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MS Operative Theory

作者:ユリス
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第三世代MS③

——TMSとTMA、SFSの優劣の傾向——

 MSの行動領域の拡大を目指して開発されたTMSとTMA、SFSのうち、最後に完成したTMSは技術的に最高峰の物と考えられている。

 しかし、すべての面においてTMAやSFSに勝っているわけでなく、TMSの運用性や汎用性、戦闘能力などの要素が、短期での戦闘が多くなると予想されたグリプス戦役において有用と考えられていたにすぎない。

 実際、技術難易度や費用対効果の面では、他の二つに劣っており、これが原因となってU.C.0090年代にはTMSは姿を消していく。兵器の優劣は、戦術の変換によっても変わっていったのである。

 ここでは、グリプス戦役でその技術的完成を見たTMSとTMAの性能について比較する。


①攻撃力

 TMSは通常のMS同様、対MS⁄艦艇用の兵器であるが、長砲身のビーム・ライフルやビーム補助兵器など、攻撃力が強化されているケースが多い。

 しかし、10MW級のメガ粒子砲を装備するTMAと比較すると、攻撃力では劣っている。しかし、TMAは固定火器が多くなる傾向にあるため、兵器の運用性の面ではTMSが勝っている。


②防御力

 TMSは基本的にガンダリウム合金性の装甲が施されているが、防御力そのものは非変形型MSとほぼ同じである。

 これらはサイズが通常のMSと変わらないため、NRX系に見られる重装甲や、サイコ・ガンダム系のTMAが装備するIフィールドなどの防御システムを装備できないことが原因の一つと考えられる。


③機動性

 TMSの多くは重力下での飛行能力を持つ。またスラスター推力が高く、機体重量も軽量であるため、TMAやSFSを上回る最大速度を持つ場合が多く、展開能力に秀でている。

 ただし、機体が小さいこともあって推進剤量が少なく、航続距離は短くなる傾向にある。航続距離の面ではTMAの方が勝っている。


④運動性

 TMSは多数のスラスターを備え、さらにAMBACシステムをMS⁄MA両家一体で使用できるため、運動性の面ではTMAやSFSを大きく引き離している。

 TMAは推進力による強引な運動を行うことや機体が大型のため、AMBACシステムの併用を前提に開発されているTMSと比べると運動性は低くなっている。SFSに乗ったMSもAMBACシステムを活用しにくいという欠点がある。


⑤ペイロード

 TMSは通常のMSと同等のサイズであるうえに、MA形態時にはムーバブル・フレームの大半がデッドウェイトになる。

 そのため、基本サイズが大きいTMAやムーバブル・フレームを常時活用できる非変形型MS、エンジンと推進剤しか搭載していないSFSと比較してペイロード面で劣っている。このためTMSは極限までシェイプした設計で、少ないペイロードを確保している。


⑥コスト

 大推力スラスターや大型火器、ビーム系固定兵装などの特殊装備を持つTMSは開発コストが高くなる傾向にある。更に機体のメンテナンスも複雑なため、コストパフォーマンスも低い。

 これがTMSの廃れた原因の一つである。これと同等に全長40メートルにも及ぶTMAもIフィールドやサイコミュなど特殊な機器を搭載するため、その開発には莫大なコストが必要となる。



——各勢力のTMSの誕生と進化——

 「TMSの開発に先鞭を付けた組織はどこか?」という問いに明確な答えを出すのは難しい。U.C.0085に連邦軍は史上初のTMAであるNRX-044(アッシマー)を開発したが、AEはU.C.0083にMSとMAが融合した、RX-78GP03(ガンダム試作3号機)を生み出している。

 また、アクシズは一年戦争後、作業用簡易機であるガザA及びガザBを製作している。このことから、どの組織もTMS関連の技術を蓄積していたと考えられる。また、各勢力のTMSの実戦投入が同時期だったことも、混乱のもととなっている。

 しかし、各勢力はTMS関連の技術を手中にしながらも、それを実用化するための決定的な一手を持たなかったことは確かであった。グリプス戦役の勃発とともに、各勢力の機密情報が補完し合った結果、同時期にTMSが開発されたと考えた方が正しいだろう。


■エゥーゴ

 エゥーゴの第三世代MSは、AE製の「Z計画」系である。TMS用ムーバブル・フレームの問題で開発は難航したが、MSZ-006(Zガンダム)が開発した後は、MSZ-010(ZZガンダム)などの第四世代MSを生み出した。

 他にもZガンダムの量産タイプのMSZ-007(量産型Zガンダム)や準サイコミュ搭載型合体変形機のMSA-011(スペリオル[S]ガンダム)なども開発させている。


■ティターンズ

 ティターンズには強化人間用実験機の要素が強いTMAがNT研空所より譲渡されていたため、TMSの開発には消極的であった。

 しかし、パプテマス・シロッコ大尉の参加と、AEからのガンダリウム合金(RMS-108(マラサイ))の入手により、RX-110(ガブスレイ)など数タイプの第三世代MSを実用化した。

■アクシズ

 TMSの開発に最も熱心だったのがアクシズである。ガンダリウムγの精製に成功したアクシズは主力機となるTMS、ガザ・シリーズの開発と量産を進めた。

 更に地球侵攻用の水陸両用TMS AMX-109(カプール)や、ZガンダムにインスパイアされたAMX-107(バウ)などを開発している。
 
 

 
後書き
次回 Z計画(プロジェクト) 
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