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吉良の奇妙な生活

作者:そうん
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第一部「吉良吉影は眠れない」
  第一話「私の名は吉良吉影」

 
前書き
はい、というわけで第一話ですね。今回から吉良を主体とした物語を書いていきたいと思います。
誤字、脱字、表現に誤りがあるかもしれませんが、それでも良い方は是非読んでいただけたら光栄です。まぁ更新ペースは少し遅かったり、早かったり様々ですがよろしくお願いします。 

 
第一話「私の名は吉良吉影」

2013年―S市杜王町_。

私は今日、高校へと入学する。そしてぶどうが丘高校の一員として学校生活を送ることになる。
私としては不本意だ。なぜなら、学校というものは見かけ以上に騒がしく、平穏とは相反する場と認識しているからだ。だから学校は嫌い。正直行きたくもない。だが行かざるおえない、社会へと出るために、私の夢である平穏な生活を手にするためだからだ。どんな手を使ってでも私は幸福に生きてみせるぞ。

「ふぅ・・・。学校か・・・仕方がない、3年間の辛抱だ。」

私は鏡の前に立ち、ヘアーが乱れていないか、制服にシワがないかを確認する。それと、独自のネクタイ。これは必須だ。特にドクロのついたネクタイ。これは私が大事にしているネクタイの中でも一番気にかけているものだ。

「今日は、入学式だな。ある意味特別な日なのかもしれない。よし、これをつけていこう。」

タンスの中にひとつだけ丁重に扱われているそのドクロのついたネクタイに手をかける。
このネクタイをつける日は大抵決まっている。基本は特別な日、言うなれば、入学式、卒業式、発表会等・・・。私としてはあまり使いたくはない。他人に触れられたくもないし、汚したくもない。触れていいのは私のこの美しい手だけ、足はダメだ。足は地面によく触れる。というよりそれが当たり前だ。そんな汚らわしい事はしたくない。一般論では、当たり前だ。といった感じだろう。
そして皆は口を揃えていう、「お前は神経質にもほどがある」「それでよく生きてきたな」「変なやつだな」などと私を罵る。しかし構わない。だが、私の手、ネクタイをけなされるのだけはごめんだ。そんなことをすれば私は怒り狂い、殺してしまうかもしれない。いや、しかし殺しはいけない。理性がそれを抑える。その理性が崩れてしまうと思うと恐ろしい。まぁそんなことはないと思うが・・・。

「よし、では行くかな。それじゃ、しばらくはお別れだ、待っていてくれ・・・愛しの君。」

私は自らが飼う愛する亀に別れを告げ、学校へと向かった。

「S市杜王町。ここは相変わらず賑やかだな。反吐が出る。」

学校へと向かう途中に何度も騒がしい中高生共を度々目撃している。
はぁ・・・登校するときくらいは静かにしてもらえないものか・・・耳が腐りそうだ。

「お、総一(そういち)じゃん、ういっす」

「ぁ、おはよう譲介(じょうすけ)くん」


あ~ああいう奴らを見ていると虫唾が走る。ムカつく・・・挨拶から始まり、無駄な会話が始まる。
嫉妬か?私に友人と呼べる人材がいないから妬んでいるのか?いや違う。
私はこういう性格だ。断じてそういうものではないということはわかりきっている。
しかしなんだ?ジョウスケ?バカみたいな髪型をしているな?恥ずかしくないのか?今時リーゼントなんて古臭い。時代に置いていかれた原人そのものだ。それになんだ?ジョウスケという名が気に入らない。むしろ腹が立つ。なぜだ。彼とは面識も一切ないはずなのに、とても嫌な感じがする。

「今日はいつもより気分が悪いな。うぅ・・・」

いろいろなことを考えているうちに学校は見えてきた。暇つぶしになった。それだけでもまだいいほうだな。

ドカッ!!

目を伏せていたせいか前が見えていなかった。なんだ?ぶつかった?何に?

「おいこら、何ぶつかっとんじゃ!! お~ぉ~。どうしてくれるんだよ!?ぁあ!?服にシミが着いちまったじゃねえか!!」

はぁ・・・また面倒事になっている。またか・・・私はいつもこうよく絡まれるものだ。いい加減にして欲しいものだ・・・。争いは好んでいないからね。

「おい、なんだぁ?シカトかァ!?ぇえ?なんか言ってみたらどうだ?謝罪のひとつも言えねえのか?ぁあ?」

「失せろ。」

「ぁ?なんつった?テメェ誰に口聞いてんだ?ちょっとツラかせや!!」

私は無性に腹が立った。なぜだと思う?そこの大柄の不良が私の大事にしているネクタイを引っ張っている。許さない。

「野郎ォーーーーーーーー!!」

私は思い切り、右足を蹴り上げた。その蹴りは見事にその不良生徒の顔面に命中する。

「うげぁあああああああ!!」

「はぁ・・・大丈夫かい?ドクロ君、傷はないかい?フフフ…。」

お気に入りのネクタイに外傷がないというだけで私はそのネクタイを丁重に撫でる。それもいつも以上に。

「テメェ・・・よくも俺の鼻をへし折りやがったなぁ!!テメェ・・・名を名乗れ・・・殺す前に聞いておいてやる。」

その不良少年はひどく荒れている。自分の顔を傷つけられ激昂している。しかし私に関係など微塵もない。私はこのネクタイを乱暴に扱おうとしたこの男に思い知らせてやる。それだけだ。

「名を名乗れ・・・か・・・いい気になるのも大概にしろ。私はいったはずだ、失せろ。と・・・。
さもなければ私がこのネクタイに対しての怒りを貴様の体にぶつけさせてもらうことになるが?」

「うるせぇなぁ!!その古くせえネクタイなんか知らねえんだよ。俺が知りてえのはテメェの名だけなんだよ!!いいから俺の質問にだけ答えろや!!ダボが!!」

「・・・・・・・・・。今・・・なんと言った?」

もう許されない。彼は踏み入れてしまった。私の領域に足を踏み入れるものは誰ひとりとして許さない。

「ぁあ!?なんだって?聞こえねえなぁ?もっと大きな声で言えよ。」

「今・・・貴様はなんといった!!」

珍しく怒りをあらわにしてしまった。はぁ・・・これだから頭の悪い不良は嫌いだ。この世から消えてしまえばいいのにな。 おっといけない。そんなことを思ってはいけないね。だが・・・それに見合った体験はしてもらおう。

「へへへ・・・なかなか威勢がいいじゃねえか?ぇえ?ここの在校生かぁ?」

「お前みたいなわからずやと話すほど私は暇ではないんだ。さぁ失せてくれ。最後の警告だ。」

「ぁあ!?テメェ今俺のことをバカ呼ばわりしたな?もう許さねえ!!死ね!!」

その男は右手を振り上げ、背後にいる彼の分身のようなものを発現させた。

「こ、これは!?」

「削り取ってやるぜぇえ!!消えな!!ダボがァ!!」

私はあえて4歩後ずさった。男の振り下ろした右手からは空間が削れたような跡を残し、私の目の前へと週間的に移動していた。

「なるほど・・・。そういうことか。ならば私のも見せてあげよう。」

「ぁあ!?ゴタゴタ言ってんじゃあねえよ!!ホレッ!!もう一発っ!!」

再び右手をふり下ろそうとする彼の背後に私は回る。そして彼と同じような、自分の分身のようなものを発現させる。

「キラークイーン!!」

「ぬわっ!?こ、こいつ、スタンド使いかァ!?」

「ほぅ~なるほど・・・色々わかってきたぞ。そうかそうか、スタンドと君たちは呼んでいるのか。
興味深い、なら・・・私のこのスタンド、キラークイーンで貴様を粉々に吹き飛ばしてやろう。」

私は彼には害をあたえなかった。ただ触れただけ、そして私と彼は立ち止まる。

「今、俺に何した?」

「触れただけだが?」

「そうか、それで俺はどうなる?」

「どうにもならんが?まぁ少なくとも私に害を与えなければ・・・だがな。一応宣告しておこう、今私のこの右手に君の命がかかっている。スイッチを押せば、君は爆死することになる。」

不良生徒は私に跪いた。勝者は私だ。この吉良吉影が勝利した。
だから彼は私に跪いている。どうする?

「なぁ・・・助けてくれないか?」

「・・・まぁいいだろう。今回だけだ。許してやる。さぁとっとと失せろ。」

「おう・・・サンキュー。すまねえが・・・名前教えてくれねえか?俺の名は、虹村有伍(にじむらゆうご)だ。」

私は迷った。しかし名乗られては名乗らないわけにはいかない、それがせめてもの礼儀。
私は名乗る。


吉良(きら)・・・吉影(よしかげ)だ・・・。」

私は、この日はじめて名乗った気がする。そしてこの日、初めて直接、この耳で他人の名前聞き取った。念のためだ。記憶しておこう。今後役に立つかもしれないからな。

 
 

 
後書き
第一話、どうだったでしょうか。こんな感じに仕上がってしまったのですが、よければ感想、意見、コメントなどくださるとありがたいです。今後共よろしくお願いします。 
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