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MS Operative Theory

作者:ユリス
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ジオン公国軍のMS開発①

——ミノフスキー粒子に対応した兵器の模索と、全領域を制覇したジオン公国軍MS群——

 最初期の実戦対応MSであるMS-05(ザクⅠ)や、一年戦争を通じての実質的な主力機であったMS-06(ザクⅡ)、水陸両用MSの傑作機MSM-07(ズゴック)などを開発したジオン公国軍は、「MS」という兵器そのものを生みだしたパイオニアといっても過言ではない。

 そのジオン公国軍のMS開発は、ザク・シリーズで知られるZEONIC社と、ドム系などの局地戦用機を得意としたZIMMAD社、MA開発を得意とするがズゴックなどの水陸両用MSも送り出したMIP社に代表される企業群を中心に、軍の主導で進められた。

 また、一部では技術本部などが直接開発に従事したケースもあると言われる。一企業にMSの開発を任せる—————モノアイや核反応炉/ジェネレーターなど専門技術が必要な部位は、別の専門企業が請け負っていた—————という手法や、複数企業に競作される方針は、軍事関連企業を総動員して「V作戦」を推進した地球連邦軍とは異なる傾向といえる。

 このような体制を布いていたジオン公国軍のMS開発はどのようなものであったのだろうか。

 ジオン公国軍のMS開発は、「MSそのものの開発」、「主力汎用MSの開発」、「局地戦用MSおよび特殊仕様MSの開発」の3つに分類できる。

 「MSそのものの開発」とは、U.C.0071に開始されたミノフスキー粒子散布環境下に対応した兵器の開発を意味する。これは、当時でも方向性が定まっていなかった分野に対する研究開発のことを指し、「MSという兵器の模索」とも言える。ZI-XA3(MS-01 クラブマン)からMS-03の開発までが、これに相当する。

 「主力汎用MSの開発」とは、MS-05(ザクⅠ)からMS-14(ゲルググ)までの主力MS開発を意味している。基本的には宇宙やコロニー内での運用を前提としたMSで、改造や改修を行わなくてもある程度の大気圏内運用能力も持つ機体が求められた。時期によって、機体に要求された仕様が異なっている点も特徴といえる。

 「局地戦用MSおよび特殊仕様MSの開発」とは、U.C.0076に開始されたと言われる大気圏内での運用を前提とした局地戦用MSの開発や、MS単独の戦闘能力を極限まで追求したニュータイプ対応MSの開発などを指す。MS-06K(ザク・キャノン)やYMS-16M(ザメル)などの支援MSもこれに含まれる。

 局地戦用MSは、地球侵攻を前提に開発された機体で、汎用MSでは十分な性能発揮できない領域での運用を目的としている。

 局地戦用MS、MS-06J(ザクⅡJ型)やMS-06D(ディザート・ザク)など汎用MSの改修機のほか、MS-09(ドム)やMSM-07(ズゴック)のような新設計機も存在した(MS-09G(ドワッジ)のように、局地戦用機を改修したタイプも多い)。特に局地戦用MSには多数のバリエーションが存在しており、その総数の確認も困難といわれる。これらは、ジオン公国軍MS開発における特徴といわれる。





補足事項

——ジオン公国軍MSの長所——

 ジオン公国軍のMSは、後に出現した地球連邦軍製のMSとは異なる特性を持っていた。これは技術面だけではなく運用面も含む特性であり、MS用携行ビーム兵器の開発が遅延するなどの欠点もあったが、総じて高い評価を受けることとなった。


■優れた操縦性

 ザクⅡ系に代表されるジオン公国軍のMSは、操縦性に優れる機体が多い点が特徴である。中にはMS-07B(グフ)のように操縦に癖のある機体も存在したが、全体的な評価は高く、その操縦性は戦後のRMS-106(ハイザック)などにも受け継がれている。


■高い拡張性

 ジオン公国軍製のMSは高い拡張性を持つ機体が多く、多数のバリエーションを生みだす母体となった。局地戦用MSの開発も、その拡張性を利用した改修機から始まったケースが多い。ゲルググのように拡張性を重視して開発されたMSも存在した。


■多様な局地戦用MS

 地球連邦軍に比べ、MS開発に先行したジオン公国軍では、多数の局地戦用MSの開発も進んでいた。とくに熱帯地用MSや水陸両用MSに関する技術に秀でており、地球連邦軍がジム系を改修した局地戦用MSのみしか投入できなかった点との違いといえる。



——ジオン公国軍の局地戦用MSと特殊仕様MS——

 ジオン公国軍は、地球連邦軍と比べ、多種多様なMSバリエーションを開発した。これは当時のMS関連技術では、グリプス戦役期以降のように各領域に対応したMSの量産が困難であったという技術的な理由と、地球侵攻を前提としている以上、過酷な地球環境に適応した局地戦用MSが必要だったという戦略/戦術上の理由があげられる。また、地球連邦との絶対的な国力差を覆すため、強力なMSを求めたことも理由と考えられる。


■陸戦用MS

 地球上での陸戦に対応したMS。ザクⅡF型を改修したザクⅡJ型のほか、MS-07B(グフ)などが新規に開発された。ホバー走行能力を持つMS-09(ドム)は、高い評価を得ている。


■水陸両用MS

 海洋をはじめ、水圏が七割を占める地球上において、水陸両用MSは必要不可欠な装備であった。このためジオン公国軍は各社に水陸両用MSを発注している。


■ニュータイプ用MS

 MSの究極系の一つがニュータイプ用MSである。一年戦争時ではサイコミュ関連機器の小型化が難しかったため、MSではMSN-02(ジオング)程度しか戦力化されていない。


■その他

 汎用性を犠牲にして、特殊任務に特化したMSも開発された。代表的な機体が支援MSであるザクキャノンや、飛行能力を求めて試作されたMS-07H(グフ飛行試験型)である。

 
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