| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

MS Operative Theory

作者:ユリス
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

ドムの開発②

——ドムの開発理由と投入技術——

 ジオン公国軍における局地戦用MSはU.C.0076,12から開始された。その中で陸戦用MSの開発も行われた。この中でZIMMAD社は、ホバー走行によって二脚歩行よりも機動性に優れるMSの開発に着手。

EMS-04(ヅダ)などを通じて培った熱核エンジン技術を応用し、大型フレームの機体に高い機動性を与えることに成功した。


■ZIMMAD社の局地戦用MS設計

 ZEONIC社がグフ・シリーズに飛行能力を与えようとしたことに対し、ZIMMAD社はホバー走行による機動性の確保というプランを採用した。

飛行式に比べ、ホバー式のほうが重量の制限がなく、重装化に適していたことが、ZIMMAD社がホバー式を採用した理由の一つであることは確実である。起動兵器は概して重装化する傾向にあるため、キャパシティと機動性を両立できるホバー式はメリットが大きかったのである。


▼熱核ジェット⁄ロケット・エンジン

 「火星」エンジンや「木星」エンジン、水陸両用MSのハイドロ・ジェット・エンジンに見られるように、ZIMMAD社は高い推進器技術を有していた。

新型の「土星」エンジンの推力は80tを超えるMSに十分なホバー走行能力を与えたのである。このようにドムがその本体重量と比較しても高い機動性を発揮し、さらに高度な戦闘能力を獲得したことも、この「土星」エンジンに因る部分が大きい。


▼ビーム兵器の採用
 腰部に設置された各藩王ジェネレーターは1,269kWと当時のジオン公国軍製MSの中では突出して高く、ビーム兵器の稼働も可能な出力を持つと考えられた。

このため左胸部に拡散ビーム法が装備されたが、ビーム兵器を稼働させるには出力が不足していたため、目くらまし程度の効果しか期待できなかった。また、敵機のビーム兵器を露散させることも可能であった。



——開発地と生産地——

➀宇宙からキャルフォルニア・ベースへの開発地移転

 U.C.0078にZINNAD社でホバー式MSの開発が開始されたという説を信じるなら、ドムの開発は初期にはサイド3かグラナダで、そして地球降下作戦後にキャルフォルニア・ベースに移され、YMS-09D(ドム・トロピカル・テストタイプ)への改修や実地試験が行われたとされる。


➁キャルフォルニア・ベースを中心とした生産体制

 初期の生産地はサイド3やグラナダ、本格的な量産はキャルフォルニア・ベースで行われた。MS-09F/TROP(ドム・トローペン)やMS-09G(ドワッジ)など陸戦用改修機もキャルフォルニア・ベースで、MS-09R(リック・ドム)MS-09R-2(リック・ドムⅡ)はグラナダの生産ラインが使用された。



——ドムの構造——

 動力パイプをないそうしたドムのデザインには、ヅダの影響が見受けられる。また凹凸の少ないボディは、ホバー走行時の空気抵抗や空力を意識したものとも考えられる。また、ホバー用エンジンを内蔵したベルボトム型の脚部、YMS-15(ギャン)にも引き継がれた胸部と腰部の分離構造も本機の特徴である。


■頭部

 EMS-04やYMS-15のもみられる十字型のモノアイ・レール。広範囲を走査可能である。


■腕部

 高出力化に合わせて大型化した腕部。ザク用兵装も使用できるが、その場合には大型グリップに換装する必要がある。


■胴体

 推進用スラスターを内蔵した胸部と、ジェネレーターを内蔵する腰部に分隠され、整備性に優れる。


■脚部

 足裏とベルボトム部にホバー用推進機を内蔵する。ホバー走行が主なため、関節への負担も少ない。



——ドムの兵装——

 ヅダとは異なり、ドムには専用の兵装が新規に開発された。統合整備計画に準していないドムやリック・ドムはマニピュレーターの規格型機種と異なるが、ドムに対応した銃把にグリップを交換することで使用可能となっていた。


■ドムの基本武装

 基本的な兵装はジャイアント・バズ(H&L-GB03K/360mm)と棒状の超刀身を持つヒート・サーベルで、肥大胸に拡散ビーム砲を内蔵している。一撃離脱戦法を想定しているため、一撃で大ダメージを与えられる兵装が多い。


■MS-09系列機の武装

 前術の用にオプションのグリップを装備することで多機種の兵装を流用できる。ドム・トローペンなどの統合整備計画に準拠したタイプは、グリップを換装せずにMMP-80のほかザク・バズーカ(H&L-SB25K/280mmA-P)などを装備できた。



——ドムのバリエーション——

 ドムは高い完成度を誇る機体である。しかし、言い換えれば発展する余地がなく、出力強化や部品の共通化といったわずかな点しか改修する部分のないMSだともいえる。

これはドワッジやドム・トローペンなど、後に開発された機体が単純な性能向上型、あるいは規格統一型であったことからも理解できる。ただし大型ボディの持つキャパシティにより、宇宙用に乾燥できたことが、グフ・シリーズとの最大の違いといえる。

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧