| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

幽霊少女は生き返らない

作者:蝶々蛾々
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

幽霊少女、萍水相逢。

 
前書き
萍水相逢(へいすいそうほう)とは、「人と人とが偶然知り合いになること」だそうです。
全然分かりませんよね。え?私がバカなだけ?…返す言葉もございません。はい。

ともあれ、今回は、偶然の出会いからちょっとだけお話が動きます。
人と人じゃないけど、動く予定です。本当に動くかは書いてみないと分かりませんが。

出会いなんて常に偶然だと思いますけどね。
それは私が出会いを求めないからです。全部偶然になるのは当たり前です。 

 
私は幽霊です。以前は生きていましたが、死んで幽霊になりました。

ところで、私には生前の記憶がありません。
なぜ死んだのか、どうやって死んだのか、家族はいるのか、名前はなんだったのか…。
それらすべての記憶が抜け落ちているのです。

私は私の幽霊化は認めましたが、理由も分からないのでは納得できませんでした。
なので、私はもろもろの理由を探すついでに、どうにかして生き返ろうと画策し始めました。

まず、私は私自身のことについてあまりにも無知だったので、ちょこっとお寺を覗いてみる
ことにしました。
そこには霊が見えるというお坊さんがいらっしゃいました。
その方が私に話しかけてきたときは、私が幽霊になってしまったと気付いた時と同じくらい
驚きました。今まで、ヒトに認識されたことは一度もなかったので。

そこで、私は私が正式に「幽霊」という種族になったことが分かりました。
ですが、なぜそうなったのか、元はどういう人間だったのか、というのは、強いロックが
掛けられていて分からなかったそうです。
つまり、私は生前のことを忘れたかったのではないか、と言われましたが、覚えていないので
そう言われても実感はありませんでした。

物はついでです、と、生き返る方法があるかも尋ねてみましたが、そちらもあまり(かんば)しくは
ありませんでした。
幽霊が生き返るなんてどの物語でも禁忌ですし、そもそも私の遺体が焼却されてしまっていたら、
生き返っても魂だけの状態になります。
魂だけで長くを過ごすことはできないそうなので、時間が経つと消えてしまうとか。

私はいきなり行き詰ってしまい、途方に暮れました。
そんな私を気遣ってか、お坊さんは私にお寺に滞在する許可をくれました。

そうして、一週間が経ったときの事でした。
私は、彼に出会いました。

私は境内を歩いて…失礼、浮遊していました。ふわふわと。
すると、視線のようなものを感じました。

幽霊である私を認識できる存在はそう多くはないので、気になりました。
私、幽霊を認識できるのはお坊さんのように霊感のあるヒトか、私と同じ幽霊、または…

『あの…貴女は幽霊さん、です?』

彼のような、人ではなく、幽霊でもまたないモノ、妖かしたちだけですから。

彼は、「はらだし」と名乗りました。
「はらだし」とは、古いお寺に住むとされる日本の妖かしで、害はなく、むしろ陽気な性格で
踊りを踊る、見ることが出来れば幸せになれるとすら言われている良い妖かしです。
の、はずなんですが…。

『あの、ボク、はらだしなのに、性格が暗くて…ほかのみんなは明るいのに、ボクだけ…』

この「はらだし」さんは暗い、いえ、少々ネガティブな性格のようでした。

『踊りだって…みんな上手に踊れるのに、ボクだけいっつも転んじゃってたし…』

私はこの時、彼の言葉が過去形であることに気づきました。

『そうなんだ。たいへんだな。ところであたしは幽霊だけど、それは置いといて質問があるんだ』

『やっぱり…そうなんですか…本物は初めて見ま、した…。あの、質問…ですか?』

『うん。どうでもいいけど、あたしも妖かしを見たのは初めてだよ、お互い様だね。
 それで、質問だけど。あんたの言葉はさっき、過去形だった。つまり、あんたの言う「みんな」は
 もういないか、あんたが離れたかのどっちかってことになるけど、そこんとこどうなの?』

あのときの私はかなり直球でしたが、彼は律儀に、怯えながら離してくれました。 
 

 
後書き
ちょい長かったので、いったん切りました。
本当はこのエピは一話で書き切りたかったんですが…。
私に「文を短縮する」という能力がなく…あああぁぁぁあぁああぁっぁ……

はい。とうわけで、偶然の出会いは果たしたものの、話はあんま動きませんでした!(結論

次回に期待☆ 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧