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オズの五人の子供達

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第一幕その七

「お部屋の中に入ってね」
「うん、やってみよう」
 他の三人も二人に頷いてでした、そうしてです。
 五人はお部屋の中に入りました、お部屋の中は黒い煉瓦造りで色々な機械が横にあります。それで時計を動かす様です。
 けれど今はその機械には目をくれずにです、五人は。
 お部屋の真ん中に行きました、そうして。
 そこで、です。それぞれ顔を見合わせて頷き合って。
 顔を正面に向けてこう言いました。
「オズ」
 五人が一度に言いました、すると。
 五人の前にです、あの淡い青の渦が出て来ました。大きさも渦の流れも同じです。その渦を目の前にしてです。
 ジョージがです、皆に顔を向けて言います。
「じゃあ僕が最初に入るから」
「じゃあ次は僕がね」
「その後で僕だね」
 神宝とカルロスも言います、そして。
 ナターシャはそっと恵梨香の手を自分の手で握って微笑んで言いました。
「行きましょう」
「うん、今からね」
「この渦の中に入りましょう」
「渦の向こうには何があるのかしら」
「それを今から確かめるのよ」
 その為にもです、中に入ろうというのです。
「大丈夫よ、皆一緒だから」
「そうよね、一人じゃないからね」
「そう、安心していいから」
 ナターシャは恵梨香に優しい微笑みで言います。そうしてでした。
 男の子三人がまず渦の中に入りました、それからです。
 恵梨香とナターシャも入りました、そうして渦の向こう側はといいますと。
 普通の野原でした、右手には森が見えます。野原には草とお花があります。ですがその野原はといいますと。
 緑色ではありませんでした、草が青いです。綺麗な青い色なのです。それは森の木の枝もお花もです。何もかもが青いのです。
 その青い世界を見てです、ジョージが言いました。五人共その青い野原の中に一つの場所に集まっています。
「ここはオズの国かな」
「あのカボチャ頭のジャックがいる」
「うん、だって青いから」
 だからだとです、ジョージは神宝に言います。
「だからね」
「マンチキンの国だよね」
 神宝もその青い野原を見回して言いました。
「東の」
「うん、マンチキンの国はオズの東にあってね」
「何もかもが青いからね」
「そんな国はここしかないよ」
 マンチキンの国しかというのです。
「だからここはね」
「マンチキンの国なんだ」
「そう思うよ、だって」
 ジョージは足元のお花を見ました、それは菫です。ですがその菫もです。
「青い菫があるから」
「菫は青くないわ、紫よ」
 ここでナターシャも言います。
「こんなコバルトブルーの菫はないわ」
「そうだよね、じゃあね」
「ここはマンチキンの国ね」
 ナターシャも確信して言います。
「そうとしか考えられないわ」
「だからだったんだね」
 カルロスは納得した顔で頷いています、そのうえでの言葉です。
「あの人は渦を出す時にオズって言ったんだ」
「そうだったんだろうね、さてオズの国に来たのはいいとして」
 ジョージは青い野原を今も見回しながら言います。
「これからどうしようかな」
「オズの国から元の世界に帰るには」
 恵梨香はこのことから考えて皆に言いました。
「オズの国の真ん中にあるエメラルドの都に行ってよね」
「オズマ姫に会えばよかったわね」
 ここで言ったのはナターシャです。 
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