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ゲルググSEED DESTINY

作者:BK201
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第八十三話 踊らされる者

アメノミハシラからアークエンジェルが出撃した後、メサイアから砲撃が放たれたという情報が入ってからロンド・ミナ・サハクは集めれるだけの戦力を集結させて出撃していた。

「しかし、ジャンク屋に与する者であるそなたが戦争に参加しても良いのか?」

「別に戦場での仕事は戦闘だけってわけじゃないぜ。機体の修理、お宝の回収、ジャンク屋の仕事は向こうでもいくらでもあるさ」

行動を共にするのはアメノミハシラに所属している者だけでない。最強の傭兵と名高いサーペントテールや宇宙一のジャンク屋を豪語するロウ・ギュール等もミナの艦隊に同行して行動していた。レッドフレームは大幅な改造を施しレッドフレーム改に、ブルーフレームも見た限りではマイナーチューン程度の様に見えるものであるがジャンク屋とアメノミハシラの技術者、そして劾自身によって改良されブルーフレームセカンドリバイとなっている。

「なるほど……言い訳はいくらでも利くという事か」

「おい、言い訳とかそりゃ聞き捨てならねえぜ!?」

ロウはあくまでもジャンク屋として戦闘に参加する気はないと反論する。ギルドの協定として基本的にジャンク屋は中立の組織である代わりに自衛以外での戦闘行為を認められていないのだから当然の反論である。

「それにしては、自衛だとは思えない位武装が充実しているようにも見えるが?」

「そ、そりゃあ戦場の真っ只中でお宝を回収するとなりゃ自衛手段だって増やさねえとならねえだろ……」

劾が自衛というには強力そうな武器を搭載しているレッドフレーム改の様子を見て追及する。ロウもすかさず自身の意見を主張するがそれが所謂、自衛というよりは挑発行為に近いという事を自覚しているのだろう。反論は尻すぼみになっていく。

「ロウ、言い負かされてるよ――――だから言ったんじゃん。危険だからやめようって」

「ずりぃぞ、キサト!お前だって改造するときはノリノリで賛同してたくせに!?」

そうやって互いに文句を言い合ったりするが別に誰も咎めようとしているわけではない。自分の意思で決めたことだというのであれば、ここにいる面子は口出ししてまで止めようなどという間柄ではないのだ。何よりそうやって止めようとする立場が違う。
小さいながらも国家に近い体系を構築しているミナ、傭兵として戦う事自体が仕事の一種である劾、その二つの立場が一組のジャンク屋に指図できる権利はない。いや、正確にいえばジャンク屋を擁護している立場のミナであれば何かしらの要請をする事が出来るのだろうが、天空の宣言を発言した立場からか無理に止める気はないようである。

「しかし、俺も俺だがあんたが参戦するなんて驚きだぜ?」

「我としても本意ではないがな。あのデュランダル議長の唱えるデスティニープランは天空の宣言からしてみれば許容できかねるものだ。いずれぶつかる事になるのは間違いなかろう。そしてあの要塞から放たれた砲撃――――今動かねば我々は羽を捥がれ地に落ちる蝶のような無力な存在と成り下がる事は間違いあるまい」

結局、今というタイミングを逃してしまえば敗北しかない事を理解したミナは今戦うという選択を選んだという事である。

「ザフトは賛成派と反対派の二つに分かれ、今の好機を逃せば他の勢力に勝ち目もない。それに乗じて我らも介入するというわけだ……どこまで予測されているかは判らぬがな」

ミナにとって最も不安に思っていることはデュランダル議長がそれをどこまで読んでいるかという事である。此処まで入念に準備を進めてきたあのデュランダル議長が今更他勢力の介入に揺らぐ程度のものなのかと。メサイアからの砲撃がデスティニープランの反対派に放たれた事からわかる様に内部での勢力の分裂すら読み切っていたものだと思われる。

「もし我の予想が正しいのならば、この戦い――――既に終幕までのシナリオが完成しているやもしれん……」

(デュランダル議長はこちらがこのように動くことも予測済みだとして、その為の対策も既に打っているのだとすれば――――)

複数の仮説を思い浮かべ、その中でも一つの可能性が脳裏に引っ掛かる。それはもし当たっていた場合、今の状態は危険すぎる。そう思い至り警戒を促そうと艦橋へとつなごうとしたが、一足遅かった。

『サハク様!三番艦が爆発を!?近くにいた四番艦も被害を受けており――――』

「「「ミラージュコロイド(か)!」」」

報告を聞いた三者が同時に答えに至って叫ぶ。艦隊が居並んで進軍する警戒網をこうも容易く突破して、中枢の艦の一隻を相手に悟らせず不意打ちで撃沈させるなど他に可能性としては殆どない。

「俺はレッドフレームで出るぜ!行くぞ(ハチ)!!」

《合点承知!!》

いち早く動いたのはノーマルスーツも着ることなくそのまま私服で機体に飛び乗っていった恐れ知らずのジャンク屋ロウである。

「我も出よう。相手がミラージュコロイドだというのであれば同じ舞台に立つ者として我が相手をするべきであろう」

「艦隊の護衛も任務内容の範囲内だ。俺も出撃させてもらう」

それに続く様にアメノミハシラの最高指導者であるミナとサーペントテールの劾が自分たちの機体に乗り込んで出撃準備を整えた。

『悪いがこっから先は通行止めでな――――通りたいんだったら宇宙の藻屑になってから通るんだな』

ミラージュコロイドでの奇襲をかけてきた部隊。それは連合のファントムペインを裏切り議長に与したダナ・フィリップを中心とした奇襲部隊であった。議長が用意したであろうザフトの部隊もどうやらミラージュコロイドを装備したザクタイプとゲルググタイプの二種類の機体である。
突然の攻撃によって落とされた艦の数はロウが戦域にMSで出撃して見る限り思っていたよりも少ない。
所構わず艦隊を蹴散らすように攻撃を仕掛けてきたのかと思いきや、一回目の攻撃で大規模に動くのではなく、小規模の攻撃を仕掛けることで奇襲のうまみを無くさず、継続してミラージュコロイドを使ってくる気のようだ。

「へッ、だがお生憎様……(ハチ)!」

《おうよ!》

ロウが(ハチ)に命令してセンサーを起動させる。彼の乗るレッドフレーム改はこれまでの技術の集約であり、センサー類もそれに対応したものである。無論、ロウ自身には使いこなせない武装が多数存在しているが、そのあたりは疑似人格コンピューターである(ハチ)を使う事で補う。
ここで突然だが、ロウが関わった機体の一つにアウトフレームDと呼ばれる機体が存在する。現在はジェス・リブルと呼ばれる人物の愛機であり、彼の機体はミラージュコロイドで隠れた相手すらも見通すカメラをもった機体だ。無論、それはアウトフレームDのカメラやジェスの観察眼があってこそ成立するものだが、一時期そのジェスと行動を共にし、サポートしていた(ハチ)にとってはタクティカルアームズIILに搭載されているセンサーも合わさり、ミラージュコロイドで隠れた敵のある程度の位置を探る事なら可能であった。

《居たぞ、右上だ!》

「それだけわかりゃあ十分よォ!」

隊長機と思わしき機体であるネロブリッツの影のいる場所を(ハチ)が発見する。そしてロウは位置がわかったというのであれば十分だとばかりにタクティカルアームズIILをアローフォームに変更して構える。

「いっけぇ――――!!」

『何!?場所がばれてるだと!――――――――なんてな、その位予想してたぜ』

アローフォームで発射された自在な軌道が可能なビームがミラージュコロイドで身を隠していた機体を貫いた。しかし、それと同時にレッドフレーム改の後ろから突如現れたネロブリッツのアームが捕らえようと伸びる。

「な!?(ハチ)!どういうことだ!」

《ダミーだ!》

後ろから伸びてきたネロブリッツの巨大アームをタクティカルアームズIILのソードフォームで受け止める。機体ごと挟み込もうとしたネロブリッツのアームはギリギリの所で大剣に防がれてしまった。

『残念、お前さんが撃ち抜いたのはただの偽者(バルーン)だっていうことだ。コロイド粒子さえつけときゃあ偽者(バルーン)でも消えるからな。流石に消えてる機体でどれが本物かまでは区別つかねえだろ?』

レッドフレーム改がアローフォームで撃ち抜いたのはネロブリッツの武装の一つであるダミーバルーンをミラージュコロイドで見えなくしていたものだという。鍔迫り合いの様に互いに押し合いながらロウは尋ねる。

「何で、そんな事を……ダミーバルーンなんて、見えてなんぼのもんだろうにッ……!?」

『だが、テメエはそれに騙された。一見万能な兵器でも所詮は人間の道具だ。完璧な代物じゃねえ。ミラージュコロイドを知ってるやつならこうやって見つけることも可能だろ?俺はミラージュコロイドをよく使うから同様に弱点も理解してんだよ――――んじゃあ、長引かせる気もないしこれで終わりだ』

つまりはこういったロウのような存在に対するセンサーへの対策だという。そして無駄話は終わりだといった風に空いている右腕のアームでロウのレッドフレーム改のコックピットごと潰そうとする。

『そうはさせん』

横合いから放たれるガトリング砲の連射。喰らった所で大したダメージにはならないだろうと思うが戦闘はこの一戦だけではない事を理解しているダナはすぐに距離を取って攻撃を躱す。

『なるほど、一つの道具をよく使う人間はその道具の理解も深い。同意しよう――――そして、それは我も同様であるという事を理解するがよい』

逃げた先でミラージュコロイドを展開してもう一度隠れようとしたその瞬間を狙って、後ろからツムハノタチでネロブリッツの背面部を切り裂こうとしてゴールドフレーム天ミナが現れる。ミラージュコロイドを使用している兵器であればその弱点の一つに使用するタイミングでの無防備さもあげられるとミナは思っている。
起動時の際、どうしても痕跡を残さないようにする為に慣性に頼った動きになりがちな為だ。動く方角と速度が分かってしまえば狙いを定めることは決して難しくはない。

『チッ!』

だが、ダナは舌打ちしつつも使っていないもう一方の大型のアームを利用してAMBACによる回避を行う。結果、ギリギリではあったがツムハノタチを躱した。リーチが短いツムハノタチは捉えることが出来ず、追撃を六連ランチャーについたクローで迎撃してそのままミラージュコロイドによって逃れた。

『そぉら、死にな!』

『スニップ、貴様何を!?』

スラスターではなくアームなどを使って距離を取ったダナは再びセンサーによって位置を探ろうとしたロウが最も厄介だと判断してレッドフレーム改に狙いを定める。ネロブリッツ同様にミラージュコロイドで隠れていた味方であるはずのゲルググを掴んで投げつけたのだ。

「ヤロウッ!味方を盾に!?」

ガーベラ・ストレートとタイガー・ピアスを抜いて向かってきたゲルググを止めるように斬りつけたが、それと同時にネロブリッツは味方機ごと巻き込む気で六連ランチャーを放った。

《避けろ、誘爆するぞ!》

『掴まれ!』

六連ランチャーの攻撃とそれに命中して誘爆を起こすであろうゲルググを前に(ハチ)が警告する。それを助けるためにミナのゴールドフレームがマガノシラホコを射出し、レッドフレーム改はそのワイヤー部を掴み引っ張られる。ロウと(ハチ)は何とか間一髪の所で爆発から逃れた。

「悪い、助かったぜ……」

『気にするでない。此処でそちに死なれては我としても色々と困るのでな』

とりあえず難を逃れたとはいえ予想外の苦戦にロウ達は苦い顔をしつつ、状況を好転させるための要素を探そうとする。

「しっかし、こりゃやばいんじゃね……?偽者と本物の区別がつかねえんじゃ話にならねえぞ」

『ならこうするまでだ』

そう言って動いたのはサーペントテールの叢雲劾である。タクティカルアームズIIに装備されているガトリングフォームで周囲に弾雨を降らせた。一発の威力が低い弾丸であっても広範囲にばら撒けばダミーバルーン程度ならあっさりと破壊できる。

(やべえな……流石に厄介だ。良くも悪くも有名な奴らがそろってるだけの事はあるぜ……こうもあっさりと対策を練ってくるなんてよ。時間を稼ぐにはまだ足りねえだろうし――――)

ダナは自分の置かれている立場がそれほどよくない事を理解する。元々奇襲を仕掛ける時点で色々と不足していることは自覚していたのだがやはり推測と理解では感じ方は違うものだ。

『ま、元々デュランダルの奴を利用するつもりだったんだし……こんなもんでも問題ないかね?』

口元に歪んだ笑みを見せながらそう考えなおす。ダナにとっては所詮この任務もデュランダルを利用するための一つに過ぎない。自身が楽しむことの出来る戦場を大量に生み出すために、ここで自分たちが奮闘することで議長に勝利されてデスティニープランを実行されては困るのだ。その為に適度な所でデュランダル議長にはご退場願わねばならない。

(その際には俺が直接ネロブリッツで潰す気だったが……予定変更だ。こいつらに頑張ってもらおうじゃない)

彼らに勝たれても困るが、かと言ってあっさりと負けてもらっても困る。理想は痛み分け――――最悪特攻でもしてもらって議長だけでも仕留めてもらいたい所だが流石にそれは都合の良い考えだ。ならば議長を殺せる機会を逃さないようにする為に色々と画策する必要があるだろう。

『さて、そうと決まればこいつらと心中する気もねえし、早い所逃げるとしますかね?』

一応は味方であるゲルググが敵を近づけないようにアームドバスターで実弾砲を放つが、ゴールドフレームはそれらの攻撃を躱して懐に入り込み、トツカノツルギによって撃破する。
ブルーフレームの方もタクティカルアームズIIによって強行偵察型ジンに似たザクを切り裂いていた。その様子を見ながらダナは自分の願望を叶えるために、それらの味方の撃破されていく状況を無視して勝手に撤退するのであった。
 
 

 
後書き
タイトルは信号機かにすべきか迷った(笑)
ダナは味方を盾にするどころか見捨てて敵前逃ぼ……いや、戦略的撤退をしました。まさに外道です。

真ガンダム無双買いました。アニメーションは良かったよ……やっぱりシン途中で主役降板したけど……(涙)
デスティニー、オフィシャルのストーリーで一回位使わせてよ……まあ、今回宇宙世紀シリーズで間にいるはずのはぶられたZZよりはマシなのかもしれないけどさ……。 
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