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オズの五人の子供達

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第四幕その七

「こんなに見られないわ」
「そうなのね」
「マンチキンでもそうだったけれど」
 最初に来たオズの国であるこの国もだというのです。
「これだけ緑があると」
「それだけでもなの」
「青もないから」
 ロシアにはです。
「あそこまで豊かにはね」
「ううん、白ばかりだと」
「飽きるの、味気がなくて」
「それでも緑はなのね」
「青も他の色もね」
「違うのね」
「こんなに綺麗な緑に囲まれて私とても嬉しいわ」
 ナターシャはあまりにも嬉しくてつぎはぎ娘みたいにくるくると踊りそうになりましたがいつものおすましを保ってこう言いました。
「こんなに緑が一杯の国に来られて」
「凄いね、緑の葡萄だよ」
「緑のパイナップルもあるよ」
 ジョージと神宝は果物屋さんを見て言います。
「マンチキンじゃ青でね」
「それでここは緑なんだね」
「何もかもがね」
「本当にオズの国なんだね」
「そうだよ、だからね」
 それでだとです、ジャックも五人にお話します。
「青から緑に早くね」
「目を慣れさせてですね」
「そうしてですね」
「そう、宮殿に行こう」
 オズマやドロシーが待っているその宮殿にです。
「皆が待っているよ」
「ベッツイさんもいます?」
 恵梨香はこの娘のことを尋ねました。
「今宮殿に」
「うん、いるよ」
 ジャックは明るい声で答えました。
「あの娘も」
「そうなんですか」
「そう、ムシノスケ先生やモジャボロさんもいるし」
「他の人達もですね」
「皆いるよ、皆いてね」
 そしてだというのです。
「君達を待っているよ」
「わかりました、それじゃあ宮殿に」
「行こうね」
 こうお話してでした、そのうえで。
 皆は宮殿に向かう都の大路を歩いていきます、その中で。
 かかし達が歩いているとです、都の人達が笑顔で近寄って来て声をかけてきました。
「かかしさん、久し振り」
「都に来られたんですね」
「木樵さんもジャックさんも来られたんですね」
「つぎはぎ娘さんも」
「そうなの、皆久し振りだね」
 つぎはぎ娘が都の人達に笑顔で応えます。
「元気そうだね」
「はい、元気ですよ今日も」
「明るく楽しく過ごしてます」
「食べるものも美味しいですし」
「寝ても気持ちがいいです」
「あたいはたべることも寝ることもしないけれどね」
 つぎはぎ娘は旅をしている時と同じでくるくると踊りながら言います。
「それでも楽しめるなら何よりよね」
「ですよね、それでその子供達は?」
「どの子もはじめて見ますけれど」
「皆ドロシーと同じ世界から来た子達だよ」
 かかしは都の人達にもこうお話します。
「いい子達だよ」
「へえ、ドロシー王女とですか」
「一緒の世界から来た子達なんですね」
「じゃあベッツイちゃんとも同じですね」
「あちらの世界から来た子達なんですか」
「うん、そうなんだ」
 こう都の人達にお話するのでした。
「それで今からオズマのところに案内するんだ」
「女王様のところにですか」
「今から」
「オズマも元気だよね」
 木樵が都の人達に尋ねます、このエメラルドの都の主にしてオズの国に国家元首である女の子のことを。 
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