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オズの五人の子供達

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第一幕その三

「カルロスだって」
「僕はサッカーだね」
「そのあんた達と恵梨香を比べたら」
「違うっていうんだ」
「そうよ、あんた達はスポーツマンで恵梨香は華道や茶道なのよ」
 つまり文化系だというのです、恵梨香は。
「私も身体を動かしてるけれど」
「ナターシャはバレエだったね」
 神宝がナターシャに笑顔で言ってきました。
「そうだったね」
「そう、バレエでいつも身体を動かしてるけれど」
「じゃあ僕達と同じ速さで歩けない?」
「何言ってるのよ、あんた達は男の子で私達は女の子よ」
 だからだというのです。
「背だって違うし」
「あっ、そういえばね」
 三人の男の子達は日本だと中学生だと言っていい体格です、背も高いです。けれど恵梨香とナターシャは二人共普通の女の子、小学五年生の背です。
 だからです、ナターシャはこう言うのです。
「足の長さも違うし体力も」
「違うからなんだ」
「そう、私達はあんた達に合わせられないわよ」
 神宝だけでなくジョージとカルロスにも言います。
「悪いけれどね」
「悪くないけれどね。けれどレディーファーストじゃないとね」
 ジョージはナターシャの言葉を聞いて言いました。
「よくないよね」
「そう考えてくれると有り難いわ」
「じゃあ君達に合わせるよ」
 ジョージがにこりと笑って言います、見ればジョージが赤、神宝が青、カルロスが黄色の上着です、デザインはそれぞれ違いますが色も違います。
「そうするよ」
「そういうことでね」
「じゃあまずはね」
 お話が決まってからです、カルロスが四人に言ってきました。
「最初は何処に行こうかな」
「大学の方に行く?」 
 恵梨香がそっとこう提案しました。
「そうする?」
「大学の方に?」
「あそこで仮装パレードやってるから」
 それでだというのです。
「それ観に行かない?」
「あっ、いいね」
 カルロスは恵梨香のその言葉に明るい笑顔で応えました。
「それじゃあね」
「うん、五人でね」
 こうお話してです、五人は恵梨香の提案に頷いてそのうえで大学の方に行きました。そうして五人で仮装パレードのところに来ると。
 魔女や妖怪、幽霊の格好をした人達が並んで歩いています。歩きながらパフォーマンスをしている火共多いです。
 その人達を見てです、ジョージが四人ににこにことしてお話します。
「やっぱりハロウィンは仮装だよね」
「そうよね、けれど今仮装しているの私達の中では私だけよ」
 ナターシャはそのジョージにこう言います。
「四人共普段の格好じゃない」
「別に仮装しなくてもいいじゃないか」
 ジョージはそのナターシャにこう返します。
「そうじゃないのかい?」
「それはそうだけれどね」
「仮装してお菓子を貰いに行くのもいいけれど」
「ラフな格好で観て回るのもいいのね」
「うん、そう思ってね」
「僕達はこの格好なんだ」
「普段通りなんだよ」 
 神宝とカルロスもそうだというのです。
「それでだから」
「観て回ってるんだ」
「そうなのね、恵梨香と違う理由にしても」
「僕達も普段着だよ」
「この格好で楽しんでるよ」
「ハロウィンは観ても楽しいからなのね」
 ナターシャは二人の言葉を受けて納得しました。
「じゃあ私達も」
「うん、観て楽しもうね」
 恵梨香はナターシャににこりと笑って応えます、そうして五人で観るのでした。 
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