| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

幽霊だからって恋がしないとは限らないっ!

作者:御劔優太
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

失われた記憶。

「・・・お・・・いお・・・伊織!!」
俺が目が覚めたのは病院のベッドの上だった。
「・・・・・・」
俺はその銀髪の美少女を見ながら首を傾げる。
「伊織・・・・やっぱり記憶が・・・」
その子は俺の胸で泣いた。
すると突然ドアが開いた。
「伊織!?」
入ってきたのは金髪の美少女だった。
「渚ちゃん、伊織は・・・」
「梓ちゃん・・・・・記憶が無いみたい・・・・・」
「そ、そんな・・・・」
梓と呼ばれた女の子は泣き崩れた。
「・・・・・・」
俺は無言で二人の頭を撫でた。
「すいません、俺のせいで・・・」
「大丈夫!伊織のせいじゃない!」
「そうよ、責任感じないでほしいわ!」
「・・・・ありがとうございます。」
俺は軽く笑った。
「・・・ヤバい、超格好いい・・」
「伊織、笑えばいいのに。」
「えっ?記憶があるときはわらわないんですか?」
「うん、昔に嫌な思い出があったからね。」
すると、ゆっくりドアが開いた。
「やぁ、伊織。」
「・・・・あ、あの・・」
「ああ、大丈夫、話は聞いてるよ。」
「私は神崎刹那、君が所属している部活の部長だ。」
「そうですか、すいません。」
「いいや、君が悪い訳では無いからな、それよりは私達が守れなかったほうが・・」
「はい、ありがとうございます。」
俺は軽く笑った。
「うおっ!」
「部長!来るでしょ?胸にくるでしょ!」
「あ、ああ。こいつに笑顔を渡したら犯罪だ・・・」
「伊織ぃ!」「伊織!」「伊織!」
入ってきたのは黄緑の髪の毛の美少女と、無駄に格好いい男の子と、巨乳の眼鏡女子だった。
「おう、来たか。」
「伊織!記憶がなくなったって本当!?」
黄緑の髪の毛の女の子が聞いてくる。
「はい、すいません・・・」
「いや、謝ることはないよ!」
「それじゃあ自己紹介からにしようか。」
「あっ、そうですね♪私は伊織の彼女の玲瓏渚です!渚って読んでください!!」
「か、彼女!?」
「違います!あなたはまだ許嫁でしょ!って・・・私は、水無梓です。」
「許嫁!?俺はどんな家庭なんだ!?」
「ははっ、そうだな、まぁ、俺はただの酒屋の一人息子の神居智輝だ、親友立ったんだぜ!?」
「ああ、悪いな、記憶がなくて・・・」
「いや、大丈夫だって!」
「えーっと、僕は・・姫神ツカサです、女ですよ?」
「ああ、分かってるさ、これからもよろしくな!」
俺は笑顔で答える。
「い、伊織ぃ!笑顔久しぶりに見たよ!」
「そうなのか?」
「まぁまぁ、私は冬宮奏です、よろしくお願いします。」
「ああ、みんなよろしくな。」
「後は水嶋さん何だけど・・・」
「連絡はとれたのか?」
「まだですね。」
「まぁ、まずは伊織家に上がらせてもらおう。」
「俺んちですか?」
「ああ、そう言えば言ってなかったな、お前はヤクザの二代目、獅童伊織だ」
「えっ?ええぇぇぇぇぇぇぇ!!」


家に着くと執事のような人が出迎えてくれた。
「伊織様!記憶をなくされたとは本当ですか!?」
「えっ?う、うん、あなたは?」
「・・私は影山と申します。」
影山と名乗った男は深々と礼をした。

「伊織、記憶がなくなったの?」
「あ、はい・・・・・すいません。」
「そう・・・・私はあなたのお母さんの獅童由美子、ゆっくり記憶を治していきましょう。」
「はい・・ありがとうございます。」

俺は案内された自分の部屋に一人で寝転んだ 。
「伊織・・・・」
「ぐおっ!?」
俺は飛び上がるように起きて、声の主を探した。
「伊織・・・記憶がないんだね。」
脳裏に焼き付いた何かが、吐き気を模様した。
「伊織!?」
「・・・今・・記憶が・・・」
「伊織!どうしたの!?」
「あ、ああ、だいじぃうぶです。」
「・・・・私は、水嶋霙、幼い頃から一緒にいたの。」
「すいません・・・」
「いや、謝ることはないよ!」
「皆さん、優しいですね。記憶がある俺はこんな人に囲まれてたんですか。」
「そうだね、」
俺は霙の隣に座った。
「・・・・伊織、キスしよっか。」
「・・・・なんですか!?いきなり?」
「キスしたら何か思い出すかも・・・」
霙の顔はどんどん近づいてくる。
「ダメです・・・」
「えっ?」
「今の俺は貴方の好きな伊織ではありません」
「・・・・そっか、ごめんね?なにやってたんだろう、私。んじゃ帰るわ」
霙はこっちに顔を向けずにドアを開けた。
「待ってください!・・・・」
「?」
「少なくとも・・・俺は、今の俺は貴方の事が好きです!」
「・・・ありがとう♪」
そう言うと、霙は涙を貯めた目をこっちに向けた。
「んじゃね!」

霙は走り去っていった。
「・・・・・俺は・・・いったいなんなんだ?」 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧