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モンスターハンター ~厄災の狩人達~

作者:島原
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明星の英雄
  勇み行く者達の帰還

 
前書き
(´‘ω‘`)第十話、一生完結話でございます 

 
朝焼けの差す頃、エイン村の千年樹の下。

「そろそろ皆が戻ってこないと時間的にマズイんだがなぁ…。」

エイン村の大衆酒場の玄関でアルフレッドは本を抱えながら待ちわびていた。

「学者にとって『待つ』のは辛いわね。」

「ええ、落ち着いて本も読めません。」

「あなたよくそれでハンター志望とかできたわね。」

大衆酒場の席に座り武器を眺めているアルマ。

「そういえば、アルマさん。
新たな情報は入りましたか?」

「ええ。
フラヒヤ山脈にて翼を持たずに宙に浮かぶ謎の龍。
それに伴い突如断崖絶壁より降り立った冷美竜タンバロン。
前者においてはドンドルマの街で『空飛ぶラヴィエンテ』と揶揄されてたわ。」

「タンバロンは前から調査が進んでいたからいいとして…
『空飛ぶラヴィエンテ』か…。」

「その話詳しく聞かせてもらえぬか?」

どこからともなく現れたのは村長代理のジャノバ。

「ああ、ジャノバさん。
今アルマさんから調査報告を受けていた所なんですが…。」

「ふむ。もしかしたら今朝届いたこの伝書は恐らくそやつの事じゃろう。
ほれ、アルフレッド。こいつはお前宛じゃ。」

「あ、どうも。
どれどれ…、アルフレッド殿。
先日昼頃目撃された謎のモンスターに関しての連絡を文書にてお伝えします。
古龍観測局局長、並びにハンターズギルドマスターとの会合で、
謎のモンスターは『天龍種 和龍フシンブジン』と名づけられました。
エイン村支部のハンターズギルドにこの文書の内容を口伝して頂く様願います。

ハンターズギルド本部、古龍観測局本部職員一同 」

「天龍種とは見た事も聞いた事も無い。
それに、新しくモンスターの分類が作られるなんて獣竜種以来じゃわい。」

と、疑惑が飛び交う中
木材のこすれる音がクエスト出入口から聞こえた。

「いよぅアル!元気にしてたかぁ!?」

爆弾が爆発したような威勢の良い大きな声と共に現れたダイラス
その後ろにエイジ、マトレガ、カーネロス、ノアも居た。

「お帰りラス!
やっぱりそのうるさい声が無いとエイン村は始まらないね!」

「んだよぉせっかく帰ってきたのに!」

何かがおかしい

「…エイジさん、もしかして」

「ああ、飲んだ。三杯ほどな。」

エイジはグラビドXヘルムを脱いだ。

「とりあえずその装備叩き壊しましょうか?」

「…冗談だ冗談。二樽ほど飲んでしまってな。
帰りにもらった水もどうやら酒らしくこの有様だ。」

フラフラになりながらその辺のイスに座るダイラス

「はぁ…、ま、何はともあれまずは無事に帰還できた事を喜びましょう。」

と、感傷に浸ってる間に今度はリオレウスの咆哮。

「なっ、なんだぁ!?
外にリオレウスがぁ!」

早くから大衆酒場に居たハンターの一人が慌てて駆け込んできた。
全員が酒場の外に出てみると

「どうもー!始めましてー!」

リオレウスの背中に乗っかったロギア達。

「やぁ、始めましてアルフレッド。
噂はかねがね耳にしているよ。カルヴォだ。」

「あ、どうも。」

背中から降りてきたカルヴォと握手を交わすアルフレッド。
握手を終えるとアリデシアに向き直った。

「アリデシア=ルートアージさんですね?
始めまして、アルフレッドです。」

「えっ?どうして私の名を?」

周囲も驚く中、アルフレッドは淡々と話す。

「ここにいる皆さんが調合素材の調達に向かっている最中こちらも何か出来ないかと思い、
家の中の古い文献を探っていたら、自分の曾祖父にあたる方がルートアージ家との交流を書き記した文献が見つかりまして。
ルートアージさんだというのは分かりました。名前は曾祖父の推測です。」

「は、はい…。色々とすごいのは分かりました。」

そしてまた荷車の音。

「おーい!帰ったぞー!!」

ガイル達を乗せた荷車が村の入り口に到着した。
セージは見慣れぬ笠を被っている。

「セージさん、その笠…ユクモのですね?」

「ああ、そうだよ。パティオじゃ見かけないから買ってきたんだ。
 笠なんてものは無いから雨の日は装備着込むか家から出ないようにするしかないんだ。」

「なるほど…。」

そして全員に向き直り

「では、皆さんが全員揃って帰ってきたことですし
宴会でも開きましょう!今晩は無礼講です!」

「やったー!!」

酒飲み約数名を含め全員が声を揃えて喜んだ









「な…何じゃと!?」

宴会開始から3時間ほど経ったジャノバ邸
通達された一通の手紙に震え上がるジャノバ

「こ…こんな事が、あってよいのか!?
ぐぬぬ…読み違えたか。不味い事になったわい。」

手紙を机の上に置き

「何としても皆に報せなければ…!」

急ぎ足で玄関へと向かった。









満月の登る夜。大衆酒場で

「そーれ飲め飲め!飲み潰れろぉ!」

出発前より更に凶悪なほどの宴会となってしまっていた。
困った事はこれだけではない

「アルは飲まねーのかよー!」

「あ、あはははは…はぁ。」

非常に良く見られる光景ですね。

「正直僕はお酒が好きじゃないんだ…。飲んでて何が美味しいか分からないよ…。」

「つべこべ言わず飲んでみろって!」

ダイラスは近くにあったブレスワインの瓶をアルフレッドの口に突っ込んだ

「んー!んぐぐぐー!」

アルフレッドが必死にもがくもダイラスの馬鹿力には敵わない。

「そういえばダイラス、あなたワケド村って知ってるかしら?」

さも満足そうに口から瓶を引っこ抜いたダイラスにアルマが尋ねた。

「んあ?何でその村を知ってるんだ?
ワケド村は俺達が火災の消火活動をやってた村だよ。」

「…そう考えるとこの馬鹿力も納得ができるわね。」

アルフレッドは力尽きてしまった。

「あっ、そうだガイルさん!家に帰った時親父が『ガイルが来てる!?こうしちゃいられねぇ俺も参加するぞ!』
って言ってましたよ!」

「何!?そうかあの野郎ようやく飲む気になったか!
ようしねーちゃん酒を追加だ!」

「は、はいただいま…。」

困り果てた顔で受付嬢が奥に消えていった。





宴会も半ばに差し掛かった頃

「あれっ、ジャノバさんじゃないですか。」

毎度おなじみギガントミートのステーキを何と五皿もおかわりしていたセージがジャノバの存在に気づいた。

「全員集まっておるようじゃな。お主らちょっと聞いてはくれぬか?
お前さんだけでも良いわい。アルフレッドは誰かに飲まされて使い物になっておらんし…。」

相変わらず机に突っ伏してピクリとも動かないアルフレッド。

「いいですよ。この中で素面なのは多分僕かアルマさんくらいでしょうし。」

ところがどっこい

「あら、誰が素面だって?」

上半身に服が無いまま歩み寄ってきた

「…前言を撤回します。
話を続けてください。」

「私もお話を伺ってもいいかな?」

カルヴォが酔っ払いの集団から抜け出してきた。

「ちょうどよいわい。わしは学者の意見とハンターの推測を聞きたかったのじゃ。
お主らの様な真面目なハンターがいて助かったわい。

実は先ほど伝書鳩からこのような速達が届いての…。」

ジャノバは二人の前で件の速達を開いて見せた。

「どれどれ…。」

そこには衝撃の内容が書かれていた。





警告速達状   エイン村村長代理 ジャノバ=ホヴディット殿

宵の口に観測気球から、第二種警戒宣言が北エルデ地方全域に発令されました。
内容は『飛竜種の巨大な群れの移動』です。中には獣竜種も含まれており、余談を許さない状況です。
フラヒヤ山脈周辺から発生したこの群れは現在ドンドルマ東部から徐々に勢力を拡大して西へと移動しています。
この速達状の到達から1時間以内にハンターズギルド指定場所へ村民の避難を完了させてください。

ハンターズギルド





「なっ…飛竜種の大移動!?そんなことがあるのか!?」

「わしにもわからぬ!古い文献に飛竜の一斉移動なぞ見たことが無いし言い伝えなども残っておらぬ!
噂で流れてきている情報も無し、太刀打ちする策もあらん!」

困惑するハンター達。

「少しいいですか?」

酔いつぶれたハンター達の中にぽつりと居るアリデシア

「主は…ルートアージの者か?」

「はい…。今先ほどガムロス様から思念波を頂きました。
『このままではこの大陸に住む生物の生態系が崩れる。』と。」

「生態系が…崩れる?」

「こ、こんなことが…。御主らすぐに村民を叩き起こすのじゃ!
残りの者は避難の準備を迅速化させるんじゃ!時間が残っておらん!」

ジャノバはカウンターの方を向き

「ギルドの方からも勧告を出してくれい!わし一人の発言力ではどうにもならん!」

「分かりました!支部長、すぐに全支部員を出動させて今の命令に従いましょう!」

奥から支部長らしき人物が出てきた。

「やむを得んが…分かった。我々ハンターズギルドは一切の職務を放棄!
そこに居るエイン村村長ジャノバ=ホヴディットに従い、村民の避難準備の迅速化、及び避難路の確保を命ずる!
総員、出動!」

その時、

「その必要はねぇ!」

弾け飛ぶ勢いで大衆酒場の扉が開いた。

「おぉ、ハイドじゃねぇか!」

「久しぶりだなガイル!変わってねぇ面構えで安心したぜ。
ギルドマスター!村長!村人の準備はとっくの昔に完了してるぜ。いつでも避難指示を出しな!」

「うむ。エイン村に発令された第二種警戒宣言に従い村民全員避難せよ!」













村民の避難が終わり、避難場所に居るジャノバ達。

「飛竜種の大移動…一体何が起こっているというのじゃ。
わしもここまで生きてきてこんな災害聞いたことが無かったわい…。」

「…もしや!」

ロギアがいきなり立ち上がった。

「どうしたんです?ロギアさん。」

ようやく意識を取り戻し、千鳥足ながらもアルフレッドがジャノバの元へと歩いた。

「うむ、アルフレッドはまだ経緯を把握しとらんな。
ハイド、お主はわしらの話を外で聞いておったんじゃろう。話してやりなさい。」

「分かった。アルフレッド、よく聞いてほしい。
今から一時間ほど前、ギルド観測気球から第二種警戒宣言が出された。
速達状によれば、今この大陸上を飛竜種の群れが勢力を拡大しながら東から西へ大移動してるらしい。
詳しいことは俺たちも分からない。今ジャノバさんが情報収集のためにギルド本部へ速達を出した所だ。」

「飛竜種の大移動…っ!?そんなことが…。
大方事態は把握しました。で、ロギアさんには思い当たる節があると。」

「ああ、俺がドンドルマに移動中にイビルジョーに遭遇した。
古龍災害によって恐らく飢えていたジョーだ。顎のトゲ、牙、全てがボロボロで痩せこけてとんでもなかった。
あんまりだったから生肉を餌付けしたら宝玉を落としたんだ。そしたらこんな現象が起こった。」

「…その現象とは?」

アルフレッドが固唾を呑んで尋ねた。

「不思議な空間に意識を落とされ、そこに居るイビルジョーが口を利いたんだ。
『災厄を終わらせてほしい』と、『飛竜や獣竜は狩る立場であり狩られる立場でもあるが古龍に負けるのは竜の恥だ』と。」

「ということは…」

「ああ。今恐らくその群れを率いているのは他でもない、そのイビルジョーかもしれん。
奴は自らの種族としての誇りを通そうとしてやがるんだ。」

「飛竜の誇り…なるほど。
セージさん、それぞれの行動班班長を叩き起こして下さい。」

「…行くんだな?アルフレッド。竜の誇りを賭けた戦いに。」

「学者として、一狩人として、そして何より後世に繋ぐ伝え人として
この戦いは記録しなければなりません。」

「…フッ、その言葉が聞きたかった!」

酔っ払いの中から突如立ち上がるエイジ、ダイラス、ガイル、その他諸々。

「俺達だって見たいさ。狩人としてな。」

「お前が行くなら俺も行くぜアル!なあ、父ちゃん?」

「ガイル、あの時のケリはまだついちゃいねえぞ。」

一同は円陣を組み

「この災厄、絶対に終わらせる!行くぞ!」

「オオ!」



「若者の活力にはまだまだ驚かされるばかりじゃ…。」 
 

 
後書き
(´‘ω‘`)ども、島原です

(´‘ω‘`)ようやく1章完結です。ここまで書くの長かった…

(´‘ω‘`)なお、第二章はストック2話分しかありませんのでここからペースが格段に落ちます。

(´‘ω‘`)それではこれからもモンスターハンター 厄災の狩人達をよろしくね! 
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