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『ポケスペの世界へ』

作者:零戦
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第五話






 私も見に行っていいかと聞いた時のショウさんの表情は面白いですわね。

 あらあら、自己紹介が遅くなりましたわね。

 私はタマムシシティの名家の一人娘にしてジムリーダーのエリカですわ。

 ……何か説明というより自慢になっていますが気にしないで下さい。

 ラジオの収録という事で遥々とジョウトにナツメとやってきました。

 でも、ラジオ塔で中々面白い人とお会いになりました。

 まるでレッドみたいですわ。

 歳が同い年だという事から話しがつい弾んでしまいましたが、ショウさんはジム戦をするらしいので私も見に行きますわ。

 リニアでカントーに帰る時間はまだありますし。




「え?ジムリーダーがおらんやて?」

「そうなの。コガネラジオの特番でアカネちゃんも行っているのよ」

 ジムトレーナーの大人のお姉さんが説明してくる。

「一応、ジムリーダーがいない場合は私達が相手をする事になっているんだけど……」

「ならそうさせてもらうわ」

 俺達はバトルを始めた。




「ハッハッハ。レギュラーバッジはゲットや な」

「そうですわね」

 俺とエリカはコガネジムを出る。

「でも、少しズルではありませんでしたか?ノーマルタイプにゴーストタイプを出すなんて……」

「そう言われてもなぁ。バトルに卑怯やズルはないけどな」

 俺は終始、バトルではゲンガーを出してい た。

 エリカはそれが気にくわんみたいやな。

「バッジを守っているなら苦手なタイプでも勝たへんとな」

「……そうですわね……」

 エリカが少し落ち込んでいる表情をする。

「ちょっち着いてこいや」

「え?」

 俺はエリカの手を取ってコガネ百貨店に向 かった。



「ほら、食えや」

 俺はソフトクリームをエリカに渡す。

「これは………」

「ん?ソフトクリームやで」

「それくらい知っていますわ。何で私 に………」

「落ち込んでるより俺は一生懸命ソフトクリームを食べてる表情が好きやけどな」

 ………ちょっとキザやったな。

「……フフ。そうですわね」

 エリカは苦笑してソフトクリームを食べはじめる。

 お、俺のも溶けそうやな。食べよ。

「ん?あらあら、ショウさん。アイスが頬に付いてますわよ」

「お、スマン」

 エリカが俺の右頬に付いたアイスを取る。

………てか……。

「……エリカもアイスが頬に付いてんで」

「えッ!?」

 エリカが驚く。

「ちょっと待てよ……ほら」

 俺はエリカの左頬に付いたアイスを取って舐める。

「ぁ……………」

「ん?どないしたんや?」

 エリカが顔を真っ赤にしている。

「その……付いてたのを舐めたんで……」

 ………そういやそうやった……今の俺の顔はスゲー真っ赤やろな……。

「わ、悪い………」

「い、いえ………」

 ちょっと気まずい雰囲気になりながらソフトクリームを食べる。

ピリリ、ピリリ。

 その時、ポケギアが鳴った。

「あ、そろそろ時間ですわ」

「そうか。なら駅まで送るわ」

 俺達はコガネ百貨店を出て、リニア駅に向かう。

「ショウさん、僅かな時間でしたが楽しかったです」

「いんや。俺も楽しかったわ」

「タマムシに来た時は是非ジム戦を………」

「俺、フルボッコになりそうやけどな……」

「そうならないように祈ってて下さい」

「祈るんかいッ!!」

「フフ………」

 俺のツッコミにエリカが笑う。

『ヤマブキシティ行きリニア、間もなく発車しまぁす』

 駅員がスピーカーを使って知らせてくる。

「んじゃぁな」

「はい、ではまた……」

 エリカは俺に手を振り、俺もエリカに手を振る。

「あ、そうや。これあげるわ」

 俺はピカチュウのストラップをエリカに渡 す。

「……ありがとうございます」

 エリカが俺に微笑んだ。

 ………スゲー可愛いです。

プシュー。

 リニアはゆっくりと出発した。

 そしてリニアはあっという間に俺の視界から消えた。

「……さて行くか……」

 俺は駅を出た。

「………青春だなぁ……」

 駅員がボソッと呟いた。

 次はエンジュシティやな。






 
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