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ソードアート・オンライン 〜歪んだ時空とデスゲーム〜

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SAO再始動

 
前書き
キリトが茅場晶彦を看破し、ゲームクリアかと思われたが、ゲームシステムが新たなゲームマスターとなり、ゲーム再始動を宣言。
今、再びデスゲームが始まる!

この物語は、そんなifな物語である。 

 



『ソードアート・オンライン、再始動』




多くのプレイヤー達を巻き込み、デスゲームと化したSAO。

最強ソロプレイヤー、もとい《黒の剣士》キリトがヒースクリフを撃破した。
これによりSAOはゲームクリアとなり、浮遊城アインクラッドが崩壊を開始した。
キリトは、ヒースクリフとアスナと共に、夕焼けの中滅びゆくアインクラッドを眺めていた。

やがてヒースクリフが消滅し、キリトとアスナの2人きりになった時、滅びゆくアインクラッドに異変が起こった。

滅びゆくアインクラッドが、逆再生したように修復されてゆく。

そして、完全に修復した時。
アスナとキリトが闇に呑まれた。
何も無い空間から黒い闇が生まれ、2人を呑み込んだのだ。
「アスナァッ!!」
「キリト君!!」
互いに手を伸ばし、相手の名前を呼び合う2人。
だが闇は、非情に2人を引き離し、修復した浮遊城アインクラッドへ連れ去った。



***



キリトは暗黒の世界の中で目を覚ました。
周囲が黒い。だが不思議と見える。
”暗い”のではなく”黒い”のだ。
周りには見覚えのある顔が山程いた。全員SAOプレイヤーだ。
周囲のプレイヤー達はざわついている。ここはどこなのか、SAOはクリアしていなかったのか、茅場晶彦はどこだ 等、疑問は尽きない。
無限に広がる暗黒の世界。
「アスナッ!」
キリトは我に返ったように妻の名を呼んだ。だがキリトの声は周囲のざわめきに掻き消された。
キリトは人混みをかきわけ、かきわけ妻の名を呼ぶ。
「アスナッ!アスナッ!いるなら返事しろぉッ!」
当然、返事はない。
「くそッ!一体どうなってんだ!?」
キリトが180°周囲を見回した。
キリトが首を傾げ、再び動き出そうとしたその時……


『現在、この広場には6000人のプレイヤーが集められている』


暗黒の空から声が聞こえた。少し緊張感の無い、どこかに笑いを含んだ男の声だ。謎の声に、周囲が静まり返る。


『プレイヤー諸君、君達は、茅場晶彦のSAOをクリアした』


不思議な声だった。周囲のプレイヤー達にも聞こえているようだったが、不思議な声の音源が全く分からない。
だがキリトは冷静に、
「お前はだれだ!?」
と、やや大きめの声で呼びかけた。
すると……
『おっと、自己紹介が遅れたね。僕の名前は《ソードアート・オンラインver11.7》だよ』
「我々をバカにしているのか!!」
プレイヤーの1人がそう言うと、周囲のプレイヤー達も口々に喚き始めた。
が、SAOver11.7を名乗る謎の声は、さっきまでとは違う口調で、
『黙れ』
と一言。
『大体、ゲームの中に囚われたプレイヤーの君達には、何の発言権もないんだよ』
「なにィ!?大体、ここはまだゲームの中なのか?」
プレイヤーの1人が言った。
『そう言ってるじゃないか。言っておくけど、君達はまだ本当の意味でSAOはクリアしていない』
「どういうことだ!ちゃんと説明しやがれィ!!」
クラインの声が遠くから聞こえた。
『分かった分かった。哀れなプレイヤー諸君に1から10まで、説明してあげよう』
キリトは、謎の声にただ耳を傾けていた。
謎の声は、1つコホンと咳払いした後、長い説明を始めた。
『今の僕は、もはや自我を持った機械。僕はSAOのゲームシステムそのものなんだ。
茅場晶彦に作られ、デスゲームになっていた。今まで僕は君達の闘いを見てきたけど、どれも素晴らしいモノだったね。
では僕が何故、自我を持つようになったのか、説明しよう。
僕が自我を持つようになった全ての原因は、』
突然、スポットライトのような光が頭上から差し、キリト1人を照らした。
『彼、黒の剣士キリトくんだ!』
「お、おれ?」
キリトが自分を指差し首を傾げる。
『ではキリトくんに質問だ。君はヒースクリフがラスボスだと知って勝てる気はしたかい?』
「うーん、どうだろうな。どちらかといえば、勝てない気がした」
『うん、だろうね。何故なら、彼のステータスとスキルから計算して、君はまだヒースクリフには勝てないはずだった。なんで勝てたと思う?』
「分からない。でもアスナが倒れて、もう帰ってこないと思ったら、どこからか力が湧いてきたんだ」
『そうだろうね。ではナーヴギアの話をしよう。キリトくん、君は初めてフルダイブした時、何を感じた?』
そう聞かれて、キリトは少し悩み、
「ゲーム内のアバターと感覚がリンクしている所に驚いた」
『50点』
「…………」
沈黙するキリト。
『君の今の答えは50点だ。100点満点中』
「どういうことだ?」
『ナーヴギアの素晴らしい点は、アバターとプレイヤーの感覚リンクが出来る点ではない…………。最も優れている点とは……』


『曖昧ながら、ゲーム内で涙や表情として感情表現が可能な点だ』


「なるほど……」
やや納得するキリト。
だが、プレイヤーの1人が
「曖昧ながら、とは何だ?」
と聞いた。
『君達は、涙を流したことはないか?その時、君達は思わなかったか?”何故、多量の涙が流れるのか”』
キリトには何度かその経験がある。その度に、異様なまでの涙の量に驚かされる。
『ナーヴギアは、人の感情を細かに読み取り、表現することができない。さらに、読み取りには限界がある』
細かに読み取ることができないから、”曖昧ながら”なのだ。
『だがそれは、ヒースクリフにとっては失敗だったが、君達プレイヤーにとっては、嬉しい誤算だった』
「何が言いたいんだ?」
『ナーヴギアが感情を上手く読み取れないということは、SAOに出力する時にも誤差が生じるということなんだ』

『つまり君がヒースクリフを倒した時、君の悲しみが、ナーヴギアの許容量をオーバーしたため、君の悲しみは涙や表情ではなく”力”としてSAOに出力されたんだ』
「つまりお前は、ナーヴギアが不完全だから、俺がヒースクリフを倒せたと言いたいのか?」
『そうだよ』
「だが、お前が自我を持った原因とは関係ないだろう」
『ある。大有りだよ。元々、
”ゲームシステム内で出来ない事は出来ない”
というのがSAOの掟だったんだ。でも君は、あろうことかゲームシステムの掟を覆し、ゲームマスターでもないのにオーバーアシストをした。HP0にも関わらずヒースクリフの胸元に剣を突き刺したんだから。そんな光景を見せつけられた僕は、君の力を”限界を超える人間の力”として認識した。人間の力を知った。その力に魅せられたんだ。だから、今度はその力を取り入れたいんだ。
SAOゲームシステムは、謎多きナーヴギアの機能を駆使し、君達の住む現実世界とアインクラッドを統合する計画をつくったんだ。
計画の成就には、準備期間が2年ほど必要なんだ』
「現実世界とアインクラッドを統合……?」
『つ・ま・り、現実世界を地獄絵図にする予定だから、それまでにもう一度SAOをクリアしてねってことだよ』
「あのデスゲームがもう一度始まるのか……」
キリトが呟く。
「待て!SAOゲームシステム!この真っ暗な画面の中、俺達はどう攻略すればいいんだ?」
『おっと、ゴメンゴメン。君達の目には見えないか。低スペックな君達の目には背景が真っ黒に見えているんだね。じゃあ背景を低スペックでも見えるように設定するよ』
やたらと”低スペック”を連発するゲームシステムに、少しムッとするキリト。
「お……何だ?」
背景が、焦げたような音をたてながら彩られていく。

見覚えのない街の広場だった。キリトの目の前に噴水がある。噴水の真上に人が浮いている。SAOゲームシステムだ。
『僕の姿はもう見えているかな?』
「見えてるぜ」
『これが僕の、SAOでの姿(アバター)だよ』
ゲームシステムは、白髪で髪が長めで、ヒョロヒョロでひ弱な男に見える。そして真っ白なシャツと青いジーパンを装備している。武器のような物は一切見えない。
『では、今回のアップデートによる変更点を簡単に説明するよ。
1つ、アンチクリミナルコード有効圏内は無いよ。2つ、ゲームは76層からスタートし、75層以前のエリアは消滅するよ。3つ、犯罪を犯してもプレイヤーはカーソルがオレンジにならない。4つ、全てのオブジェクトは破壊可能オブジェクトになる』
「犯罪者を支援する気か……」
キリトが奥歯を噛み締める。
『ん〜、現実世界には”圏内”なんて無いし、オレンジカーソルも破壊不能オブジェクトも無いだろ?それと同じだよ』
「…………」
『まぁ他にも色々な変更点があるんだけど、それについてはメニューのヘルプに載せてあるからしっかり見ておいてね』
「…………」
広場に静寂が訪れる……。

『じゃあ、頑張ってクリアしてね』
SAOゲームシステムはそう言うと、青白い光に包まれ、ふっと消えた。


 
 

 
後書き
駄文 及び 拙い文章で、申し訳ありません。

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