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YOU ARE A REPLICANT

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第二章


第二章

 とにかく俺達はあいつを殺すことにした。そしてそのうえであいつに成りすます。そうして証拠も何もかも消して疑われないことにした。
 その際だ。俺達はもう一つトリックを仕掛けた。
 俺を行方不明ということにした。恋人がそれを出してくれた。
 俺達の国のアメリカは年間百万人も行方不明になっている。旅行先で行方知れずになった。そういうことにした。
 この辺りは思ったよりも簡単に話が進んだ。とにかく行方不明者が多い国だ。しかもこれであいつは油断した。俺が怨んでいることは向こうもわかっていたからだ。
 それで仕組んでだった。俺達はあいつの立派な家に忍び込みあいつが帰ったところで。後ろから羽交い絞めにしてクロロフォルムをかがせた。
 それから首を締めて殺して死体も殺しに使ったロープも硫酸で溶かした。骨がまだ残っていたがそれは粉々に砕いてだ。あちこちにばら撒く様にして捨てた。
 それで証拠を完全に消した。そして俺は完全に成りすました。
 恋人もだ。行方不明ということになってだ。顔を変えた。自分の顔も整形したのだ。
 それからだ。俺達は結婚してだ。成りすましをはじめた。
 あいつの家に住んでだ。笑いながら話した。
「上手くいったな」
「そうね」
 笑顔でだ。俺達は話し合った。
 ただしだ。ここで問題があった。
「あいつ、詐欺師だったけれどね」
「それはどうするんだ?」
「幸いどの悪事も有罪にはなってないわ」
 そこまで周到な奴だった。苦々しいまでに。
「あの弁護士もいたしね」
「そうだよな。けれどな」
「私達詐欺については知らないじゃない」
 知らないから騙された。俺も恋人、今は女房になっているこの女もだ。
「だから。詐欺師になるのはね」
「止めた方がいいよな」
「ええ、そう思うわ」
 俺達はこう話していった。
「それはね」
「そうだな。じゃあ仕事は」
「医者でいいじゃない」
 女房の提案はこれだった。
「私もね。整形医でいくから」
「そうだよな。俺達は医者だしな」
「それでいいじゃない。それじゃあね」
「ああ、そうするか」
「医師免許についてもどうでもなるわ」
「あいつ医者だったっか?」
「偽造するのよ」
 それだった。それで誤魔化すというのだ。
「それでね」
「医者として再出発か」
「そうしない?」
 女房は俺に判断を問うてきた。
「私達それで」
「そうするか?」
 俺もだ。それに傾いた。
「俺達やっぱり医者だしな」
「だからね。それで生きていきましょう」
「そうだな。それじゃあな」
 こうだ。気軽に答えた。しかしだった。
 すぐにだ。あいつの顧問弁護士だった奴が来てだ。俺達にこう言ってきた。
「今度の話はな」
 見るからに胡散臭い奴だった。裁判の時に見た奴だが悪事をするのはこういう奴なんだろうとすぐに思わせる、そうした顔の奴だ。
 そいつが来てだ。俺達に話してきた。
「年寄りから巻き上げような」
「年寄りから?」
「ああ、年寄りの金を持ってる奴からな」
「どうやってだよ」
 俺は何気なく尋ねた。何となく興味を持ってた。あいつがどんな悪事をしていたのか気になってだ。それで弁護士に尋ねた・
「巻き上げるんだよ」
「ああ。ダイアを買わせてな」
「ダイアか」
「南アフリカから採掘して特別に作ったダイアな」
 ダイアといえば南アフリカってわけだ。そこからだった。
「それを買わせるだよ」
「本当に南アフリカの奴か?」
「ははは、そんな筈ないだろ」
 弁護士は悪党そのものの笑みでそれは否定した。
 
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