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古の鉄の巨人を駆る他世界への介入者

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赴任

キョウスケはポケットから取り出した煙草を銜えて火を点す。

「アルク、残りはどのぐらいだ」
「もういないよ、もう全員倒し終わった」
「そうか」

キョウスケが周りを見回すとISを纏って呻き声を上げている女でまみれていた。その数およそ7機、対するキョウスケは肩に担いだ太刀、アルクに至っては小型のナイフ一本だけだった。キョウスケとアルクは束の策略によってISを学ぶ学園、IS学園に行く羽目になった。何故かというと束が日本政府にキョウスケが生きている事をバラしたからである。元々キョウスケはISを動かす事が出来、嘗ては世界最強のIS乗りの双璧の一柱、戦武人(ジークフリード)といわれた程だった。そんな人物が生きているのであれば政府がそれを野放しにして置くはずが無く、キョウスケはIS学園で教師として赴任する事になってしまった。そして腕が鈍っていないかアルクとともに2対7っという状況で模擬戦をしたのはいいのだが、結果はキョウスケとアルクの圧勝。

相手は現在の日本の国家代表に国家代表にも遅れは取らない代表候補生達なのだが…二人にとってはウォーミングアップにさえならなかった。しかも二人は武装のみを展開した状態で戦って見せた。それでも圧勝出来るほどに強かった。向かって来る弾丸は叩き切るか弾き落とす。接近戦を仕掛けてくる相手ならば武器を一刀両断にして、一撃で相手の意識を刈り取る。こうして二人の勝利。これらを観戦していた政府の人間、女尊男卑に浸かりきった女性達は唖然。この勝利に異議申し立てをしたが文句なしの勝利だったのでキョウスケ達は特に何も無かった。納得の行かなかった一部の女は後ろから襲い掛かったが、キョウスケの殺気を受けて失神+失禁して警備員に連れて行かれた。結果、キョウスケとアルクのIS学園への赴任が決定した。

「それにしてもお前はISを如何するんだ?」
「エクナからヴァイスって奴を預かってるよ」
「あれか…確かにアルトとならそいつ以上の相性はないからな」

お互いに慣れ親しんだ服を着てモノレールに乗って学園へと向かっているキョウスケとアルク。キョウスケは自分のお決まりの服装となっている黒いアンダーシャツに赤いジャケットに赤いズボン、アルクもアルクで何時もと同じく白いタートルネックに紫のロングスカートっという服装だった。教鞭を取るのに相応しい服装なのかと言われてしまっては微妙だが、学園側がスーツなどがいいなどと指定してこなかったので何時も通りの服装を着てきた二人であった。

「ぐっ~…」
「本当にこいつに教鞭が取れるのか不安になってきた」

アルクはキョウスケの肩に頭を乗っけながら眠りこけていた。其れも其れの筈、現在時刻は6時20分。キョウスケの心情である指定された時間よりも早く着くっという物によって朝早く起きてきたのだが、アルクはまだ寝足りないようだ。キョウスケは自分の肩の上ですやすやと寝息を立てる妹に教鞭が取れるのか不安を覚えながらIS学園を見た。着実近づいている、自分が決別を決めたISっという存在で溢れる場所へ、この世界を変えてしまった要因の一人が居る場所、皮肉にも決別を決めたもののほぼ中心に自分との婚約を約束した女性が居る。どうも複雑な気分だった。でももう背中を向けるのはやめようと決めた。もうこの篠ノ之 束と織斑 千冬っという宿命からは逃げる事は出来ない。

「そうだな、覚悟とやらを決めてみるのも悪くないかもしれんな」


「まもなくか、新しく赴任してくる教師が来る時間は」

元世界最強の双璧、戦乙女(ブリュンヒルデ)と呼ばれたIS操縦者 織斑 千冬は校門にて本日来ると連絡を受けた新任教師を出迎えをしていた。何故自分かと尋ねてみたが学園長は笑って直ぐにわかるというだけだった。

「あれか」

千冬は前からやってくる二人の人影を見て、それが新しく来る教師だと確信した。が、それは直ぐに驚愕と歓喜へと変換されていた。千冬の視線は一人の男にガッチリと固定されていた。背が高くて自分を包み込んでくれる感覚、凛々しくキリッとした顔立ち、千冬は自分の中に溢れ出して来る思いを押さえつける事が出来なくなっていた。その二人が自分の真ん前に近づいていた時にしっかりと顔を見た。

「本日この学園へ赴任してきたキョウスケ・ナンブとアルクェイド・ナンブだ。宜しく頼む。そして…久しぶりだな千冬」
「キョウスケェ!!」

千冬は自分の中に溢れ出して来た感情を制御する事が出来ずにキョウスケに抱きついた。キョウスケは荷物を落として千冬を優しく受け止めて、背中に手を回して抱きしめた。自分よりも背が低い千冬はキョウスケに包み込まれるように抱きしめられていた。だがその包み込むような感触が千冬に強い安心感とこれが現実なんだと教えてくれる。

「ああ…キョウスケ、キョウスケ!本当にキョウスケなんだな!!?」
「ああ、俺はしっかりと生きているぞ」


「ねぇ、ラブシーンしてるのはいいんだけど、好い加減にしてよ」 
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