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オズの五人の子供達

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第四幕その五

「変わったわね」
「そうね、あっという間に」
「さっきの青と緑の境界線が国境になるのね」
「マンチキンとエメラルドの国の」
「ええ、そうよね」
「私達エメラルドの国に入ったのね」
「完全にね」
 皆はこのことを確信しました、そしてです。
 周りの緑を見てでした、恵梨香はこうも言いました。
「あと少しで」
「そうだよ、もう少し歩いたらね」
「エメラルドの都だよ」
 まさにそうだとです、その恵梨香にかかしと木樵が答えます。
「そう思うと楽しくなるね」
「けれどまだエメラルドの都には着いていないからね」
「気をつけてですね」
「うん、何でも気を抜くと危ないから」
「転んだりしない様にしないでね」
 言うのはこのことでした。
「だからいいね」
「足元には注意してね」
「わかりました。虫さん達もいますし」
 足元を見れば蟻や他の小さな虫が黄色い道にいます、このことはマンチキンにいた時と変わりありません。
「気をつけます」
「それにしてもマンチキンだと虫さん達も青だったけれど」
 ナターシャは蟻さん達を見つつこう言いました。
「こっちじゃ緑なのね」
「蟻さんが黒くなくてね」
 恵梨香もナターシャに応えながら緑の蟻さん達を見ています。
「緑なのね」
「ウィンキーじゃ黄色になるのよね」
「ギリキンは紫でね」
 もっと言えばカドリングは赤です。オズの国ではそれぞれの国の色にあらゆるものがなっているからです。
「そうなるのね」
「虫さん達も」
「ここは元々。エメラルドの都もそうだったけれど」
「完全に緑じゃなかったんだよ」
 かかしと木樵は皆にこのこともお話しました、かつてのオズの国特にエメラルドの都のことをです。
「都の中はサングラスで緑に見せていたしね」
「何でもかんでもじゃなかったんだよ」
「けれどそれもですか」
「変わっていったんですね」
「そうだよ、マンチキンの国もそうだったし」
「どの国も全てが青や黄色に統一されていなかったんだ」
 かかしと木樵にとってもかなり昔のことです、何しろドロシーとはじめて会った頃のことですから。
「それが次第に変わってね」
「エメラルドの国も全てが緑に。本当にそうなったんだ」
「そうなんですね。オズの国もですね」
「変わったんですね」
 五人はオズの国の変遷も知りました、本当にオズの国は変わっていっているのです。
 そしてです、一行はこっちの世界に来て丁度一週間目にでした。エメラルドの都の前に来ました。そこは緑色のとても頑丈そうな門です。
 その門のところには門番の人が立っています、門番の人もまた緑です。
 緑の軍服に帽子です、かなり古い感じの軍服でナターシャはその軍服を見てこう言いました。
「形はイギリスの衛兵さんみたいね」
「ロンドンによくいる」
「あの衛兵さんだよね」
「ええ、そんな風よね」
 こう恵梨香とカルロスにお話します。
「オズの国の軍服って」
「そうね。銃と腰に剣があって」
「あれで戦うんだね」
「いやいや、この国では戦いがないからね」
 ジャックがその衛兵さんについてお話します。
「この衛兵さんも戦うことはないよ」
「私は只の門番ですよ」
 衛兵さんも笑顔でこう言います。 
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