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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第十五話






『ギャアァァァァァーーーッ!!!』

 黄巾軍兵士が炎に包まれながら悲鳴をあげて焼かれていく。

 服が燃えて一生懸命、火を消そうとする黄巾軍兵士もいる。

「生きている奴にも矢を浴びさせろッ!! 村々を襲った黄巾軍に容赦はするなッ!! 弓隊構えェッ!!」

 俺の言葉に弓隊が炎に包まれている黄巾軍兵士に構える。

「撃ェッ!!」

 弓隊が一斉に矢を放ち、もがき苦しんでいる黄巾軍兵士に止めをを刺していく。

「がぷッ!?」

「ぎゃッ!!」

 黄巾軍兵士は矢の雨に次々と倒れていく。

 そして火が息堪えた黄巾軍兵士の服に燃え広がり、やがて火は兵士毎包み込んだ。

「……酷いな………」

 クロエが崖の上からその光景を見て呟く。

「クロエッ!!」

「ロッタッ!! 無事だったか……」

 俺達はクロエ達と合流する。

「長門。これは一体……」

「魚油を使った火計だ。まさかこんなに成功するとは俺も思わなかったけどな……」

 俺達の役十五メートル下の山道では一万二千の黄巾軍兵士が焼かれている。

 俺は谷があるところまで黄巾軍を誘導した。

 後は今さっきした事だな。

「………うぇ……」

 俺達の下であまりの阿鼻叫喚な世界に、ロッタが戻した。

「ロッタと気分が悪い奴は下がっとけ。絶対に夢に出るからな」

 俺も下に目線は向けてない。

 絶対に夢に出るからな。

「さて……趙雲」

「………は」

「……とりあえず生きててよかったな趙雲。俺達が来るまでよう頑張った」

 俺は安堵して趙雲を労う。

「………え?」

「傷は大丈夫だったか?」

「……へ?」

「だから傷だって」

「あ、あぁそれは大丈夫だが……」

「ならよかったな。あぁそれとホイ」

 俺は路銀が入った袋を投げる。

「どうせ、戦が終わったら抜けるつもりだったんだろ? なら今やるわ」

「王双殿………」

「おぅお前ら、黄巾軍が全滅したら順次埋葬していくから準備しろよ~」

俺は兵士達に告げていく。

「………何故何も言わないのですか……」

「ん? 何をだ?」

「私が勝手に出撃したのを怒らないんです か?」

「俺は美羽から命を受けた黄巾軍討伐の指揮官だけど、趙雲は客将だ。俺達の味方だけどあくまでもお客なんだから部下では無いからな。そりゃあ部下だったら最悪斬首かな」

「で、ですが王双殿が……」

「お前じゃなかったら助けてなかったよ趙雲。先走りぽいけど、お前の武はぴか一や。お前をこんなところで死なせるわけにはいかんからな。……それに趙雲はマジ可愛いから死なせた ら全国の趙雲ファンに俺がぶっ殺される」

「……………」

「そうそう、出ていくのは構わんけど、他の軍に入るならそれなりに規律を守れよ。そうじゃないと、お前は多分早死にするからな」

「……………」




 それから、頃合いで用意してた水で消火活動をして、俺達は焼死した黄巾兵士達を丁寧に埋葬していく。

「……夢に出て来そうだ……」

「なら始めからするな……」

 俺の言葉にクロエが溜め息を吐いた。

「美羽の領内に入らせないようにする策はこれくらいしか浮かばなかったんだよ……」

「……成る程。噂を広げさせなおかつ袁術を恐れさせ、入らせないようにか。だがその分、黄巾軍は他の領へ行かないか?」

「それは仕方ない。それに、俺やクロエはチートじゃないんだから全部の黄巾軍の鎮圧とかは無理だからな」

「……そうだな」

 クロエはゆっくりと頷いた。

「隊長。大体の埋葬は終わりました」

 そこへ伝令の兵士が来た。

「よし、なら帰るか」

 夜中まで埋葬が終わらず、俺達は戦死者の埋葬を終わらすと、黙祷を捧げた。






―――夜、天幕―――

 黄巾軍の戦死者の埋葬は長引いたので、陣営を設営して一泊する事にした。

「………失礼」

「ん? どうした趙雲?」

 俺の天幕に趙雲が急に来た。

「王双殿……いえ主。私の先走りで主に、そして袁術軍全体に迷惑をかけてしまいました。申し訳ありません」

 ……………。

「待て待て待てッ!! 何があった? 何があったんだ趙雲ッ!!」

 まさかどっかで頭でも打ったのか……。

「頭は打っていません主。私はどうやら少々自惚れていたようです。それを主は教えてくれました」

 ……何か教えたか俺?

「それで……私を袁術軍の末端に加えてくれますかな?」

「………それは心強いよ趙雲」

「ありがとうございます主。それと私の真名は星です。預かってくれませんか?」

「……分かった。預からせてもらうわ星。その代わり、俺の真名である長門を預かってくれないか?」

「承知しました主」

 ………何か趙雲―――星が正式に袁術軍に 入ってくれたじぇい。

「そん代わり規律とかは守ってな」

「それは分かっています。それでは主、また明日」

「おぅ、また明日な」

 星は俺に頭を下げて天満を出た。

「……予想外な事が起きたけどまぁいいや。さて、俺も寝るかな」

「そういや真桜に頼んだあれはそろそろ出来る頃かな?」

 あれがあったら戦はかなり変わるからな。てか袁術軍無双になりそうだな。

「まぁええや、今の俺は眠いんや……」

 全部明日だ明日。

 俺はそう思って目を閉じた。






 
 

 
後書き
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