仕様機同士での小隊編成と連携が見られた。

 また、CV独特の小隊編成として、異なるタイプの偵察型MSで編制された小隊があり、その部隊の中ではセンサー機能面での連携が行われた。白兵戦仕様機と偵察型の組み合わせも見られる。

 
 

 
後書き
次回 小隊の戦い方 
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