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魔法少女リリカルなのは ~黒影の死神~

作者:白鳥才牙
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『第四話』

 拓斗side

時刻は午後3時ごろ。俺は今、喫茶店「翠屋」へ向かっている。以前高町父と交わしたお礼をしてもらいに行くためにだ
あまり長い間会わなくて忘れられていたら損した気分になるからな
まぁ、忘れられてたらちゃんと払うつもりだが

あの出来事から三カ月たった。あの二人とはあれから一切会ってはいない








というより、意図的に会わないようにしていた
高町父は良いが、高町はある<約束>があるため会うわけにはいかない
今日も、もし会っても気づかれない様に変装として黒い帽子を深く被っている

……それだけ?とか、もう少し変装考えろや、そもそも変装とは言えないだろなどの意見は聞かない
これだってかなり思考錯誤した結果だ、もともと持っている服が少ないのも原因の一つだが…
というより誰に向かって話しているんだ俺は?

[(お~い。何処まで行くんだ、もう通り過ぎてんぞ~)]
「あ、マジだ(ありがと、ソウル)」
[(どういたしまして)]

どうやらいつのまにか通り過ぎてしまっていたようだ。念話でソウルに礼を言い、引き戻して翠屋に入る


「いらっしゃいませ」

入って迎えてくれたのは眼鏡をかけた女性の店員だった
中学生か、幼さも窺えるが美人だ。少なくともいままで会ってきた女性の中ではトップクラス、五本指に入るだろう
店員は俺の姿を見るとしゃがんで目線をあわし、優しい笑みで話しかけてきた

「どうしたの?一人で来たのかな?」
「はい、一人で来ました」
「じゃあカウンターでいいかな?」
「はい、かまいません」
「それでは、こちらへどうぞ」

少しのやりとりをした後、店員は立ち上がりカウンターへ案内してくれる

「じゃあ、注文が決まったら店員に声をかけてね」
「わかりました」

そう答えると、店員はにっこりと笑って厨房へ戻っていった

「(綺麗だな~あの店員)」
[(なんだよ拓斗、惚れたか?)]
「(ば~か、んなわけあるかよ)」
[(だってお前さ、『綺麗だな~』なんて滅多にないじゃん。いつぶりだよ聞くの)]
「(だからって惚れたことにはならないだろ)」
[(でもな~)]

ソウルのからかいにで反論していると一人の男性の店員―――高町父が来た

「やぁ、いらっしゃい。注文は決まったかな?」
「すみません、まだです」
「いや、いいんだよ。じっくり考えてくれて」

注文が決まってないことを謝るが笑顔で許してくれた。しかし―――


(これは……忘れてるのか………?)

三か月しか経ってないとしても会ったのは一回のみ、しかも約1時間程しか会っていないし話したのはさらに短い
俺を忘れていたとしてもなんらおかしいことはない

(損したな……もう少し早く来ればよかったな)

そう思いながら帽子を取り、一度前髪をかき上げ、元に戻す
そのときに高町父は俺に―――










「君は………死神なのか……?」









―――と尋ねた






 士郎side

あれから……死神と名乗る少年に助けられて3ヶ月が経った
あの翌日、医師たちは私の状態をみてとても驚いていた
医師が言うには生きているのがおかしいような怪我で、いくら経っても怪我はまったく治らずずっと同じ状態だったらしい
それが昨日まで変わらなかったのにも関わらず、翌日にはほとんどが治っていたのだ。これは誰だって驚くだろう
このとき私は昨夜の出来事は真実だったのかと思った
あの時見た時刻からして医師か看護士以外に来ることは普通ない。彼はあの時窓から出ていったので来る時も窓から入ったのだろうと結論付けた

その日のうちに私は一般病棟に移り家族とも再会した
皆泣いていたのは三カ月経った今でもハッキリと覚えている
その時私はもう二度と家族を悲しませないと誓い心に刻んだ

退院してからは今までの仕事を辞め、家の喫茶店をやっている
料理とデザートは桃子がするから私に出来ることはコーヒーや紅茶を淹れる事くらいだが、気に入ってくれる人が多くいるので大丈夫だろう
そんなある日、美由紀にカウンターに客が入ったと聞きカウンターに向かうと










黒い帽子を深く被った男の子がいた










ドクン









心臓が強く鳴った気がした
(似ている……)

そう、似ているのだ。顔はよくわからないが、雰囲気が良く似ていた
だが雰囲気だけだ。それ以外は確かめないとわからない

「やぁ、いらっしゃい。注文は決まったかな?」

現在出来る限り自然な笑顔で話しかける

「すみません、まだです」





―――あの子が泣いていたから―――





ドクン





再び心臓が強く鳴った気がした




声も似ていたのだ

「いや、いいんだよ。じっくり考えてくれて」

この時にそう答えた自分はいままでで一番の演技力を出したのではないかと思う
雰囲気や声だけ似ている事もあるかもしれない
まだこの男の子が死神だと決まったわけじゃない
彼が最初振り返った時に見えた漆黒に染まった瞳
黒ではなく漆黒、黒眼はそこらじゅうにいるが漆黒の眼をしている人はそうそういない、それが解れば……






その時、男の子が帽子を取り、髪をかきあげた時に











―――漆黒の瞳が見えた―――









ドクンッ!









三度、そして一番強く胸が鳴った

間違いない

「君は………死神なのか……?」






思わず口から出た一言に






「………久しぶりですね……お元気そうでよかったです」






彼は―――『死神』月詠拓斗は笑ってそう答えた

 
 

 
後書き
第四話載せました
うまく書けているでしょうか?
これからも頑張りますので読んでいただけたら幸いです





感想・アドバイス、どうかお願いします<(_ _)> 
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