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麦わら海賊団を支えた神(仮)

作者:空手KING
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力の欠点

ルミスはある島の鬱蒼とした森の中で木に背を預け、荒い息遣いを整えるように大きく深呼吸し、痛みを耐えるかのように右手で左の胸をギュッと強く握り締めていた。
彼の惨痛の表情を浮かべた顔は青を通り越して蒼白となり、額から幾つもの汗が肌を撫でるように流れる。

ーーハァ、ハァ…出るな‼︎…お前は出てくるな‼︎…ハァ、ハァ

彼がこうした状況に立っている理由…それは『ヒトヒトの実・幻獣種・モデル‘‘神”』の能力乱用が理由だ。
彼はこの島に来るまで獣人化を使い続けて飛び続けてきた。
ところどころの島に現在の所在地を知るために降りたりはしたが、長く居たとしても1時間だった。
白ひげとの会合を行ってからずっと飛び続けているルミスには大した休憩にならない。
故に今の状態に至るのだ。
『ヒトヒトの実・幻獣種・モデル‘‘神’’』は万能である……ように思われたが、実は2つ大きな欠点が存在した。
それでは何故彼が幼い頃、無人島にいた頃にその欠点に気が付かなかったのかと言うと、彼が力を乱用する程の敵が存在しなかったからだ。
決してあの島の生物達が弱かった訳ではない。
むしろ強い生物しか存在しなかった、強くなければ生き残ることができなかったと言ってもいいだろう…しかし彼が使うのは自然の力だ。
自然の力に彼がいた島の生物達はいくら強くても勝つことができなかった。
いや、それが普通なのだ。
実際に目にしたことがあるだろうか?
空を駆け巡る龍のような(いかづち)を受けて平気でいられる生物を、自我を持っているかのように暴れまわる竜巻をそよ風程度に受け流す生物を…。
答えは否‼︎見たことがないだろう。
彼がいた島の生物達は確かに強かったが彼の自然の力の一撃で沈み、彼自身能力の乱用をすることがなかった。
故に彼は自身の能力の欠点に気が付かなかった。
しかしロジャーといざ海に出てみればどうだ‼︎
彼のような化物ほどの人や生物は多いとは言えないが存在した。
特に新世界には…。
必然的にルミスはそんな人や生物に対抗するために能力を乱用し続けた。
そんなある日のことだった…身体に異変が現れたのわ…。
白ひげとの戦いで身体が動く限界まで力を乱用し続けた彼の身体に違和感が現れた。
それは心臓を刺すかの様なズキズキとした痛みだった。
彼はその胸の痛みに地を転げ回り、爪痕が残るのではないかというほどに胸を掻き握り、血を吐き、意識を失った。
当初は能力の反動だと気が付かなかった彼は病気か何かだと考えてロジャー海賊団の船医であるクロッカスに見てもらったが目立った病状は見当たらなかった。
それでもやはり心臓が痛くなる。
そして彼はあることを推察した。
それは能力の副作用なのでは?、と…。
実際、彼の心臓が痛くなるのはかなり激しい戦闘が行われた後である。
それも悪化している様子はなく、ある一定量以上の力の行使を行うと痛くなるのだ。
つまり力の制限(リミッター)に限界があるのである。
いや、身体の悲鳴なのかもしれない。
先程制限(リミッター)があると言ったがそれは心臓が耐えれる範囲であるだけで限界突破をして力を行使することだってできる。
しかしそれを行えば彼の寿命が減るか、寿命関係無く心臓が活動を停止する。
彼が何故そんなことを知っているのかというと、彼自身が身をもって体験したからである。
彼がロジャー海賊団にいた頃にそのうち語ることになるであろう大きな戦いがあった。
彼はその戦闘で限界突破を行い、戦闘が終わった時に反動で心臓が一時活動を停止したのだ。
一時で済んだのは彼の運と腕の良い船医がいたことによるものだった。
下手をすれば彼の心臓は再び活動することはなかっただろう。
今までのが1つの大きな欠点である。
いや、1つ目の欠点は2つ目に比べれば小さなものかもしれない…。
2つ目の大きな欠点…それは…。
今はまだ語るのはよそう…。
ただこれだけは記そう。
これは歴代の『ヒトヒトの実・幻獣種・モデル‘‘神”』の人物のことを記した伝記の一部から拝借したものである。
『ーーーソノ青年ハ心優シイ青年ダッタ。
ソノ青年ハ、アル時禁断ノ果実ニ手ヲ出シタ。
禁断ノ果実ハ青年ニ大イナル力ヲ与エタ。
天ヲ裂キ、海ヲ割リ、雷ヲ従エ、灼熱ノ溶岩ヲ纏イ、慈愛ニ満チタ優シサデ世界ヲ包ミ込ンダ。
シカシ世界ハ青年ヲ裏切ッタ。
青年ノ純白ノ翼ハ闇ノ様ニ黒ク染マリ、青年ノ優シサハ怒リヘト一変シタ。
青年ハ世界ヲ人々ヲ友ヲ愛シタ人ヲ壊シ回リ、星モ浮カバヌ夜ニ、存在シナカッタ様ニ灰ニナリ風ニ舞ッテ、消エタノダッタ。ーーー』






ルミスは痛む心臓と自分の中から出ようとする何かとの葛藤が落ち着き始めたことで安心したのか、疲労なのか分からないが、眠るように意識を手放した。








ーー???side

私は今、村外れにある森の中を散歩している。
普段ならピーマン君、にんじん君、たまねぎ君が護衛と言ってついて来てくれるか、メリーが私の体調を気にして付いて来るのだけれど今日は1人になるために屋敷を抜け出してきちゃったの。
あの子達やメリーが付いて来てくれるのは話し相手になってくれて嬉しい。
でも1人になりたくなる時があるの。
だからこうして時々、メリーの目を盗んでは屋敷を抜け出して1人の時間をいろんなことを考えるの。
ウソップさんやルフィさんは元気にしているのかな?って…。
そうそうこの間ルフィさんに30000000ベリーの懸賞金が懸かっていたの!
懸賞首になったことを喜ぶべきなのか、心配するべきなのかちょっと複雑ね…。
写真にウソップさんの後ろ姿が写っていたし、ルフィさんも元気にしているようだから喜ぶべきよね‼︎
ルフィさんやウソップさん達は自分の大きな夢へと向かって少しずつだけど進んで行っている。
実際手配書にルフィさんが貼られたんだもの!
私もウソップさん達に負けてられないわ。
ウソップさん達がもし怪我をして帰って来た時にどんな怪我でも治してあげられる医者になるの‼︎

ドサッ

うん?何かしら⁇
私は音の方へと歩みを進めた。
そして、私はそこで目にしたものに驚いた。

「…妖精⁇」

ふと私は口から意識することなく声が漏れた。
妖精ではないのは分かっていたのに…。
そこで目にしたのは、
木に眠るかのように瞳を閉じて凭れかかっている男の人だった。
でもただの男の人ではないの。

「…綺麗。」

私は彼を美しい絵画を見ている気分になった。
妖精とはかけ離れたような肉体を持つ美青年に森の木々たちの隙間からさす陽光が照らされて幻想的に見えたの。
私は1分ほどその幻想的な光景にボーッと見惚れていたのだけれど、森の中で眠っているということがおかしなことだと気が付き、青年の元に近付き、膝を付いて青年の脈を測る。
脈に異常はないのだけれど、顔色も悪いし、身体が異常に冷たい。
屋敷に運ばないと‼︎
でも私1人じゃ運べないし…どうしよう。
そうだわ‼︎あの子達を呼べばいいじゃない!
私は森に彼を1人置いて行くのに抵抗を感じたけれど、少しだけだと自分に言い聞かせ、村に走り始めた。
そのあと無事に彼を屋敷に運び寝かせることができた。
でも彼って見ない顔ね…。
それにどうして森で倒れていたのか聞く必要があるわ!





 
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