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SecretBeast(シークレットビースト)

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本編 第一部
三章 「戦火の暗殺者」
  第二十一話「仲間たち」

屋根の上の魔術師は、歯噛みしながら瞬時に逃走を始めた。しかし、賢治がそれをゆるさなかった。ものすごい身のこなしで瞬く間に体育館の屋根に上り、魔術師を追う。
 豊村は宙吊りになっていた生徒を地面に落ちるところを助けた。
 生徒が目を覚ます、
「あれ、ここは?わたし、もの凄い怖い何かに襲われて、みんなが化け物に襲われない様になんとかしようとしたけど。すごい力で吊るされて……」
「織花さん、だよね?みんなのために頑張ってくれたんだな。お礼を言わせてくれ。今度、一緒に食事でもしよう。というか織花さんと友達になりたいな。いいかな?」
「え、え?」
「ダメかな、いきなりですまないけど」
「う、ううん!ぜ、ぜひよ、よろしく」
「うん、じゃあ、わたしはちょっとやらなくちゃいけないことがあるから。行くね?」
「は、はい!」
 織花さんは、自分の名前を覚えていてくれた人がいるなんて思っても見なかった。ましてや友達なんて。
「大丈夫?織花さんだったよね。あっ、腕、怪我してる」細川さんが織花さんに言った。
「あ、これなにかで締め付けられた時に切っちゃったんだ」
「すぐに、手当てしなきゃ。まってて、保健室の先生、呼んでくるから。それからありがとう。私、あなたと友達になりたいな。いい、かな?」
「う、うん。いいよ」
「ありがとう、私は細川 百合、よろしくねー!」
「私は織花 遥。よ、よろしく-!」
 (わたし、空気じゃなかったんだ・・・・・・。)
「細川―!」遠くのプールから声がする。明日香の声だ。
「今、賢治と豊村にそれに友恵がすんごい、スピードでなんかを追いかけてったぞ。何かあったんか?」
「ふう、明日香ちゃんは、今回は出番なしって訳ね。明日香さん、三人は、悪党を逃がさないために追い駆けてるんだよ。」
「何!?悪党!そうかー、ついに出やがったか。よっしゃ、私も行くぜ!」
「って、明日香ちゃん?水着の格好のままだよー!」
 明日香は、持ち前の怪力で地面を蹴るとあっという間にいってしまった。
 学校の下校途中の天光が、通学路でばったり明日香と出くわした。明日香がその黒豹のような小麦色の肌に水着姿で、家の屋根の上から現れて少々、天光は何が起きたか、われを忘れてしまっている。と、そしてはっと我に返ってすぐさま、言った。
「あ、明日香さん!」
「お、天光じゃないか、今、豊村と賢治と友恵が悪党を追っているんだ。私も行くぜ!あじゃな!」
「あ、明日香様!?はあ、ふむ、悪党?そうですの、ついに出ましたのですね!」天光は、自分の携帯を胸ポケットを出すと電話をかける。
 トゥルルルルル、「天光様でございますか?」まったく時を待たずにすぐに電話の向こう側に太い声の男がでた。
「ええ、例の伊佐さまの件が始まったようですわ。おまえは、これから言う、地点へ兵を配備なさい。急ぎなさい、相手は、たぶん相当な猛者ですわ」
「……かしこまりました」
 
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