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魔法少女リリカルなのは~過去を捨て今を生きる者~

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ストライカーズ編!
  同じ

 
前書き
漫画も小説もアニメも、全部すげえよな。
全部一つとして同じものがないんだぜ。
それに比べて作者のコレ。
比べようもねぇよな。
うん、ほんと、書く人の力って偉大だよね。
ただそれだけ。

それではっ 

 
あと数分で六課に着く。
オレはそう思いながら残りの道を車に走らせる。
時は既に会見終了時刻。
ボイルさんの細かい検査のおかげで会見に行こうとしていた予定が崩されてしまった。
やることを失ったオレは部屋に戻り、明日の早朝訓練のメニューでも作るかと考えていた。
が、その予定も崩されることになった。

「うそ・・・だろ・・・?」

六課が燃えていたのだ。
はやてが設立し、仲のいいメンバーで支えていた、大切なものが。
急いで車から降り、隊舎へと走る。
まだ中に人が・・・ヴィヴィオがいるはずだから。
この暑い中、あの子は一人で泣いているかもしれない。
燃え盛る炎に道を塞がれ、身動きができない状況かもしれないのだ。
意を決してオレは隊舎に入ろうとしたその時、背後から足音がした。
振り返るとそこにいるのは六課の社員ではない、黒いフードの人。
最初の事件の時、オレが相手した男だ。
そしてその男の腕の中にいる、見慣れた金髪の少女、ヴィヴィオの姿。

「九年前と同じ、また一足遅かったようだな」

男はそう言ってオレを嘲笑う。

「黙、れええぇぇぇぇぇぇぇぇええぇぇッッッ!!」

ヤミを起動してバリアジャケットを装備し、オレは男に斬りかかる。
しかし男はそれを簡単に躱した。

「図星を付かれて逆上か?まだまだ子供だな」

邪魔になったのか、男はフードを脱ぐ。
すると現れたのは肩まである銀色の髪と青色の瞳と、全体的に色素が薄いように思える見た目。
しかしそれらとは真逆に目立つ、真っ黒いヘッドフォンを付けた男性の姿。

「ヴィヴィオを返せッ!」

ヤミを構えながら叫ぶ。
しかし男は聞いていないような態度を取り、言う。

「Bad prohibition children のリーダー、神宮寺 冬弥」

Bad prohibition children ・・・悪しき忌み子たち。
最初の事件でも言われたもの。
何を思ってつけたのかは不明だが、きっとそのメンバーたちが何かを考えてつけたのだろう。

「幕の降りた世界、閉幕の時。万物すべての眠り。閉じろ、終焉の世界!」
「甘いな」

オレの魔法など気にせず、冬弥はヘッドフォンを外し、首にかける。
複数の場所に攻撃を与えるタイプだった魔法をギリギリのラインで避け続ける。

「落とせ」

冬弥はどこからか取り出した短刀に魔力を込め、投げつける。
そのスピードは早いが、避けられない程の速さでもない。
何が起きてもいいように目をそらさないようにしてからその短刀を避けた。
しかし、その短刀は自由自在に動き回り、オレの後を追い続ける。
双剣モードにしてその短刀を切り落とす。

「燃え尽きろ」

今度は巨大な炎の塊を複数出現させ、また放つ。
それもさっきの短刀と同じように追尾型で、いつまでも後を追ってくる。
オレはプロテクションを張って炎を無視し、直接攻撃に向かう。

「切り落とすッ!」

完全に攻撃型の大剣モードにしてオレは冬弥に斬りかかった。
それを脆そうな薄いナイフで受け止め、左手に持つ日本刀を構える。
焦っていたからか、オレは日本刀に気づけずに体に傷をつけてしまう。

「ヤミ、捕まえ・・・ッ!?」

至近距離にいる冬弥にバインドを仕掛けようとしたのだが、心臓のあたりに激痛が走る。
その痛みに耐え切れなくなったオレはその場で倒れてしまう。

「・・・だから言っただろう、甘いと。自分の身体の異常に気づけず、必要以上に身体を酷使した」

だから、また痛んだのだろう。
冬弥はそう言い、またヘッドフォンを着けた。

「それに、俺の近くにはこの子がいるのを忘れていたな。さっきの大剣を喰らっていたら、俺だけでなくこの子も怪我をしていただろう」

ッ、ヴィヴィオ・・・!
そうだ。
あのままだったら、自分自身の手で、オレは・・・。

「お前はまた、守れない。目の前で大切な物を失い続ける」

そう言われて頭に浮かんでくるのはオレの大切な人達。

美愛。
慎吾。
アリシア。
なのは。
はやて。
守護騎士たち。
フォワードたち。
ヴィヴィオ。
機動六課の人達。
そして、フェイト。

新しい世界で手に入れた人たち。
誰一人欠けてはいけない。
失わないために、守るためにここまできたのに。

「小さな綻びだって、いつかは大きな穴となる。俺たちを倒したいのなら、しっかり仲間に話すんだな」

冬弥はそう言って燃え盛る炎に背を向け、どこかへと飛んで行った。
痛みを堪えながらそれを見ていたのだが、いつしかオレは意識を失っていた。


「Bad prohibition children が一人、鈴城夏希。オリジナル・・・いや、浅賀アリシア、戦おうぜ」

彼、夏希はそう言ってニヤリと笑った。
それを見てわたしは背筋がゾクッとしたのを感じる。

「レフェリア、セットアップ!」

急いでセットアップし、杖を構える。
そしてあまり溜めのない魔法を準備する。
夏希はわたしのその動作を一通り見てからメガネを外し、どこからか取り出した日本刀を構える。

「楽しませてくれよ?オリジナルッ!」

そう言って一気に距離を詰めてくる夏希。
わたしは絶妙のタイミングを見計らい、避けつつも貯めていた魔法を放つ。
しかしその攻撃は簡単に躱され、間を開けずにどんどんと迫ってくる。
そのままだと防戦一方になってしまうため、時々魔法を撃つが、なぜかどれも躱されてしまう。

「いい加減、あたって!」

わたしは一度距離をとってから中距離魔法を放つ。

「はぁ・・・なんか冷めるな、ソレ」

そう呟き、日本刀を軽く振るう。
それだけの仕草にわたしの魔法はかき消された。

「駆けろ(はやぶさ)!」

夏希は目にも止まらぬ速さで斬りかかってくる。
さっき魔法をかき消されたことに少なからず動揺していたわたしは一瞬反応ができずにその攻撃を喰らってしまう。

「きゃぁッ!?」

その攻撃は速さだけでなく重みもしっかりとあり、平均より少しだけ小さいわたしの身体は後方へ飛ばされてしまった。
少しすると壁にぶつかり止まる。
が、ぶつけた背中が痛んで上手く立ち上がれない。

「拍子抜けだったな。所詮、オリジナルなんてそんなものか」

夏希はそう言って日本刀を仕舞い、メガネを掛ける。
そのままわたしの方を振り返らずにどこかへと歩いて行ってしまった。


目を開けると、そこには涙を流す両親の姿があった。
自分を優しく抱きしめてくれた。
愛を教えてくれた。
でも、自分は周りとは違った。
普通は見えないはずの、遠く離れた場所。そしてありもしないモノが見えた。
しかし、そんな自分を両親は愛してくれた。
どこからどう見ても、最高の、自慢の両親だった。
でも、結局は偽物だった。
すべてが、偽りだった。
ある日、家に白衣を来た大人がやって来た。
その人は言う。

「約束通り、ソイツを寄越せ」

両親は言う。

「結局はアンタは化物で、偽物。自分たちにはいらない」

そう、偽物だった。
優しさも。
暖かさも。
両親も。
愛も。
そして、自分も。
白衣の大人に引っ張られている最中だった。
彼はやってきた。
自分から大人を離れさせ、そしてまだ小さな自分を抱き上げる。
倒れる両親と大人を背に、彼は来た道を戻る。
連れて行かれた先には自分と同じ少年。
偽りでも、偽物でもない、本物の愛を自分にくれた。
本物の心をくれた。
本物の自分をくれた。
だから。
ドクターも、アイツらも、オレにとっては命の恩人だ。
 
 

 
後書き
なんか(はやぶさ)って技かぶってる気がする。
けど気のせいだよねッ!

それではっ
 
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