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魔法少女リリカルなのは~その者の行く末は…………~

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  volume-1 Nanoha Takamachi

 
前書き



高町なのは。


 

 


これは私が小学校二年生の頃の記憶。私が小学二年生の頃、燐夜君は、小学四年生で、家の中では評価が――――ううん、家の中って言っちゃだめだよね。私のお兄ちゃんの中での評価が、まだどん底の中にあった時。


私の心の中で、燐夜君が。三桜燐夜君という人がどうしようにもなく好きになってしまったことに気付いたこと。
少しでも気を引きたくて、でも内気な私にはできないことで。それに、燐夜君の邪魔をしたくなくて、一番悩んだ時期。
それから一年たって、初めて魔法のことを知って、フェイトちゃんと戦い始めた時と同じように、アリサちゃんとすずかちゃんには心配を掛けちゃった時。私たちのことを頼って欲しいって言ってくれた時には嬉しかったなぁ。
……ちょっと話がずれちゃった。


君が聞きたいって言ったから、私の出した条件までクリアして必死になってやってから教えてあげる。
本当は誰にも見せたくないの。私の心の中だけにしまっておきたいけど、今回だけ、特別に教えてあげるよ? 私の、大切な、大切な思い出。


      ◯


「なのはー。ちょっとお使い頼まれてくれない―?」
「いいよー。何買ってくればいいの?」


12月25日。世間ではクリスマスと騒いでる人が多いけど、私のお母さんとお父さんがやっているお店『翠屋』は、クリスマスのおかげで大忙しなの。そのせいで、お父さんとお母さんが構ってくれなくて、お兄ちゃんとお姉ちゃんもお手伝いしてたから一人で遊んでた時に、お母さんからお使いを頼まれた。
暇だった私は、勿論お使いに行くことにした。


外は、雪が降っていて、ニュースでは十何年ぶりのホワイトクリスマスだーって騒いでたけどよく分からなかった。ただ、外は寒いから、ちゃんとジャンパーに手袋をして、お母さんから買ってくるものをメモしてもらって、お金を貰って、翠屋を出た。


出た瞬間、冷たい風が顔に吹いた。思わず目を瞑ってしまったけど、一旦出てしまえば、あとは気にならなかった。
まだ、午後三時くらいだったはずだけど、通りにはほとんど人はいなかった。私と同じように厚着をして、足早に通りを歩いていく人。郵便局の人が、カバンを持って一軒一軒手紙やはがきを届けているのぐらいしか見なかった。


お使いの場所のスーパーまでは、歩いて二十分くらいのところにある。ちょっと遠いように思う時もあるが、たまには一人で遠くまで行ってみるのもよかった。
車通りも少ない道を一人でテクテクと歩いていく。


特に寄り道もすることがなかったおかげか、すぐにスーパーについた。まだ自分には、ちょっと大きいと感じるカゴを持って、お店の中に入っていく。
お母さんからもらったメモを見ながら、メモに書いてあるものを入れていく。頼まれたものは、七つといつも一緒にスーパーに来た時よりも二つ多くて持てるか不安だった。
すぐに品物を書いてある通りに全部そろえて、レジに並ぶ。


レジの人に色々と聞かれて、いつもはそんなことはなかったからなんだか緊張した。お母さんからもらったお金を出して、お釣りをもらって、カゴを持って台に移動して袋に品物を詰めた。今日買ったのは、豚肉とニンジンとジャガイモ。それに、カレーのルーとかで、今日の夜ご飯は、カレーであることが分かった。


メモに書いてある通りに買うことが出来た私は、嬉しくなった。お母さんに褒められると思ったから。
そう思ってカゴを仕舞って、まだ私には重い袋を持ってスーパーを出ると、私は一瞬にして頭の中が真っ白になった。


「……んあ? おう、なのは」


薄暗い雲の下、雪も降っている中、私にも親しみのある学校の制服にかばんをしょった燐夜君が目の前にいた。いつも会いたいと思ってはいるけど、こんなに急じゃあ何を言ったらいいのか分からなかった。まず燐夜君に会って私がしたことは、自分の気持ちを落ち着かせるための深呼吸だった。


そして、まずは、一番最初に不思議に思ったことを聞いてみることにした。


「ねえ、燐夜君はどうして制服を着てるの? 学校は、もう冬休みだよ」
「ん? ああ、授業にまともに出てなかったからなあ。補修だってさ。ちなみに明日もだ」


冬休みで着ることはないはずの聖祥大付属小学校の制服。けど燐夜君は、学校には行ってたけど、授業はちゃんと出てなかったから、その補修で学校に行ってた。


「途中まで一緒に帰るか」
「うん」


燐夜君の提案に私は、乗る。こういう時でもないと二人でいられることなんて少ないからだ。学校の時は、私にもちょっと悪い所があるんだけど……すれ違っても話しかけないようにお互いしているからなの。


お互いにお互いのことをを尊重し合っていただけに、話しかけられないのはちょっと悲しかった。小学校に入る前は、毎日のように一緒に遊んでいたのに、私が小学校に入ってからは、だんだん遊ぶことは少なくなってた。また昔みたいに戻れたらなって思う時もあるけど、なかなか言い出せなくなって、言い出せない自分に嫌になっちゃう。その繰り返し。


私が考え込んで歩いているうちに両手が軽いことに気付いた。見ると、持っていた筈のビニール袋がなかった。もしかしたらって思ってスーパーに戻ろうとして、そのことを燐夜君に言おうとしたら、さっきまで焦ってたのに、安心しちゃった。
だって燐夜君が何時の間にかビニール袋を持ってたんだもん。


昔から燐夜君は、そういう小さなことに気が利いた。私が転んで怪我した時も、傷口を洗ってくれて、その上にいつも持ち歩いている絆創膏を貼ってくれる。そういうところが、燐夜君のいいところだと私は思う。段々と心がポカポカしてきた。


燐夜君の背中を見ながらそんなことを考えてたら、燐夜君の手が真っ赤なのに気付いた。手袋もしないで寒い中いるから真っ赤になってた。耳も真っ赤だった。……私も耳は真っ赤だったけど。


いつもは勇気が出なくて、自分がやってみたいことはできないことが多いけど。今日だけは、勇気が出せるような気がした。誰も通りを歩いてないから、誰にも見られないということも、その時の私の気持ちにプラスになってた。
だからだと思う。私の内気な気持ちに初めて勇気を出せたのは。


――ギュッ


私は、手袋を取って燐夜君の開いている方の手。右手を握った。いきなりのことに燐夜君は、驚いたようだったけどすぐに前を向いた。寒さでかは分からなかったけど、頬が赤くなっていたような気がした。けど、私は舞い上がっていた。


突然握っちゃったけど、燐夜君は嫌がってないようで嬉しかった。むしろ握り返してくれた。自然と笑顔になっちゃう。こんなに小さなことだったけど、こんなにうれしくなるとは思わなかった。


「……なのはの手は、温かいな」


燐夜君は、急にそんなことを呟いた。やっぱり冷たかったんだ。私が握ったときに、冷たかったから。でも、何だか心地よい冷たさだった。
私は、言う。


「燐夜君の手は、冷たいね。けど、段々温かくなってきたよ」
「なのはのおかげだな」


それからは、燐夜君と手を握って歩いた。私の家の前までだけど、たった十分くらいのことだったけど、とっても嬉しかった。それと同じぐらいに心がバクバクとしていた。ずっと止まらなかった。心の音だけが大きく聞こえて、燐夜君にも聞かれてしたかもしれない。


時間はあっという間に過ぎて、いつの間にか翠屋の近くまで来ていた。中の騒がしさが、外まで聞こえる。まだ、忙しいのかもしれない。けど、裏口から出て表の方に行った時にあった行列が無くなっていた。窓から中を覗いてみると、空席も少しずつ増えてきて、忙しさは無くなっていた。


私が、荷物を受け取ろうと後ろを振り返ると、燐夜君は、居心地が悪そうに立っていた。やっぱり、お兄ちゃんとのことをまだ思っている。私のお父さんとお母さんは、そんなことはない。どっちかといえば、来てほしいって言ってた。お姉ちゃんは、よく分からないって言ってた。
でも、一番はお兄ちゃんだった。


お兄ちゃんは、燐夜君のこと嫌いみたい。さすがに疫病神扱いはひどすぎるから、お父さんに言って説教してもらったけど。
反省する気は、なかったみたい。自分の行いは間違ってないって。俺は、俺がやるべきことをしただけだって。
私は、それを聞いて悲しくなった。また昔に見たいにみんなで笑うことが出来ないんだって、ようやくその時知ったの。


「……悪い、帰っていいか?」
「え? あ! ご、ごめんなさい。ありがとうね、持ってくれて」
「気にするな。俺が好きでやって事だ。じゃあな」


なのはに荷物を渡すと、家に向かって歩いて行った燐夜君。その後ろ姿は、やっぱりかっこよかった。――――そして。やっと、この気持ちが何なのか分かった。
恋。恋ってものなんだ。


私は、燐夜君が好き。どうしようもなく好き。誰になって言われても好き。
燐夜君が好き。そう思うと、すんなり心に入ってきた。今まで気づけなかったけど、今日やっと気づいた。たったそんなことでって言われるかもしれない。思われるかもしれない。だけど、この気持ちは絶対に変わることはない。


なのはは、笑顔で翠屋に入った。


「だだいまー!」
「おかえりなのは。……あら? 何かあったの?」
「えへへっ……ちょっとねっ!」


大好きだよ、燐夜君。


      ◯


と、まあこんな感じで……今、こうしてみると恥ずかしいね。
えっ? 君たちが聞きたいって言ったから、こうして恥を覚悟して聞かせてあげたのに……そんなことを言われちゃうと……


今でもその気持ちは変わらないよ。というより、話した中で、この気持ちは絶対変わらないって断言してるじゃん。今でも大好きだよ。
うん、そうだね。フェイトちゃんとはやてちゃんもそうかな。だって燐夜君は、困ってる人は、絶対に助けるっていうもん。でも、おかしな人だよ、燐夜君。私たちと自分が大切だと思う人がいれば、あとはどうだっていいっていうもん。究極的に言っちゃえば、管理局が無くなったって、世界が滅びたってね。


まあ、そういうところも大好きなんだけど。
ありがとね。昔を思い出して、また頑張れる気がしてきた。さあ、持ち場に戻りなさい。それとも、今度は、フェイトちゃんかはやてちゃんに私と同じように聞くのかな?
私は別に止めないけど……教えてくれるかな? それでも聞くなら、頑張ってねとだけ言っておくよ。
うん、バイバイ。





 
 

 
後書き
一日遅れで、新年明けましておめでとうございます。
今回の話は、クリスマスに投稿する予定で書きあげたのですが、忘れてしまい……いつの間にか年が明けていたという……
まあ、そんなことは棚に上げておいて、いかかでしたでしょうか、なのはの視点で書いてみましたが。いつもより筆が進んで私も吃驚しました。
たまには、こういう感じで息抜きがてら、書いてみるのもいいと思いました。
さあーて、次は誰かな……まあ、察しのいい方々ならすぐに分かると思いますが。
 
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