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lineage もうひとつの物語

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ギラン
  休息

商業都市ギラン
アデン王国の中心に位置し経済の中心でもある。
様々な商店が建ち並びここでしか入手できないものも多数あり冒険者の活動拠点となっていることが多い。
実際に民家の半数は冒険者が所有するものだ。
冒険者同士の取引も盛んに行われ中央広場では露店が並ぶ。
そして他とは違いここの掲示板は取引情報が占めている。
交流が盛んに行われているにも関わらずパーティー勧誘が皆無なことから見ても商業目的な都市だとわかるだろう。

「うわぁ凄い・・・・」

そのギランの門を抜け街並みをみて感嘆の言葉を吐き出しているのはナターシャ。
彼女にとってここまでの人混みは初めてのことであり商店に並べられる全ての物に興味を惹き付けられるようだ。
そんなナターシャは賑わいをみせる大通りを抜け中央広場に向かうも迷子にならないか心配な面々を他所に、商人に呼び止められるまま商品の説明を素直に聞いてしまう。
最後尾を任されるキャスタとしては心労が絶えず疲れきった様子だ。
商人からすれば護衛を連れた良家のお嬢様といった印象で呼び止めたくなるのもわからないことではないが。

「ナターシャ、後で見る時間はありますので先に宿へ向かいましょう」

ハスランは諌めるが心ここにあらずといった状態で次から次へと足を止めてしまう。
過去のことを思えば仕方ないという思いもあるメンバーは強く言うこともできず見守るしかない。

そして宿へ着いたのは夕方になってからでメンバーはくたくたに疲れはてていた。

「疲れた・・・」

男性二人にあてがわれた部屋のベッドに横になり呟くのはナイル。

「まぁそう言うな。ナターシャ様の気持ちもわからんわけではないだろう?」

窓際で弓の手入れをしながらナイルに語るハスラン。

「たしかに、あのお姿を見ると何も言えんよなぁ」

隣の部屋ではしゃぎすぎて疲れたのか転た寝をしているナターシャの姿を思い出し笑みを浮かべる。

「そういえばアレン殿に会ったって?」

「あぁ、オークの森でな」

アレンに会ったとは言ったが詳しくは話していなかったと思い至る。
特別話すようなことでもないが。

「ハスランから見てどうだった?」

「もうヒヨッコとは思えんな。オークの1部隊相手に一人で暴れていたくらいだ。」

「もうそんなにか・・・・」

ナイルはハスランと同じように感じた。
成長が早いと。

「ダークエルフ相手でも余裕があったくらいだ」

ハスランは出会った経緯から詳しく語りそのときの印象を説明した。
ナイルは真剣に聞き将来会うのを楽しみにしていた。
そして明日からの行動へと話は移り

「明日からはナイルとフィオナで探りを入れてくれ。俺はナターシャ様をキャスタと二人でお守りする」

「あぁ、呉々も注意するようにな」

二人の男は頷きあいお互いの役割を確認し会った。



部屋に入るなり寝てしまったナターシャに毛布をかけながら笑みをこぼす。

「ほんとに楽しそうでしたね」

キャスタも疲れが顔に出ているが満足した表情で

「あのようなお姿を拝見できるとは家臣としては嬉しい限りだ」

と答える。
そして鎧を外し剣を置くとキャスタも横になる。
最近は慣れてきたようで堅苦しい佇まいは消えていた。
それに倣ってフィオナも横になり目を閉じる。

「ひとつ聞いてもいいですか?」

不意に問いかけられたキャスタはフィオナに顔を向け聞き返す。

「何か?」

「ナターシャ様のお話によく出てくるアレンさんとは何者ですか?」

キャスタは暫く考え口を開く。

「ナターシャ様の騎士。無償で命を懸けて御守りした男だ」

「へぇ・・・。同行はされていないんですね」

「酷い怪我で療養していたからな。ま、私も会ったことはないけど。いつか会うときがくるさ」

フィオナは王子様のような人物を思い浮かべる。

「素敵ですね。羨ましい」

キャスタは声にこそ出さなかったが微笑みを作り表情で答えた。 
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