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真剣で清楚に恋しなさい!

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一部 高校一年
風間ファミリー
  8話 ドイツから来た転入生

 
前書き
いい章タイトルが思いつかんかった 

 
  変態橋


「武神の川神百代とその妹、川神一子とお見受けする。我が名は円斎、こちらは我が弟子の香郭。貴殿らに決闘を申しこむ!!」

「分かった、場所はここで今すぐだ。私とワン子は素手でいい。そっちは武器でもなんでも使え。 ワン子、いけるな?」

「もちろん、望むところよ!!」

「行くぞ!!」

円斎と名乗った男とその弟子香郭は槍を持って勢いよく突進するが、

「遅い、川神流 無双正拳突き!!」

「よっ、とっ、そこ!!」

円斎は百代にはワンパンで吹き飛ばされ、香郭も懸命に槍を振るうが、ワン子に軽く避けられ、死角から飛んできた蹴りにダウンしてしまった。

「ありがとうございました。よくやったな、ワン子。川神院には私から電話しておこう。」

「オッス、ありがとうございました!! ありがとう、お姉様」

ワン子は百代にお礼を言うと、ファミリーのいるところに戻っていった。

「お疲れ、ワン子。いい試合だったよ」

「モモ先輩が決闘を申し込めれるのはいつものことだけど、最近はワン子への挑戦者も増えてきたね」

「そうだな、川神百代に一撃当てたほどの実力者がいるって、噂が広まってたしな。誰かあの試合を見た人もいるだろうし、ワン子って特定できたんだろうな」

大和が冷静に分析をする。

「あの試合から、まだ二週間も経ってないのにもう中国にまで広まってるとはな」

「望むところよ、いつでも対戦者wellcomeだわ。」

「ワン子、無理して英語なんて使わなくていいんだぞ。知恵熱になっても知らないからな」

「ちょっ、失礼じゃない? 龍斗はどんだけあたしのこと馬鹿にしてんのよ!」

「修行中、同じ説明を五回もさせた奴が何を言うか」

まさか、修行の説明に半日かかるとはさすがに思ってなかった。結局、体で覚えろってことで落ち着いたから、説明を理解したわけじゃなかったしな。

「うぅ、それを言われると・・・いつか見返してやるわ!」

「そういえばさ、ワン子。最近いつもみたいに修行してないね」

「修行はしてるわよ、方法は違うけどね。今も絶賛修行中よ」

「実は決闘前からずっと修行しっぱなしだよ」

「それってどういうことなの?」

モロは意味がわからないという顔をしている。

「その説明は美少女たるこの私がしよう」

「うわ! 姉さん、急に乗っかんないでくれ!」

モモ先輩が電話をし終えたらしくこっちまでジャンプで来て、大和の上に乗っかった。

「いいだろう? 最近、挑戦者が多くて中々ハイなんだ。姉弟のスキンシップもいつもより過激だぞ?」

そう言って、大和の顔に大迫力の胸を押し付けていく。

「京が朝練でいないから好き放題だねモモ先輩」

「まぁ、モモ先輩に変わって説明するとだな、普段の生活の中でさりげなくモモ先輩が気弾を飛ばして、それを無意識で避ける訓練だ。今も、モモ先輩が大和をいじりながら足に向かって気弾を飛ばしたぞ。ワン子の中に考えない戦闘回路を作る修行なんだ」

「へぇ、凄すぎていまいちピンと来ないけどワン子には合ってそうだね。でも、師範代の修行って川神院がやるんじゃないの?」

「それはな、「今度こそ私が言うぞ」・・・はいはい」

なぜか説明したかったらしく、モモ先輩は会話に無理やり割り込んできた。

「私とじじいとルー師範代で決めたんだ。私たちに見抜けなかった才能を見抜いたのは龍斗だから、意見を求めようってな」

「それで、決めた修行のうちの一つがこれってわけだ。もちろん師範代になるための身体能力強化や技の修行はルー師範代が、精神の修行は鉄心さんが、気のコントロールはモモ先輩が担当してるから、これは+αみたいなもんだな」

「そういえばさ、今日転入生が来る日だよな」

「ああ、お前ら女か男で賭けてたな。キャップは今日の朝まで賭けを受け付けるって飛び出してったし、ガクトは寝坊、京は朝練、ゲンさんはいつもどおり一人で登校か。今日は本当にメンバーが少ないな」

「ゲンさんは相変わらずワン子にしかデレないしな、ワン子達はあれから進展とかしたのか?」

「ふぇ? な、何もないわよ」

ワン子はまだこういう話題に慣れていないらしく、大和の唐突な質問に顔を真っ赤にさせた。

「まぁ、ワン子達だしな。ピュアなんだろ、あんまいじめてやるなよ。そろそろ学校行かないと遅刻だし、とっとと行こうぜ」

「そうだね、遅刻すると梅先生の鞭が飛んでくるし」

一行は少し早足で変態橋をあとにし、川神学園へ急いだ。


   川神学園 F組教室

「それでは転校生を紹介するぞ! 入りたまえ」

「グーテン・モルゲン」

見た目、五十半ばくらいの白人の男性が軍服姿で入ってきた。

ざわ ざわ ざわ ざわ 明らかに変な転校生にクラス中がざわめく

「え? 高一にしては少し老けてない?」

ワンコが素っ頓狂な疑問を口にする。

「いや、突っ込むとこはそこじゃねーだろ。てか、なんでフランクさんがいるんだ? まさか転校生って・・・」

「おお、龍斗くんじゃないか。ひさしぶりだね、元気そうでなによりだ」

「お久しぶりです。フランク中将もお元気そうで」

「何だ黒月、知り合いか?」

「はい、昔ドイツで色々ありまして。それで、フランク中将、クリスは?」

「彼には昔世話になってね。クリスもじきに着くだろう、娘は時間に正確だ」

フランク中将が窓の外を指差した。

「・・・・・・? げっ!? あいつは・・・」

「どうした大和、何が見えたんだ?」

窓側の大和が驚きと気まずさの混じった声を上げ、それにガクトが反応した。

「・・・見たことある女の子が学校に乗り込んできた。・・・馬で」

「なんだそりゃ!?」

「何かあるみたいだな、見たいものは席を立ってみることを許可する」

小島先生の許可が下り、みんないっせいに窓に群がる。


  校庭

「クリスティアーネ・フリードリヒ見参!! 今日からこの寺子屋で世話になる!!」

そう高らかに宣言した女の子は馬に乗り、美しい金髪を風でなびかせていて、美少女といっても差し支えない容姿をしていた。


「うひょー!! やべえ!! 超可愛い!!!」

「超・当たりだ!!!」

ガクトやヨンパチといった男子達が咆哮する。

「あははは!! 馬かよ! 面白ぇな、あいつ」

キャップも別の意味で叫んでいた。

「てか、馬って・・・」

「日本での交通手段だろう?」

「いつの時代ですか、今はそんなもの使ってませんよ」

小笠原が懸命に誤解を解こうとするが、

「だが、あれは・・・」

「うわ、よりによって例外が・・・」


「ふむ、自分の他に馬登校の者はいないのだな。 ん?」

「フハハ、転入生が初日から馬で登校とはやるな!」

「おはようございます☆」

よりによって最悪のタイミングで、九鬼の人力車が来てしまった。普段九鬼英雄は人力車を女王蜂に引かせて登校している。一見遅いように思えるが、そこは九鬼家の従者部隊一位の実力者、人力車の速度はなんと時速80キロを超えるという化物具合だ。

「それは・・・ジンリキシャ」

「うむ、そして我の名は九鬼英雄である。」

「自分の名はクリスという。馬上にてご免」

クリスは凛とした表情で挨拶をかえす。

「我はいずれ世界を統べる者。その栄光の印、とくと目に焼き付けよ!」

九鬼はそう言って金色のスーツの背にある龍を見せつける。

「おお、まるで遠山!」

クリスはいたく感激しているようだ。


「ほう、人力車で登校している者もいるとは。龍斗くんの言っていた通り、さすが侍の国ですな。ハハハ」

フランク中将の一言にみんなの視線が一気に龍斗に集まる。

「龍斗・・・お前・・・」

大和だけ何故か恨みがましいような視線を向けてきた。

「・・・そろそろ、クリスを教室に呼ばなきゃな。俺、呼んできます!!」

龍斗は視線を泳がせながら、教室からダッシュで飛び出した。


「自分はクリスティアーネ・フリードリヒだ。改めてよろしく頼む。」

クリスの凛とした立ち振る舞いに何人かの男子は見惚れていた。

「日本語うまくなったな、クリス」

「ああ、たくさん練習したからな」

クリスは自慢げに龍斗の方を向く。たったそれだけで、龍斗は男子の嫉妬の視線に襲われた。主にガクトとヨンパチの。

「うん、実に大したものだな。これならばコミュニケーションも大丈夫そうだ。誰か質問しがあるものはいるか?」

「はいはい!!」

小島先生の問いかけにガクトが真っ先に手を上げる。

「では、島津。品位を持ってな」

「うっす、え、えーとクリスティアーネ?」

「自分のことはクリスと呼んでくれ」

クリスは相変わらず凛とした声でそう付け足した。

「分かった。クリス、彼氏はいたりすんのか?」

「ばか!! それは!」

ガクトの発言で場の空気が一変した。慌てて龍斗が止めようとしたがもう遅い。

「そんなものいないに決まっているだろう!!!」

フランク中将が怒号とともに銃を抜きかけた。が、

「落ち着いてください、ここは日本です。・・・それに俺の仲間に銃を向けようとするのは許しませんよ?」

龍斗がいつの間にかフランク中将の銃を抑え、恐ろしい程の殺気をぶつけながらニッコリと囁いた。殺気はフランク中将にのみ向けたものなので、気づいたのは近くにいた小島先生くらいだった。

「ああ、すまないな。少々熱くなりすぎた。私はそろそろ帰らせてもらうよ。ああ、そうそう、マルギッテも一週間後に転校する予定だ。・・・娘に悪い虫がつかないようによろしく頼んだよ」

「ははは、分かりました。ってかマルギッテってもう20じゃ・・・まぁ、向こうに27の奴もいるから大丈夫か」

「さて、さっき父様も言っていたが彼氏はいない」

「ほかに、質問はあるか?」

「はい。じゃあ、日本語は誰に教わったんですか?」

小笠原があることを確かめるために質問をする。

「ドラマもあるが、一番はそこにいる、龍斗だ。二年前にドイツで会ってな、色々あってしばらくドイツにいることになり、その時に言葉や文化を教えてもらったんだ。自分は大和丸夢日記にはまってな、それで日本に留学することを決めたんだ。」

クリスは嬉しそうに話す。するとまたしても自然と龍斗に視線が集まり、ついには小島先生にまでため息をつかれたしまった。

「龍斗、どんだけ騙してんのさ・・・」

「コイツがいじりがいありすぎるのが悪いな、人の言うことを全く疑わないからつい楽しくなっちゃって」

モロの呆れてツッコミにもならないつぶやきに龍斗はもはや悪びれもせずにそう返した。

「む? なんだ龍斗、また自分を騙そうとしているのか? そうはいかんぞ、騎士はそう何度も騙されん!」

既に騙されていることにも気づかず、クリスは自信満々のようだ。先程までの凛としていたクリスの評価がどんどん変わっていく。

「そうだなぁ」

龍斗はまるで愛玩動物を見るような目でクリスを見ていた。

「はーい、質問!!」

「川神、発言を許可する」

「オッス! 何か武術をやっているのかしら?」

「フェンシングを幼い頃からずっとやっている」

「YES! 先生、転入生を“歓迎”したいと思います」

ワン子の提案にクラスが意味を悟り、騒然とする。

「ふむ、面白そうだな。いいだろう クリス、そこのポニーテールがお前の実力を見たいそうだ」

「――!! なるほど“歓迎”か」

「川神学園には決闘っていうシステムがあるの。決闘の意思を伝え、ワッペンを相手の前に置く。これに相手がワッペンを重ねたら決闘成立よ」

そう言ってワン子がクリスの前にワッペンを置く。

「いいだろう、受けて立つ!!」

クリスもそれにワッペンを重ねる。

「よし、決闘の成立を認める。両者は校庭にいけ」

小島先生の指示により二人は校庭へと向かっていった。

 
 

 
後書き
今日はここまで 
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