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オズの五人の子供達

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第二幕その一

               第二幕  青いパンと果物
 恵梨香達はかかし達にそのパンの木のある場所に行きました、するとその森の葉もまた青いものでした。
 その青い森を見てです、カルロスはブリキの木樵に言いました。
「この森も青いんですね」
「マンチキンだからね」
 だから青いとです、木樵はカルロスに微笑んで答えました。
「勿論青いよ」
「だからですね」
「マンチキンは青くて僕が皇帝を務めているウィンキーは黄色いんだ」
「ギリキンは紫でカドリングは赤で」
「それぞれ違うよ」
「それでマンチキンだから」
「青いんだ」
 この森もだというのです。
「野原だって青かったね」
「そうでしたね。じゃあ僕達が今から食べるパンも」
 どうなるかとです、カルロスが考えたところで。
 神宝がです、一つのコッペパンを手に取って言いました。
「青いよ、このパン」
「あっ、本当だ」
 カルロスも神宝が持っているそのパンを見ます、見ればそのパンもとても綺麗なコバルトブルーです。葉と同じ色です。
「青いパンだね」
「林檎もだよ」
 ジョージは林檎を持って来ました、パンの森のすぐ傍に果物も森もあったのです。そしてそのリンゴもでした。
「青いよ」
「青い林檎はあるけれど」 
 カルロスは自分達の世界にあるその林檎のことも言いました。
「あの林檎は緑だからね」
「この林檎は本当に青いよ」
 青は青でもコバルトブルーです、その林檎も。
「この通りね」
「凄い色の林檎だね」
「紅茶もよ」
 ナターシャは森のすぐ傍の紅茶の湖を指さします、紅茶といってもです。
 その湖はとても青い綺麗な湖です、まるでサファイアを溶かした様なとても深い、それでいて澄んでいる湖です。紅茶の香りもします。
 その青い紅茶の湖を見てです、ナターシャは言うのです・
「青いわよ」
「青い紅茶ねえ」
 カルロスはそう聞いてこう言うのでした、首を傾げさせて。
「それって紅茶かな」
「青茶っていうのかな」
 ジャックがカルロスに言ってきました。
「この場合は」
「そうなるよね」
「お茶も国によって色が変わるんだ」
 オズの国ではそうだというのです。
「こうしてね」
「だから紅茶も青いんだね」
「味は変わらないよ」
 どの国でもだというのです。
「一緒の味だよ」
「じゃあ紅茶の味なんですね」
 ナターシャはジャックにこのことを確認しました。
「そうなんですね」
「そうだよ、お茶の味がするよ」
「それじゃあレモンを入れたら」
 ジョージはその青い湖を見つつ言います。
「レモンティーの味になるのかな」
「なるんじゃないの?」
 つぎはぎ娘がくるくると動きつつ答えてきます、この人は今もくるくると軽やかに踊っています。身体の中は綿なのでとても身軽です。
「あたいは飲む必要がないからわからないけれどね」
「ううん、じゃあレモンは」 
 ジョージはここでレモンを探しました、するとです。
 レモンもありました、青いレモンです。そのレモンを見てジョージは言いました。
「じゃあこのレモンを切ってね」
「僕が切るよ」
 ブリキの木樵が名乗り出てきました。
「斧でね」
「そうしてくれるんですか?」
「ちょっと貸して」
 レモンをとです、木樵はジョージに穏やかな声でこうも言います。 
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