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MS Operative Theory

作者:ユリス
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第二世代MS①

 
前書き
時代は進み、新たな機体がやってくる 

 
——「新種」への進化を果たした新世代モビルスーツ——

 擬人化の極致と言えるMS。あらゆる兵装を自在に操り、十機以上の精密さで作業を行う腕部、重力下を自由に闘歩する脚部、そしてそのシルエット———————MSが人間に匹敵する機能性とスタイルを持った高度な機器であることに間違いはないが、「第一世代」と呼ばれる初期のMSは姿形こそ人間に近いものの、その構造は人間とはかけ離れた「ヒトの形をした甲殻類」というべきものだった。

 第一世代のMSは、その構造において公国系と連邦系に大別される。公国系は装甲殻で荷重を支えるモノコック方式で、連邦系は装甲殻とその裏に張り巡らされたフレームで荷重を分担し合うセミ・モノコック方式であった。

 つまり、第一世代のMSは「装甲殻=外骨格」方式を採用していたわけで、これが前述で「ヒトの形をした甲殻類」と表現した理由である(コア・ファイターを内蔵する「箱」であるRX-78の胴体などが「外骨格」の顕著な例と言える)。

 装甲と機体支持機構を一体化できるモノコックやセム・モノコックは、ペイロードに余裕のない黎明期のMSにとって欠かすことのできない技術であったが、装甲の破壊に伴う可動不全や、柔軟性の不足といった問題点もあり、早くから改善の必要性が訴えられていた。

 そこに出現したのが、機体を支持するフレームと駆動⁄動力系を一体化した、「MSの駆動式内骨格」ムーバブル・フレームである。

 装甲殻の中に機器を詰め込むモノコックと異なり、ムーバブル・フレームは稼働フレームの外に機器や装甲を取りつけるため拡張性に優れているほか、駆動⁄動力系が一体化されている(ムーバブル・フレーム自体が人間型のパワーパックになっている)ためエネルギー伝達のロスが少ない。また、人間の骨格近い形状と特性を持つため、可動の柔軟性に富むことも特徴であった。

 ムーバブル・フレームの実用化によって「外骨格」から「内骨格」へと進化したMSにさらなる性能向上がもたらされた。それまで一部の高性能機のみに採用されていた高級構造⁄装甲材であるルナ・チタニウム(=ガンダリウム)の新タイプ、「ガンダリウムγ(ガンマ)」の開発である。

 「V作戦」で開発されたRXシリーズに使用されたルナ・チタニウムは、軽量性や対弾性に優れた合金だったが、その生産性の低さから量産機に使用されることはなかった。しかし、U.C.0080年代中期にガンダリウムγが誕生、その生産性の高さから一般機にも広く採用され、MS全体の軽量化と防御力強化が保身されることとなった。

 ムーバブル・フレームという骨格兼肉体と、ガンダリウムγ製の装甲を手に入れたMSは、新たな世代へと進化を果たしたのである。





補足事項

——各組織の代表的な第二世代MS——

 AEが開発したリック・ディアスの出現に始まり、各勢力は後に第二世代MSと飛ばれる新基軸MSの開発、配備を急いだ。結果、グリプス戦役以降、主力機や特殊機と言った仕様に関係なく数多くの第二世代MSが生まれ、各地の戦線を支えることになった。


■エゥーゴ RMS-099(リック・ディアス)

 兵器開発をAEに一任していたエゥーゴでは、他勢力に先駆けて第二世代MSを配備した。代表的なものが、最初期の第二世代MSで士官用のRMS-099(リック・ディアス)や量産機MSA-003(ネモ)である。

 他にも「Z計画」で開発されたNSN-100(百式)も戦線に投入され、エゥーゴは第二世代MSを最も広範囲に使用した組織であったと言える。


■カラバ MSA-003(ネモ)

 地球上で反ティターンズ活動を行ったカラバは、地理的な問題からAEとの取引が難しかったため、友軍であるエゥーゴからMSを譲り受けることが多かった(独自にMSを開発する能力もなかった)。結果、カラバはエゥーゴの主力機であったネモを採用した。

 また、MSK-008(ディジェ)など独自の技術で改修した機体も使用している。


■ティターンズ⁄地球連邦軍 RMS-108(マラサイ)

 RX-178(ガンダムMk-Ⅱ)でムーバブル・フレームを完成に近付けたティターンズだったが、素材開発の遅れにより第二世代MSの量産化は困難な状況であった。しかし、ガンダムMk-Ⅱ強奪事件を契機に、AEとの裏取引でRMS-108(マラサイ)=ガンダリウムγを手に入れた。

 また、PMX-003(ジ・O)などジュピトリス製の第二世代MSも投入された。


■アクシズ(ネオ・ジオン)  AMX-004(キュベレイ)

 AEとの取引によってリニア・シートとムーバブル・フレームを入手していたアクシズでも第二世代MSの実用化が急がれた。

 グリプス戦役ではNT用のAMX-004(キュベレイ)のみが姿を現したが、後にAMX-009(ドライセン)やAMX-011(ザクⅢ)なども登場。AMX-103(ハンマ・ハンマ)やAMX-102(ズサ)など、特殊なフレームを持つ機体も多い。


■ネオ・ジオン AMS-119(ギラ・ドーガ)

 U.C.0090年代には「機動歩兵」としてのMSの在り方が見直され、戦力の大半が第二世代MSとなった。シャア・アズナブル指揮下のネオ・ジオンでもその傾向は同じで、主力機はベーシックなAMS-119(ギラ・ドーガ)であった。

 他にもサイコミュを搭載したMSN-03(ヤクト・ドーガ)が投入されているが、これらはすべてAE製であった。


■地球連邦軍⁄ロンド・ベル RX-93(νガンダム)

 第二世代MSの主力化に後れを取った地球連邦軍で、本格的に導入されたのはAE製のRGM-89(ジェガン)が初となった(RMS-154(バーザム)は大半がティターンズに接収された上、グリプス戦役にはほぼ姿を消した)。

 中でも、U.C.0093に開発されたRX-93(νガンダム)は、「第二世代MSの集大成」と呼ぶに相応しい機体である。
 
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