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テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ―そして、僕の伝説―

作者:夕影
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第四十五話

 
前書き

皆様明けましておめでとうございます+おひさしぶりです。

此方側の更新が怠ってしまい、本当に申し訳ございません;;

これからは此方の方も投稿していきますので、皆様良ければまた宜しくお願いします; 

 






「――アンタ…本気で使うの?」


「――うん…僕なりに決めた事なんだ」


――前で真剣な表情で僕に問うリタに僕は頷くと手に持つ星晶剣へと視線を移した。


「別にコッチはそれの解析も終わったからいいんだけど…アンタ…それを持つって事は、必然的に人間が相手になった時…人の命を『自分の意志』で殺す事になるのよ?」


「よく分かってるよ…。正直、まだこれを持つのが怖い。でも…僕がこれを使わないと、僕が殺してしまった人達に…申し訳ないんだ。それに…もう、皆に迷惑をかけたくないから。…守りたいものを、守りたいから」

星晶剣からリタに視線を向け、真っ直ぐとそう自分の意志を伝える。
リタは真剣な表情でしばらく僕を見た後、溜め息を吐くと口を開いた。


「…ま、アンタならそう言うと思ったわ。それに…アンタは言い出したら止めても聞かないタイプだし。…分かったわ、アンタの好きにしなさいよ」


「…うん。ありがとう、リタ」


「…ただし、肉体のマナを利用した星晶剣を変形させる能力はあまり使いすぎないでよ。サレに無理矢理使わされてた時と違って、アンタの身体への負担も大きいんだから」



リタの忠告に僕は小さく頷く。確かに一度、リタ達が星晶剣を調べる為に星晶剣を使わせてもらい、自分のマナを流し込んで巨大化させたりしてみたけど…思ってる以上に体力消耗が激しかった。
アレを戦闘で使いすぎてたら確かに僕は即潰れしてしまうだろう。


「うん…分かった。なるべく気をつけとくよ」


「えぇ…まぁ、また倒れてもアニーから小言くらうのはアンタだから気にしないんだけど」


「ははは…っ」


僕の返答に、リタは呆れた表情でそう言うと僕は苦笑いするしかなかった。



――――――――――――



「―…ふぅ…やっぱり身近にあると落ち着くなー」


――自室に入り新しく手には入った星晶剣と、手元に戻ってきた木刀を納め身に付けると僕は自然に言葉を漏らした。

星晶剣はいいとして…木刀はこのルミナシアに来てからずっと一緒に戦ってきたのでいわば相棒のようなものである。


「―……主、お久しぶりです」

不意にそんな声が扉から聞こえ見ると、ヴォルトが立っていた。


「うん…久しぶり、ヴォルト」


「はい。…お見舞い、行けなくて申し訳ありませんでした」


ヴォルトに小さく笑って言葉を出すと、ヴォルトは小さく頷いた後、僕に頭を下げてきた。
そう…彼女もカノンノと同じで、僕が目を覚ましてからは医務室には来なかった。
ただ…彼女の場合は……。


「……いいよ。僕のせいで…責任負わせちゃってごめん」

「…っ!…いえ、悪いのは…私です。あの時…ちゃんと主についていれば…」


そう…彼女の場合は…僕が攫われた事に責任を感じていて、僕と顔を合わせづらかったのだろう。







「ううん…あの時、ヴォルトに命令したのは僕だから。…ヴォルトは何も悪くないよ。悪いのは…僕だから」


「主…それは…」


僕の言葉にまだ何か言いたげなヴォルトに歩み寄り、頭を撫でる。


「ヴォルト…迷惑、かけちゃったね。約束するよ…今度からはきっと、君と一緒に闘う。何があっても、君を手放しはしない。だから…もう一度…契約しよう?」


「…主…っ…。…我が身、我が心は…主と共に…っ」


僕の言葉に、ヴォルトは少し瞳を潤ませた後そう言うと、光となり、僕の身体へと入っていった。
…サレに操られていた際、僕とヴォルトの契約《リンク》は切られてしまった為、それの修復に入ったのだろう。

何はともあれ…僕の身体はこれで元通りになった。


――――――――




「――ほぅ…君が、衛司君か」


「あ、はい…。…えっと、カノンノ…これは…?」


「うん。ニアタだよ」



――甲板にて、僕は今絶賛笑顔で僕の問いに答えたカノンノの手によって、ニアタと対面させられていた。

カノンノに『大事な話がある』といわれて連れてこられたのだが…ニアタの事なのだろうか。


「えっとカノンノ…大事な話ってまさか…」


「うん…ニアタから衛司に大事な話があるって言ってたから」

僕の問いにカノンノは小さく頷くとニアタの方を見た。
ニアタ・モナド…僕の知っているランプ型のような物ではなく…人形のように見えるソレは…多分、『マイソロ2』で言っていた彼等の精神体の一部なのだろう。


ニアタは僕の方をジーッと見ると、僕の方へと近寄ってきた。

「えっと…何…かな…?」


「ふむ…成る程。なに、娘とも呼べるカノンノに恋人が出来たと聞いて、一目見ておきたかったのだよ」


「は、はぁ…」



「ちょ、ちょっと、ニアタっ!」


ニアタの様子に小さく首を傾げていると、暫く僕を見てニアタは表情があればクスリと笑ったような様子を見せそう言ってきた。
突然のニアタの言葉に僕は思わず少し混乱して顔が少し熱くなるのを感じ、カノンノは僕と同じように驚いた表情を見せた後、顔を真っ赤にしながら声を上げた。
そういえばニアタって、どの世界のカノンノも自分の娘のように思ってるんだっけ。…アレ、これ僕、俗に言う親に顔合わせさせられてる?


「え、えっと…こういう時、『娘さんを僕に下さいっ!』って言えばいいのかな…?」


「ほほう…なかなか君は面白い事を言うな。では早速、まずはカノンノのどんな所が気に入ったか聞かせてもらいたいのだが…」


「お、お願いだから二人とも落ち着いてよっ!」


混乱したまま自分でも訳わからない事言ってる僕と、僕の発言にノって来るニアタ。訳のわからない方向にヒートアップしかけた所でカノンノが顔を真っ赤にしながらそう声を上げて止められた。


「ぁ…ご、ごめん。ちょっと色々混乱して…」


「ふむ…いや、すまない。カノンノが好いた相手と聞いて、少々嬉しくなって」


「全くもう…二人して…」


僕とニアタが落ち着き謝ったのを見て、顔を真っ赤にしたまま頬を膨らませて呟くカノンノ。
ああいう所が可愛いんだよなー…、ってまた危ない方向に行きかけた。





「えっとそれじゃ改めて…僕に話って一体…?」

「そうだな…では、カノンノ。少し席を外してもらっていいかな?」


「え…なんで…?」


僕が問うと、ニアタは少し考えるような仕草を見せた後カノンノを見るとそう言い、カノンノは小さく首を傾げた。


「いやなに…彼から色々と聞きたい事があるからな。そうだな…今後のカノンノとの関係とか」


「ぅ…わ、わかったからもうそれは止めてよっ!」


表情があればまさに『ニヤリ』という表現が似合いそうな笑みを浮かべているだろう雰囲気でニアタは言うと、カノンノは再び顔を真っ赤にしてそう言って足早にホールの方に入っていった。
多分、話が終わるまで食堂にいるつもりだろう。


「ふふ…恋とは面白いものだな。カノンノがあんな表情をするとは…」



「うん。ああいうのを見せられると…本当に守りたくなってくるよ」


カノンノが去っていった方を見ながらニアタが出した言葉に、僕は小さく頷いた。
ニアタは少しして此方を見ると先程の楽しそうな様子から一転し、真剣な様子で此方を見てきた。



「…先程、君のドクメントを見させてもらったよ。衛司…こんな事を聞くのはなんだが……君は『生きている』のか?」


「……やっぱりニアタには話した方がいいかな。僕の事や…僕の世界の事を…」

ニアタの発した言葉に僕は少し俯いた後、そう答えた。
僕のドクメントの事はきっとニアタに気付かれるとは思っていたし……ニアタにはハロルド達以上に隠し事は通じないだろうから…真実を話した方がいいだろう。それに…僕の身体の事が分かるかも知れないから…。



――――――――――――




――僕はニアタに全てを話した。今まで皆に話していた事と…まだ皆に隠している事。
この世界『ルミナシア』が…そしてその全てが架空の話である事。そして…僕がこの世界に来る原因であろう事故の事も…。



「――…そうか。俄には考えられないが…まさかこの世界も…私ですらも架空の人物とは…」


僕の話の全てを聞き、驚きが隠せない様子でいるニアタ。
それは当然だろう…自分が架空の存在だなんて知ったら。
……でも。


「僕も始めは…此処にある全てが誰かに作られた存在なんだ、とか考えたりしてた。でも…此処で皆と一緒に居て思ったんだ。今、此処で笑ったり、泣いたりしてる皆は…ちゃんと生きて、自分の意志で感情を出してるんだ、って。例えゲームの世界だろうと…僕が元居た世界と同じ、今を生きているんだって」



そう、僕は自分の思いをニアタに告げる。僕の言葉にニアタは少し驚いた様子を見せた後、どこか嬉しそうな様子を見せた。

「そうか。…この事を他の皆は?」

「言ってないよ。知ってるのは今話を聞いたニアタと…僕の中にいるヴォルトだけかな。他の人に言う気は無い。もし、言ったら…多分皆、『自分が誰かに作られた存在』とか、『誰かが描いたシナリオ通りに動いてる』とかで、混乱したりすると思うから」


「…確かに、そうなる確率は高いな。…それで、もう一つの方だが…」


聞いてきたニアタに僕は小さく首を横に振って説明すると、ニアタは納得したように頷いた後、少し間を開けてそう言った。




「…僕の身体の事…だよね。僕にも正直よく分からないんだ。…あの時車に当たった感触も、痛みも確かに感じて、『死』を感じたのに…今此処にいるんだから」


「……これはあくまで私の推測なのだが…恐らく…言いにくいのだが、君は確かに『元の世界』で死んだ、もしくは生きてはいるが肉体が動けない状態になってしまったのだろう。…そして何の原因かは不明だが、君の精神のみが『この世界』に飛ばされ…そしてその精神がドクメントを元に肉体を作ったのだろう。君のドクメントがボロボロなのは、恐らくその時にドクメントの情報をフルに活用した結果だろう」


ニアタの出した言葉に、僕は思わず驚いてしまう。
僕の精神だけがこの世界に来て、それで情報のドクメントを元に体を作ったって……。



「そんな話…本当にあるの?」

「…いや、私も実際そんな事があるなど見たことはない。あくまで、『そうかもしれない』、という推測の話さ。…力になれずにすまない」


「…そう、だよね。ううん、いいよ。今まで僕が隠し続けてた事、ニアタに聞いてもらえた事でスッキリしたし」


僕の言葉に小さく頭を横に振った後、申し訳なさそうに頭を下げるニアタに、僕はそう答える。
…結局分からず終いだけど…ニアタの言っていた『推測』…正直色々と合ってそうな気がする。
でも…それだとどうして僕は『世界樹の木刀』を持っていたんだろう…?



「……衛司。君は…この事も誰にも話すつもりはないのか?」

「…うん。前の話と同じで…皆、僕が死んでるかもしれない人間だ、なんて知ったらきっと混乱するから。今はまだ、黙っておくつもり」


「……カノンノにも、か?」


ニアタの問いに、僕は首を横に振ってそう答えるとニアタは此方に近寄り、真っ直ぐと僕を見てそう、問いかけてきた。


「…正直言うとカノンノには、一番話したいけど話したくないんだ。彼女に隠し事してるって考えると、苦しい気持ちになるけどさっき言ったように混乱するかもしれないから。それに……僕が『死んでるかもしれない』って知ったら…きっと彼女の僕の見方は変わると思うから…」

僕はニアタにそう答えると少し俯く。正直…確かにカノンノには話したいけど…話した時の彼女の反応が怖い。
もしこの事実を話して、彼女が離れてしまったら…。そう考えると彼女に話す気にはなれなかった。


「…そうか。…君がそういうなら、私は何も言わない。ただ…これだけは覚えておくといい。隠し事というものはあくまで『隠す』だけ。いずれは見つかってしまうものだよ。その『隠し事』が大きければ大きい程、いとも簡単に、ね」


「…うん…覚えとく」


ニアタは暫く黙ったまま、僕をジッと見るとそう意味深に告げて来、僕はそう短く答えて頷いた。

いずれ見付かる、か……それでも、話し出せないんだよな。

僕は甲板から見える景色を眺めて、深く溜め息を漏らした。



 
 

 
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