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SAO二次創作者と、二次主人公ズの、やりたい放題桃太郎

作者:鳩麦
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第五章 強襲作戦 前編

さて、それでは四人はあちらの雑兵の殆どを片付け、ガレオン船の停泊する場所の近くへとやってきました。

りょう「どれ……んじゃ入りますか」
まさき「そうだな」
まさきの背後から、えみは透明のまま付いてきます。
人を透明にすると言うふしぎな効果を持ったこのマントは一度被ると、外してしまうとその効果が失せてしまうのです。

りょう「さてと……親玉が出てくる気配もねーし……こっちから探すべきかね」
りくや「うーん、どうする?かたまって行く?」
りん「どちらでもいいぞ、俺は」
りんの言葉に、隣のまさきも同意するように頷きます。りくやがりょうを見ると、りょうは少し考えてから言いました。

りょう「いや……散るべ。その方が早そうだ」
まさき「なら、それぞれの行き先はどうする?」
りん「まあ……それは適当に」
りょう「俺は船の下部入るわ。お前らはお好きに」
言いながら、りょうはのんびりとした様子で歩いていきます

りん「まあ、撤退経路は確保しておいてやる」
りょう「おう、よろしく」
言いながら、りんは甲板で警戒を行うと言って上がって行きます。

りくや「なら援軍くるかもしんないし俺外行く」
まさき「となると、俺は残った中層だな」
そう言って、其々のメンバーは各方向へと散って行きました。

────

鳩麦「さて、此処からは僕がお相手します。初めっから展開が決まってちゃ面白味もあるまい?」
蕾姫「ほう」
レオニス「具体的にどうするんです?」
鳩麦「まぁキャラの動きを描写するのは何時も通りで、但し敵キャラの動きは俺が描写する。其れを交互にやる」
涙カノ「成程。えっと、じゃあまたりんくんから?」
鳩麦「あぁ、その前に番号選んでね~、あみだくじで順番と相手決めるから」

作者くじ引き中……

鳩麦「では最初の戦闘はりくやからでーす」
涙カノ「orz」
鳩麦「それでは、開始!」

────

説明の通り、以降の戦闘は鳩麦と、「戦闘を行う主人公の作者」によって構成された戦闘と成ります。
具体的には、其々のキャラの描写を交互に行い、敵キャラを鳩麦が。主人公をその担当作者が評者する事で、より予定調和に成りにくい戦闘を楽しむと言う物です。
その為、台詞毎に描写の手法が変わる事が多くありますが、其れに関しては二人の作者が闘っていると言う証明として受け取っていただければ幸いです。
では、どうぞ。

────

【りくや】

ではりくやは周囲を見渡しながら、注意深く森の中を歩いていきます。
夜の森と言うのは想像以上に暗いのだなと、りくやはなんとなしにそんな事を思った。
周囲の草木の影に見えない死角が多く、予想以上に緊張感がある。
まして、護衛対象が近くに居るとなるとなおさら……

ゆか「……あっ!?」
突如として、後方から今日出会ったばかりの少女のくぐもった悲鳴が響く。
とほぼ同時に、ブンッ!と言う風切り音が真後ろから迫った

りくや「っ!?ゆかさん!?」

りくやが振り返ると、丁度自分の顔面に向けて凄まじいスピードで迫る斧が視界に映った。
ゆかの姿はその一瞬では確認できず、変わりに目の前には鎖をフードのように編んだ鎧を着込んだ男……

りくや「なっ!?……くそっ!」
斧の攻撃を腰を落とすことで回避、後ろ向きにジャンプする。

?「ワァオ!今のかわしちゃいます!?かわしちゃいますか!いや入ったと思ったけどなぁ。惜しい!」
やけに高いテンションでマシンガンのように話す男の足元には、先ほどまで自分の後ろにいた少女がうめき声をあげていた。
いつの間にか、バックステップをしたことで少女との距離が開いて居ることにりくやは気が付く。

りくや「っ……その子をこっちに渡してもらいたいんだけど…」

大剣を抜いて、構えながらやけにテンションの高い男に睨んで話しかける。
…なんか、こいつ危険な感じがする…さっきの奴らとは全く違う何かが。

?「うーんどうしましょうかねぇ?簡単に渡しちゃっても流れ的にあれだし……あ!分かった!じゃあこんな感じはどうです?」
言いながら男はおもむろに斧を振り上げると、ゆかの首元に向けて振り下ろす

りくや「っ!?やめろっ!!」
剣を振りかぶり地面を蹴って襲いかかる。

?「おぉっとぉ!冗談ですってぇ!」
男は振り下ろされた大剣を方手斧で弾きあげると、身体を半回転させながら即座に反撃。
リクヤの左に回ることでもう一本の剣の間合いから外れつつ、横殴りにリクヤの身体に斧を突き立てようと振るう。

りくや「っ!?」
間違いなく剣で防御は無理、そんなことしようとすれば間に合わずにあの斧に斬られるのは間違いない。剣を振り下ろす勢いそのままに前方に転がって斬撃を避ける。

りくや「…なんて動きするんだよ……」
?「あれ!?今のもしかしてほめられてます!?アッハハ!嬉しいですよォ。今まで禄に戦い方誉められた事……あれ?あったかな。まいっか♪それより、これでルールは決定ですよね!?勝った方がこの子を好きにするって事で!それじゃあ……」
鎖の向こうに見えた目元の見えない顔を二ヤッと歪ませて、男は言った。

?「ショウ・タイム。いっちゃいます!?」
りくや「やるしかないってことかよ…」
人は誰かのものじゃないって言いたいけど多分こいつはだからなに?で終わりそうだから全く意味ない。
この子をあの家に帰すまで守るには俺が勝たないとだめ、か。

りくや「イッツショータイムってことか…いいよ、やってやる」
?「お、いいっすねー。それじゃ……」
ヴンッ!と言う音と共に、男が一瞬でりくやに肉薄する。と

?「ショウッ!」
奇妙なかけ声と共に、振り上げた片手斧を薪を割るように一気に大上段から振り下ろす

りくや「孤月閃っ!」
それに対してリクヤは、迫ってくる斧めがけて半月を描くよう剣を振り上げる

?「ヒィ……ヤッ!」
その瞬間、ギュンッ!音を立ててと剣の軌道が変わった。
振り下ろしかけていた腕を男は無理矢理まるで巻き戻すかのように振り上げると、そのまま腕を逆に一回転。一瞬のうちに、振り下ろしが振り上げに切り替わりりくやに迫る。

りくや「くっ…間に合わっ……」
動きが少々大きいため次の技に移行する前に謎の切り上げが俺を襲う。とっさにバックステップを取るも間に合わず服に大きく縦に一閃入った。どうやら体も少し切られたらしい。

りくや「…つぅ……なんだよ、その体は……」
?「鍛錬の賜物。とか言ってみれば格好つくんですけどぉ、ただの曲芸で~す!たんなるフェイントってやつです……よっ!」
言いながら男は再び斧を振り下ろす。とその勢いを利用して身体を大きく回転させ、打ち下ろしの蹴り。続けて更に右手から左手に持ち替えた斧が迫り、更に蹴りが迫る。

りくや「っ!……獅子天吼弾!」
敵の攻撃を体を反転させて避けて、蹴りと同時に獅子の形をした衝撃波を放つ、さらにそのまま剣で薙ぎ払う

?「おわっち!?なんすかそれぇ!?」
巻き起こった衝撃波をバックステップで男はかわす。そのまま剣の追撃を……

?「妖術……だったりして!」
剣に左に回転しながら身体入れ替えるようにかわし、そのまま横なぎに斧を振るう。

りくや「童話作家直伝のただの技だよっ!」
剣の勢いを止めず、瞬時に一回転して斧にぶつける

?「わっふ!?」
半ば体制を崩しながら斧を振った男と、既に振っていた剣をそのまま振り切ったりくや。剣に勢いが乗るのはどちらかなど考えるまでもないだろう。
りくやの剣圧に押され、斧を弾き返された男が小さくたたらを踏む

りくや「悪いけど…」
この隙に一気に近づきアッパーを繰り出し自分も飛び上がってかかと落としをし、ゆかとまったく反対方向へ蹴り飛ばす。

?「ぐむ……!?」
体制が元来崩れていた所に更に連撃を叩き込まれた男は当然抵抗出来ずに正面から連打を受ける。
かかと落としをそのまま受けた男は一気に地面へと急降下する

りくや「決めてやる!斬空刃無塵衝っ!!」
そして自分の最大の速さで近づき居合いのように剣を振り抜いて切り刻む。

?「わぉう!?」
何をされたか分からなかった。と言うのが一番正しいだろう。
一撃でありながら連撃。そんな居合いを受けた男は、なすすべも無く森の向こうへと吹き飛んだ

りくや「はぁ……はぁ……あ……ゆかさん……!」
結構吹きとんだ斧使いの方向を見向きもせず、息を整えて急いでゆかの元へ走る。

りくや「大丈夫か!?おい、しっかりしろ!…頼む、目を覚ませ!ゆかぁっ!」
叫びながらなんども体を揺すると小さなうめき声をあげ、目の前の少女がうすらと目を開けた

ゆか「…ぅ……ここ、は……?」
りくや「あの森の中。……あぁー、よかったぁ…」
一気に肩の荷が降りた感じがした。

ゆか「……私、一体…」
りくや「殴られて気絶してたっぽい」
ゆか「……そう…なの?一体誰に…?」
りくや「多分海賊一味だと思う…。そういや、歩けるか?」
少しの間とはいえ意識が朦朧としていたから心配だったのだがゆかはそんな心配をよそに木に寄りかかりながらだが普通に立っていた。

ゆか「……ぅぁ…」
りくや「おっと。…無理するなって」
ゆか「…ご、ごめんなさい……」
申し訳なさそうな顔に笑って返して俺はゆかをおんぶしてこの場を離れた。

────

鳩麦「お疲れ~なかなか快勝じゃないw」
涙カノ「うぬ……てかあれってモルテさん?」
鳩麦「そだねwSAOPの最新巻で登場して巷じゃPoHじゃないかとかって噂も経ってるあの人だw」
蓮夜「割とガチな人が来たw」
霊獣「割ともっと噛ませな人かと……」
鳩麦「え~?いやいや。敵が強くないとやっぱ盛り上がらないかなってさ。それにほら。この二人控えてるし」
蕾姫「ん?(ゴゴゴ……)」
レオニス「はい?(コォォ……)」
鳩麦「ね?『こえーよ。寧ろオーラ上がってる気がするよこいつ等(苦笑)』」
ULLR「ははは……」
なべさん「いいなぁw」
鳩麦「黙ってなさい狂人使いw」

鳩麦「では次は、レオニスさんでしたね」
レオニス「はい。僕のとこも強いんですかね?」
鳩麦「えぇまぁ其れなりには」
レオニス「怖いなァ(テカテカ)」
鳩麦「貴方がね(苦笑)まぁ実際苦戦するかも……では、開始!」

────

【マサキ】
側面にあった窓から、崖を利用して直接りょうとまさきは中へ入っていた。
すぐに見つかった階段でりょうと別れたまさきは、そのまま内部を探索する。と、罠に注意しつつ開けた扉の内一つに、やけに広く豪華な部屋があることに気が付く。

まさき「搾取と略奪の成果がこれか。随分と勝手な暮らしぶりだな」
吐き捨てるように言って、まさきはすぐそばにあった豪奢な椅子を脚で小突きながら部屋に入った。

部屋に入ると、不意に誰かの声がする。
ボソボソと何を言っているか分からないその声にまさきが警戒を強めつつ耳をすますと、声はこんな事を言っているのが分かった。

?「凍れ凍れ、疾く凍れ。深く冷たく疾く凍れ。聖なる域を踏みし異物よ。凍れ凍れ……」


?「疾く凍れ!」
それを聞いたと思った時、身体の変化に気付いた。まさきの手足が先から石へと変化し始めていたのである。

まさき「……っ!!」
目に飛び込んできた光景に危機を感知したまさきは、咄嗟に前方へと跳んだ。足先の違和感のせいでいつもより飛距離と速度は落ちたものの、常人では目で追うことも難しいほどの速さで数mほどを駆け、前転で衝撃を逃がしながら着地。

まさき「……誰だ」
そして、声のしたほうを睨みつつ立ち上がった。

?「ホッホォォォ-!ホオッ!ホオッ!勝手にあたしの部屋に入ってきてェ、誰だ。とは無礼も無礼、大無礼ですねェ」
奥から現れたのは太りすぎて雪だるまでは無いのかと思われるような子男。ボウン、ボウン。と鞠のような音を響かせ歩くそれは、まるで大玉がそのまま歩いて居るかのようだ。

?「アチシの名前を聞く前にィ、自分が名乗れってんですよゥ」
そんな事を言っている間にも、徐々にまさきの石化はまるで浸食するかのように進む。
それは確実に、彼の残り時間を示しているように見えた。

まさき「海賊が礼を語るか。これは滑稽だ。地獄(あの世)で芸人でもやったらどうだ? その腐った蹴鞠みたいな体と言い、笑われる要素には事欠かんだろう」
走った動揺を気取られぬよう、まさきは余裕な体で言った。
指先の感覚は既にない。いつものような感覚で戦える時間は、もう長くないだろう。
まさきはポーカーフェイスを顔の表面に貼り付けたまま、戦術を練るべく頭の回転速度を跳ね上げた。

男「だぁまれェェェェェい!!この糞英雄気取りがぁぁぁぁッ!」
小男の薄白い頭が一瞬にして真っ赤に染まる。どうみても肉団子にしか見えなかったが、どうやらその肉団子が切れているらしいと言うことだけは分かった。

男「黙って聞いていれば調子にのってぇ、死に損ないの喚きは聞き飽きてるんですよゥ!」
言いながら男はぶよぶよとした身体を跳ねさせて汚く唾を飛ばす。

男「去勢を張るのは結構ですがねェ。どーせ直ぐにただの重石に成り下がるんですからァ?喋れるうちに命乞いでもしやがれってんですよゥ」
言いながら男は、状況に気が付いたようににやりと笑う。実際こうして話している今も、まさきの身体は確実に石になっていってるのだ。

まさき「ハッ、いいね、いいじゃないか。その様子なら、三途の川を渡っても見世物として上手くやれるだろうさ」
相変わらず余裕な顔で言いながら、まさきは握っておいた蒼風の鯉口を切った。切れ長の目を僅かに細め、男を睨みながら構えを取る。

まさき「悪いが、まだ途中の証明が残っていてな。それを完成させるまで、生憎死ねないんだ……よっ!」
そして、一気に抜き放った。そのまま居合い抜きの要領で振るわれた刀は、刀身だけが鞘から離れ、二人の間の空間を切り裂きながら男へ向かう。さらに、それを盾にするようにして、まさきは足元の絨毯を蹴った。
元々時間は少ない。が、ならば最初からトップギアで短期決戦を挑むまで――!
まさきの脳内で、電気信号の奔流が無数のシナプスを駆け抜けた。脳細胞を一つ残らず呼び覚まし、男の挙動を筋肉から読み取りながら肉団子めがけて走り出す。

肉団子「ホオッ!ホオッ!粋がるのは結構ですがねェ」
およそ常人から見れば異常としか言いようのない速度で接近するまさきの突撃を前にしても、肉団子はそのぶよぶよの顔に浮かべた気味の悪い笑みを崩さない。
ほとんど体が霞んで見えるような早さでまさきは肉団子へと接近し、その刀をまさきは振り下ろす。その刃が肉団子の妙な服の上にふれ、そこから鮮血が拭き……出さなかった。

肉団子「こっちには付き合う義理は……ねェんですよォゥ!!」
奇妙な叫び声をあげた肉団子の体が、突然内側から破裂するように爆ぜ、その中から、真っ赤な気体がまき散らされたからだ。

まさき「……ッ!? ゲホッ! ゴホッ!!」
喉を這う痺れるような痛みに、堪らずまさきは咳き込んだ。左腕を口元に当てながら気体の中を抜け、肉団子を探す。
肉団子の身体から発されたガス(?)によって、部屋中にゆっくりと赤い霧が立ち込めて行く。しかしその中に肉団子の姿は見えない。
部屋中の壁から、反響するように声が響いた。

肉団子「「「「「ほっときゃ死ぬ奴とォ、誰がバカ正直にやり合いますかねェ?勝手に一人で盛り上がって、一人でくたばる事ですよゥ!」」」」」
まさき「チッ……」
まさきは一度部屋全体を見回すと、苛立ったように舌を打った。しきりに周囲を警戒するものの、男の姿はどこにも見えない。
すると。

まさき「……っ!!」
先ほどまでのポーカーフェイスとは打って変わって焦りの表情を顔に刻みながら、まさきは再び高速で駆け出した。広い部屋の床を、天井を、壁を、空中を無音で駆け抜けながら、右手の蒼風をめちゃくちゃに振り回す。

────

鳩麦「成程w」

────

肉団子「「「「「「ホオッ!ホッホオ!どうやらびびったようですねェ!ですがァそーんな滅茶苦茶に振り回した所でェ、当たるわきゃねーんですよゥ!」」」」」」
部屋全体から、なめつけるような声が響く。既にマサキの腕の関節近くまで石化は進み、もう間もなく膝の関節を石になろうとしていた。

まさき「くっ……!」
かなり落ちてきたランスピードと、感覚が薄れていく足元。確実に迫る“死”をひしひしと感じながらも、まさきは今出せる全速力で脚を動かし、脳が出せる最大出力で意識を部屋に集中させる。
視界に映る影は無し。
振り続けている刀も、何かに当たる気配すら感じられない。
今まさきが感じられるのは、徐々に重くなる手足の感覚と、部屋に充満した鼻を突く不快な臭い。そして――

まさき「……!」
部屋の入り口近く。自身の後をついてきたはずのえみが待機しているであろう場所のすぐ左。そこから微かに、だが確かに響いてきた足音を、まさきは察知した。まき散らされた部屋の備品の欠片を、何かが踏んだのだ。えみには絶対に動くなと言ってある。あのマントの位置はまさきにも分かる為、其れがえみで無いのは間違いない。即ち……

即座に足音から身体の位置を推測し、肉団子のすねがある位置に意識を集中。《荒神風鎖》でできた小さな風が、何も知らずに歩く肉団子の足を引っ掛けた。

肉団子「ホワッ!?」
途端にビタンッ!という肉が地面にぶつかるのによく似た音がその場所から響く。
途端に、まるで滲むように派手な色彩がその空間に現れ、それが完全に色付いた時、そこには間違いなく先程の肉団子の姿があった

まさき「ようやく出てきたか……」
まさきはニヤリと笑いながら呟くと、そのまま風で肉団子を床に貼り付けた。その一瞬の間に姿勢を整えると、地に伏した肉団子めがけて全力で天井を蹴り飛ばした。

まさき「せぁ……っ!!」
今まで行ってきた筋肉演算などの疲労からズキズキと悲鳴を上げる脳を無理矢理押さえ込んで、まさきは制御できる最長まで刀身を伸ばすと、そのまま肉団子に突進する。

────

レオニス「まだ死ぬなよ……? (ゲス顔)」
鳩麦「はっはっは、勿論だともw」

────

肉団子「ひ、ヒィィ!ちょ、待……」
言いながら肉団子はズルズルと後ずさるが、当然全力疾走してきているまさきのスピードにはかなう筈も無い。
当然男はあっと言う間に蒼風の間合いに入る。

まさき「喰らえ……ッ!」
その瞬間、まさきは自らの身長を越すほどに伸びた刀身を、思い切り男に叩き付けた。刃が肉を詰めすぎたソーセージの如き手足を切り飛ばし、残った胴体が衝撃で僅かに浮き上がる。

まさき「……ッ!」
そこへ、着地したまさきが追い討ちをかけた。宙返りをしながら両足で蹴鞠のような胴体を蹴り上げ、天井に跳ね返って落ちてきたところを回し蹴りで逆方向に蹴り飛ばす。

肉団子「ギャアアァァァァァッ!?」
吹き飛んだ男はまるで壊れたスピーカーのようにやかましい悲鳴を上げて、鮮血を撒き散らしながら部屋の向こうへと吹き飛んで行く。その後を追って追撃しようとした、瞬間


四肢の感覚が完全に消え、刀が手元からスルリと落ちた。

────

レオニス「あ、ちょっ!!」
鳩麦「はっはっは」
レオニス「最期まで展開考えてたのに畜生ww」
鳩麦「そう上手くはいかんぞwで、どうする?」
レオニス「んー……」

────

まさき「な……っ!?」」
ドサッ、と音を立てて、まさきの身体が崩れ落ちた。筋肉はおろか、神経も何の反応も示さず、文字通り、身体が全く動かなくなる。

まさき「クソッ……! ここに来て……!!」
手を床に叩きつけようとしたまさきだったが、どれだけの力を込めても、腕は1ミリたりとも動かなかった。噛み締めた唇から血が流れ、口の中に鉄の味が広がる。

まさき「ここまで、か……」
どうやっても身体が動かないことを分からされたまさきは、力なく呟いた。
元々、まさきは生にそれほどの執着心を抱いていなかった。肉親も、親友を失ったこの世界で、ただひたすらに仕事漬けの毎日。楽しいと思えることもなく、生きたいと願ったこともない。あんな下衆に殺されることは口惜しいが、逆に言えばその程度だ。
ただ、一つだけ気になるのは……

まさき「……えみ……か」
今日、ついさっき出あったばかりの彼女だったが、まさきはそれ以上の印象を彼女に覚えていた。ただひたすらに、自分さえ投げ打って姉妹の安全を懇願した彼女の心情は、天涯孤独で自分本位のまさきには、到底理解できなかった。それでも、必死に思いをぶつけてくる彼女を嘲笑うことはできなくて。

まさき「……まぁ、もういいか」
まさきはそう言って、えみがいたであろう場所に視線を向けた。彼女があの羽織を着ている以上、まだその場所にいるのか、それとももう逃げ出したのかは分からないが、とにかくそこに姿はない。

まさき「……」
まさきは動かない四肢から完全に力を抜くとゆっくりと目を閉じた。深い深い胸の奥、深層心理と表層心理の境界線で、彼女の無事を祈りながら――。

瞳を閉じるまさきの耳に、不愉快な声が響く

肉団子「ホォッ……!ホォッ……!力、つきましたか。良い気味、ですねェ……!」
とぎれとぎれの声を出している肉団子も、最早風前の灯と言ったところだろう。しかしそれでも執念だけはあるらしいその男は、今もなお、生存していた。そして彼がそうある限り、まさきに掛かった石化は解けることもない。
完全に石となってしまえば、最早……

肉団子「と、とにかく、一刻も早く、か、か、回復を……こんな、小僧と、心中何ぞ……じょ、冗談じゃ……ぁ!?……か……」
まさき「……?」
突如として、一陣の風が吹いた。
傍らにあったはずの、愛刀の気配が消えている。吹いた風の中に、まさきは嗅いだ事のある香りを感じた気がした。

肉団子「ぁ……げ……?な、何故……何処、か、らぁ……!?」
──「やらせない……!絶対……!貴方になんて……!」
かろうじて動いた視線の先。肉団子の倒れた場所に、先ほどまでは居なかった人影が、一つ。
後ろ姿に見覚えは無い。なぜならその人影は、ずっと自分の後ろに居たのだから。

肉団子「このっ……小娘がァァァ!!?}
えみ「っ……!はぁっ……!」
肉団子の周囲にあった壺の欠片や陶器の破片が空中に浮き上がり、彼女の体へと殺到する。それらは彼女の着物を切り裂きほんの其処から少しだけ血がにじんでいたが、少女はそれを無い物とするが如く、刀ひねり、引き抜き……

えみ「セェェッ!」
肉団子「あ……!が……」
気合い一閃。
この上なく見事な型からの袈裟切りを持って、その男の生命活動を完全に停止させた。
途端、まさきの全身に広がりつつあった石化は、まるで表面だけが石化していたかのように粉々に砕け散って消える。
少女はしばらく死体を見下ろしていたが、やがて刀をその場にとり落とすと、眼に涙をいっぱいに溜めて振り向いた。

まさき「え……み……? 何、で……」
えみ「まさき君……」
震えた声を詰まらせながら、理解できないと言う風に呟くまさきを見た瞬間、溜まっていた涙が一気に溢れた。居たたまれなくなって、えみはフラフラと立ち上がったまさきに飛いた。どう見ても足に力が込められていないまさきにえみを受け止められるはずもなく、二人して床に倒れこむ。

まさき「なっ、お、おい……」
えみ「良かった……良かったよぉ……!」
正直言って、えみには最後の場面の記憶があまりなかった。……ただ、目の前でまさきが死んでしまう。そう思ったら、いても立ってもいられなくて。命の恩人だからとか、この島を取り戻しに来てくれたからだとか。そういうことは関係なしに、ただただ、彼が死ぬことが許せなくて。気付けば、刀を拾っていた。後先など、何も考えずに。

まさき「……その、何だ」
それからしばし、えみがまさきの胸に顔を埋めて泣いていると、ずっと無言だったまさきの声が頭上から降ってきた。

えみ「……?」
埋めていた胸から、目から上だけを離して、えみは視線を上げた。すると、数瞬迷うようにまさきの右手が宙を漂って、やがてえみの頭上に着地する。

まさき「……ありがとう。助かった。……生きてるよ。俺は」
えみ「……!」
切れ長の目を柔らかく細めた、優しい表情。自分が毒から目覚めて最初に出会った顔を見て、えみは全てを理解した。
――目の前の、クールで、ちょっと冷たいようにも思える彼が、本当は凄く優しいんだということも、今胸の中で心臓をバクバクと跳ねさせているこの感情の正体も、全て。
だから。

えみ「……うんっ!!」
今、自分が見せられる最大限の笑顔を作ると、えみはもう一度だけまさきの胸に顔を埋めて、今までよりも強く抱きしめた。

まさき「……そろそろ、離れてくれ」
えみ「えー……」
それから暫し。中々消えなかった石化していた部分のだるさがようやく抜けたため、まさきは胸にしがみついていたえみを促した。が、還ってきたのは何故か不満そうな声。

まさき「……いつまでもここでこうしているわけにもいかないだろう」
えみ「それは……そうだけど……」
むぅ、と、尚も不満そうな声を漏らすえみ。それから30秒あまり悩んだ挙句、名残惜しそうに身体を離した。まさきも続いて起き上がると、一度確認するように手足を動かしてから立ち上がる。果てた肉団子の脇に落ちている蒼風を拾い上げ、一度血を払ってから鞘に収める。と。

まさき「つっ……」
まさきの頭を、突如ズキズキという痛みが襲った。

えみ「まさき君? 大丈夫!? ひょっとして、まだ呪いが解けてないんじゃ……」
まさき「いや、問題ない。ただ単に、頭を使いすぎただけだ。飯を食って寝れば治る」
えみ「そう……」
慌てて駆け寄ってきたえみに、まさきは右手をひらひらと振って心配が要らないことをアピールすると、もう一方の手でこめかみを押さえながら言った。瞬間、えみの顔に安堵の色が浮かぶ。
やがて、えみは何かを思いついたように、悪戯っぽく微笑むと。

えみ「それじゃ、まさき君! 行こう?」
まさきの手を引いて、いきなり走り始めた。そんな状況になるとは思いもしなかったまさきは、当然脚をもたつかせながら引っ張られる形になる。

まさき「うおっ!? ちょ、行くってどこへ!」
えみ「わたしたちの家! 今日は、すっごいご馳走作るって決めたから!」
まさき「いや、別に俺は……」
えみ「いいから。家事はわたしに任せて、ね?」
まさき「うん……? って、うおっ!?」
最後の言葉が、鈍痛を訴える頭に僅かな引っ掛かりを覚えたが、それは足元に躓いた次の瞬間にはするりと抜け落ちて、置いてけぼりになっていた。

まさき「ちょっ、転ぶ! 止まってくれ!」
えみ「ふふっ♪ やーだよっ!」
まさきの抗議も聞かず、まるで遠足に向かう子供のようにはしゃぐ。そんなえみを、窓から入り込んだ月明かりが鈍く照らした。
柔らかな銀色のスポットライトの下に映し出されたその笑顔は、今まさに月から舞い降りた天使のようで。

まさき「…………」
思わず息を呑んでしまったまさきの心臓が、トクンと一度だけ大きく跳ねた。

────

鳩麦「後半また惚気(のろけ)やがって……!」
レオニス「いやぁw良いじゃないですかwホントはQ.E.Dまで言いたかったのを我慢したんですよこれでもw」
蕾姫「証明完了(Quod Erat Demonstrandum)ねwあのまま決まってたら言ってた訳かw」
レオニス「ですですw」
鳩麦「ふんっ!そんな格好良いキメ台詞を言われて溜まるか!」
蓮夜「GMの醜い嫉妬が見えたw」
霊獣「www」
鳩麦「うっせぇw!」

鳩麦「さて、こうなったら僕は相手をボコボコにしてやるしかない」
ULLR「そう言えば鳩麦さんの相手は誰になるんです?」
鳩麦「そりゃ俺でしょ」
蕾姫「えー……」
レオニス「えー……」
涙カノ「えー……」
鳩麦「なんだよ!!?」

蕾姫「いやぁ、其れはフェアさに欠けると思う訳でw」
レオニス「どうせなら誰かと鳩麦さんもやった方がいいですよw」
涙カノ「じゃないと楽しくないでしょう?」
三人「「「(ゴゴゴゴゴ……)」」」
鳩麦「やだ何こいつ等怖い」

なべさん「別に、主人公対決でも良いんじゃないですか?」
鳩麦「は?ナンダッテ?」
なべさん「いや、だから出演者以外の人の主人公を適当な理由付けて敵として出せばいいんですよ。で、今までと同じようにやると。てわけでレンくんを……」
鳩麦「よし!レンくん以外にしよう!俺が死ぬ!!後島が吹っ飛ぶ!!」
なべさん「えーw」
ULLR「あ、じゃあウチ出します?」
鳩麦「げっ」
霊獣「レイ君か……」
レオニス「良いんじゃないですか?(笑顔)」
鳩麦「嫌普通に強いですよねレイ君(汗)」
ULLR「リョウ君ほどでは(苦笑)」
鳩麦「…………」
蕾姫「そうと決まれば早速だなw」
レオニス「やりましょうやりましょうw」
涙カノ「早い方が良いww」
鳩麦「わぁ!超楽しそうだなお前ら!!」
三人「「「wwww」」」

鳩麦「はぁ……えーと、じゃあ、おねがいします」
ULLR「はい。お願いします」

……続く
 
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