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IS インフィニット・ストラトス~普通と平和を目指した果てに…………~

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IS――――通称インフィニット・ストラトスと呼ばれるものは、表向きには世界大会『モンド・グロッソ』のためのスポーツ的な位置づけにあるが、実際は違う。
各国が挙って新作と言いつつも武器を開発したりしている。そう、実質兵器として扱われているのだ。
ISには絶対防御や、シールドエネルギーなどといった操縦者が死なないようにするものがついているが、それは兵器という認識を甘くしてしまうだけにしかならない。しかし、もはや世界中にISが広まってしまった今、ISの回収など不可能であるし、大前提として国家はすでにISに国の防衛などを任せているといってもよい。


兵器としてならもはや旧世代扱いされている戦車や戦闘機があげられるが、ISの前には無力。銃撃を与えてもバリヤーのせいで操縦者には傷一つなし。どこかに被弾すれば、それだけで命の危機。人類はどちらを取ったのか。――――後者の方である。


例え、ISを動かすために必要不可欠なISコアが世界中に480個ぐらいしかなくとも量産が出来なくとも、人類はより強力な方を選んだのだ。
さらに、ISを話すうえで欠かせないのは、ISの欠点といえるのだろうかと思うが、男性には乗れないこと、である。これはISを知ることにおいて必ず知らされることである。ISの登場により、男性の立場が世界的に弱くなり、女性の立場が強くなった。それに乗じて、特段とISに乗って何かできるわけではない女性が今の風潮に乗るように権力に物を言わすようになった。これを女尊男卑という。しかし、その風潮を壊しかねない者が登場してしまった。


名前を織斑一夏。この少年は、女性しか動かせない筈のISを動かしてしまった男なのだ。大々的に報道され、研究員たちが実験をするためにこの少年の家に押しかけたという。だが、この少年織斑一夏の血縁関係を調べると実験材料、即ちモルモットにしようとしていた研究員どもが真っ青になる事実があった。


織斑千冬。
この女性は、第1回IS世界大会『モンド・グロッソ』の優勝者ブリュンヒルデなのだ。第2回大会は、とある事情から決勝戦で棄権したがもし、彼女が出ていたら2連覇は間違いなしであっただろう。そして世界大会優勝が意味すること、それは――――『世界最強』
実はこの二人名前から見て取れるように血縁関係にあり、姉弟なのだそうだ。


姉に世界最強を持つ弟。織斑千冬の名はそれほどまでに絶大なものだったのだ。日本各地から寄って集まってきた研究員たちは、そそくさと逃げるように帰っていった。


そして。
そして、男の身でありながらISを操縦できるものがもう一人。
日本の東北地方のとある田舎の町にその男はいた。


      ◯


「朝ごはん、食べ終わった?」
「ちょっと待ってて!」


小さなアパートの台所にいる青年。青年は、台所から居間にいる同居人に朝食を終えたかと問うとご飯をかきこむ音が台所まで聞こえてきた。
そんなに急ぐ必要はないのにとか思いながら青年は自分が使った食器を洗い始める。スポンジに洗剤を馴染ませたところで、居間の方から同居人が食器を持って台所に来た。


その同居人は女性であった。それもただの女性ではない。
紫っぽい髪を腰よりも少しだけ長く伸ばし、青と白を基調としたふわふわ系の服を背中で黒のリボンでまとめており、何よりも特筆すべきことは、頭につけている機械のうさ耳であろうか。その服装はまるで、不思議の国のアリスをまねたようなそんな感じ。


その不思議の国のアリスのような女性は、食器をシンクに置くと上に掛けられている布巾を取ると、青年が洗い終わった食器を拭き始めた。
青年が食器を洗うと、女性が洗った食器を受け取り布巾で拭いて食器を逆さまに置いて行く。その手馴れた二人の手際はずっとともにいた夫婦のような気がしてならない。しかも、その作業を無言で行っているのではなく、他愛のない話をして笑いながらやっているのだ。
それ以前に同居している時点で、ただの知り合いというわけでもないのだろう。


「終わったよー」
「お、いつもありがとうな」
「わーい! れんくんに褒められたぁー!!!」


ただ感謝しただけなのにと大袈裟かもしれないが、女性にとってはそれが嬉しいことで、勢い余って青年に抱きついた。
女性にれんくんと呼ばれた青年は、台所で避ける訳にもいかず、女性を受け止めて容赦なく押し付けられる女性の豊満な胸に若干気を取られながら、そのまま居間に向かう。


一つのボストンバックとテーブルの上に置いてあった二つのカギを取った青年は、女性にはなれてもらいすでに私服に着替えてあるため、外に出る。女性もそれに続く。
荷物が少ないが、これはすでに向こうの方に送ってあるためである。


外に出ると、もうすでに日は登っていて人の動きも活発になっていた。今の時間は8時30分。ここから目的地までバイクで約5時間ほど。向こう側から入学式には参加しなくてもいいとは言われているが、その入学式が終わるのは12時。向こうにつくのは大体13時。遅刻確定である。
しかし、そんなことは青年にとって些細な問題だった。


近くの駐車場に青年のバイクがあった。
とある人類滅亡したゲームの中に出てきたバイクを真似たもので、黒を基調として所々に赤のラインを入れている。このバイクの最高時速は350km。さすがにそこまで速度を出すことは有り得ないから、体感することはできないが、120kmまでだったら普通に出せる。これが青年の乗る大型バイクだった。
ちなみにこのバイクは、ゲームをやっていて実際に乗りたくなった青年がラフ画を女性に見せてパーツをそろえてもらい、青年が組み立てたものである。


「ヘルメットは?」
「要らない! 束さんにはこれがあるからね!」


そう言って手を掲げた女性――――束の手首にはブレスレットが着けてあった。束曰く、この前の束の誕生日の時に、プレゼントとして渡したブレスレットを簡易型のISとしてシールドエネルギーだけを搭載している。展開できないISということらしい。
何がどうであれ、もし事故っても怪我をする心配がないのならそれで安心である。


「あ、このバイクにもISっぽく改造してるから、本当なられんくんは乗れないんだよ」


もう驚くまい。いつもこの女性には驚かされてきた青年であるから、それなりに耐性がついていてもう、慣れてしまった。
バイクを改造してくれたことに感謝は心の中でして置く。


そんな感謝を心の中にしまいこんだ青年は、フルフェイスのヘルメットをかぶるとバイクに跨る。エンジンを一度蒸かすと、その音が鳴りやむのを待ってから女性が青年の後ろに跨る。そして、前に座っている青年の腰に手をまわして、これで振り落とされないように固定する。そのせいで、女性の豊満な胸が押しつけられてしまっているが、青年は我慢する。どうせ女性に言ったって、押し付けているんだとかそんなことを言うことが目に見えているからである。


周りの人たちから若干注目を集めているが、二人が気にすることはない。
2人とも赤の他人はどうでもいいと思っている節がある。女性の方は人嫌いというレベルではなかったが、何とか青年が少し矯正した。青年はそこまで酷くはないが、関わりを持たない人に対しては大体無視を貫く。


2人は、目的地IS学園に向けて出発した。
この時間から間に合うことはないが、高速道路を使って少しでも早く着こうと青年は努力はしてみる。


IS学園に向かう道の中では2人の間に会話はほとんどなかった。その代わり、青年が高速道路で速度制限を無視して、まだ出したことの無かった時速160kmで飛ばしてきた。そのせいか、女性のテンションがものすごく上がっていた。青年は、こんな速度ぐらいISに乗って体感しているのではないかと疑問に思い、運転中ではあったが問いかけてみた。


「……どうしてそんなにテンションが高いんだい?」
「だって、こんなに風を感じたこと、初めてなんだもん!!」


そういうことか。
確かにISだと操縦者保護機能で受ける風やGもかなりカットされる。しかし、バイクにはそれがない。いくら女性がISらしく改造したって、操縦者保護機能はつくわけでもないから実際に体感できるものが大きく違ってくるのだろう。
納得できる。


青年はヘルメットの中で小さく笑みを浮かべるとさらに速度を上げた。このままでは、法に引っかかって捕まってしまうが……2人には関係のないことだった。この女性がいれば、そんな法なんてあってないものになってしまうのだから。
――――二人のことを知らなければその限りではないのだが。


女性。
名前を篠ノ之束。24歳。
今の女尊男卑の世界を作り出した張本人。IS、インフィニット・ストラトスの発明者。稀代の発明家。そして、極度の人嫌い。


そして青年。
名前を御袰衣(みほろい)蓮。19歳。
とある田舎の高校から難関大学の現役合格を果たしたものの、織斑一夏がISを動かしたことにより行われた全国男性IS適正検査によって見つかった。もう一人の男性操縦者。
本人はただの一般人だというが、ISの発明者と親密な関係にあるのにそれはない。


二人はこれからに複雑な心境ではあったが、何か想いを持っていた――――





 
 

 
後書き
つい勢いで書いてしまった……
これは、自分が悪いけど。誰も束と楯無がヒロインの書いてくれないんだもん。自分で書くしかないじゃん!
まだ楯無でないけどww
しかも続くかすら未定だしww

なのはを続けて書かなくちゃいけないからな。でも最近忙しいんです。頑張る。

 
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