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古の鉄の巨人を駆る他世界への介入者

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再開

 
前書き
ある、男と女の話をしよう。

二人は、出会った時から仲睦まじかった。

幼年期は笑顔で遊びまわり、

青年期はお互いを意識しあっていた。

だがある時、運命は二人を切り裂いた。

死の運命はまるで、笑い話のようにやってきた、

男は死に、女は泣いた。

女は神を恨んだ、女の家は神に仕える家系だった。

「神よ、何故あの人の命を奪ったのですか!?あの人が何をしたって言うんですか!?」

運が無かった、仕方が無い、事故だった、と余人は語る。

「運が無かったって何?事故って何?仕方が無いって何!?神に仕えない人間は用が無いって言うの!?存在価値さえ無いって言うの!?」

憎悪の炎は天高く、神の城へと届くかの如く。

素晴らしき未来は神によって奪われた、皮肉にも仕える神によって。 

 
「…なんで!?」

一夏が叫びを上げた。驚きと戸惑いの感情を載せて、自分に抱き付いてきている幼女。一夏の記憶にはこのような身長の友人は記憶されていない。だがこの少女には見覚えがあった。だが記憶に残っている少女と全く一致しない、この少女が自分の知っている少女に該当するのならばそれは一人。凰 鈴音、自分の幼馴染だ。

「ひぅ!声が大きいよ~…」
「!?わ、悪かった!びっくりしたんだ!ま、まさか鈴が居るとは思わなくて…」
「えへへ~♪」

一夏は思った。なにこの可愛い生物はと。否定はしない、確かに背の小ささと今の天真爛漫な行動が相まってとんでもない破壊力を秘めている。その時、キョウスケが出席簿を片手にブロンデーを何時も通りに肩に乗せて教室へとやってきた。

「何を騒いでいる」
「あっやべ!」

一夏が声を漏らす、こんな姿をキョウスケに見られてはまたブロンデーの電撃を喰らう羽目になるだろうからだ。

「あっキョースケさん、お久しぶりです♪」
「凰か、久しいな。相変わらず小さいな」

キョウスケはそう言いながら少し乱暴に鈴の頭を撫でる。撫でられている鈴は気持ちよさそうにしている、その見た目は父親と娘の姿だろう。キョウスケ自身も義理と神の子を抱える父、子供の扱いに慣れているようだ。

「相変わらずだな本当に。だが間もなくHRを始める、お前も自分のクラスも戻れ、続きは休み時間にでもするのだな」
「わっかりました~♪」
「解れば良い」

鈴が一夏にもう一回抱きついてから一組のドアへと駆けて行った。

「いっちか~♪また後でね~♪」
「あ、ああ」

一夏はぎこちなく手を振り返した。鈴は手を振り替えして貰って満足したのか笑顔を浮かべて廊下へと消えていった。一夏は呆然としていた。凰 鈴音は強気な少女で男勝りな筈だったと記憶していたのに今見た少女はいったいなんだったんだろうか。

「本当に何なんだよ…?」
「おい一夏…早く席に着こうぜ…?先生が出席簿を持って構えてこっち見てる」

勇太が一夏にそう言う、一夏はキョウスケの方を見ると出席簿を構えてこちらを見ている。無意識に身震いがする。一夏と勇太は逃げるように自分の席につく。キョウスケはそれを見ると出席簿を教卓に叩きつけて、ブロンデーを撫でてから授業を始めた。


追伸、本日のブロンデーの10万ボルトの被害者。
    
    織斑 一夏 
    篠ノ之 箒
    セシリア・オルコット
    大神 勇太

「「お前のせいだ!(貴方のせいですわ!)」」
「俺だって被害者なんですがね…」
「あ~…ブロンデーの電撃ってこんなに痛いのかよ…」

昼休み。午前の授業を終えて電撃を喰らった四人、電撃ヒットカルテットはまだ身体がしびれている感覚に襲われながら身体を動かして食堂に向かっていた。ちなみに一夏は箒とセシリアに腕を胸に押し付けられながら歩いている。当人はドキドキしてはいるが自分に好意が向いているとは思っていない。何処までドンファンなのだろうかこの唐変木は。勇太はそんな光景を見ながらニヤニヤしている。この男の心境は、他人の鈍感さで飯が美味いというものだろう。

「まってたよ一夏♪」

ばば~んっと擬音が立つような勢いで登場したのは、鈴だった。が身体的な問題でばば~んという擬音は立たずに可愛らしい音しか立ちそうに無い。

「おっ鈴も飯か?」
「うん♪一緒に食べても良い?」

コテンと可愛らしく首を傾げると箒、セシリアは直にOKサインを出した。本当は出すべきではないと解っている筈なのにOKを出さなければいけないとならないと本能が言っているのだ。勇太も勿論OKサインを出した。

「おいし~♪」
「ああもう鈴、口周りにソース付いてるぞ」
「拭いてよ一夏~♪」
「はいはい」

どう見ても仲の良い兄妹です、本当に有難う御座いました。

「んで一夏、その子との関係は如何ほどに?」

勇太はフォークでエビフライを突き刺しながら一夏に質問する。

「事と次第によっては警察のお世話になって貰う羽目になるぜ」
「っておい!お前の目には俺はどう映ってるんだよ!」
「女誑しでロリコン」
「違うわ!!鈴とは幼馴染で一緒だったんだよ」
「待て一夏!幼馴染は私だろう!!?」

箒はテーブルをバンっと大きな音を立てながら一夏に問いただした。鈴は大きな音にひっ!怯えながら一夏に擦り寄る。一夏は鈴の頭を撫でながらあやす。

「まあ箒が知らないのは当然だな、箒が転校して入れ替わりで鈴が来たんだ。言うなれば箒がファースト幼馴染で、鈴はセカンド幼馴染って感じか」
「ファ、ファースト…そうか、私はファーストか…」

箒はファ-ストという響きが気に入ったのか何度も口ずさんでいる。その引き換えセシリアはむすっとした顔をしている。箒と鈴には幼馴染というアドバンテージがあるのに対して自分には全くアドバンテージが無い、それどころか一夏とのファーストコンタクトは最悪の一言に尽きる。

そんな光景を見ながら勇太は笑いながらエビフライを味わっていた。 
 

 
後書き
昔、ある出会いをしました

おそらくは何秒にも満たなかった光景だったけれど、

されどそれの姿、彼の事はたとえ地獄に落ちても

鮮明に、はっきりと思い出す事が出来る。

待っていて下さい、もう少しで貴方を殺した神を

神の座から引き摺り落として見せます。 
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