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ゲルググSEED DESTINY

作者:BK201
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第五十四話 悲歌の幻想

「速いッ!?」

『来るぞッ!!』

シンが敵の速さに驚愕し、ハイネが警戒を促した瞬間、彼らは先発の敵部隊と相対した。三機ほど同系統の緑色の機体ビグロ、そしてそれらの中央に荘厳たる様子で突撃してきた明らかに他の三機とは毛色が違う大型MA――――

「あいつ等、またこんなものを!」

シンはそれらのMAを見て思わず激昂する。MAを操縦しているのはおそらくエクステンデットなのだろう。シンは直感でそう感じ取っていた。

『相手の機動力―――油断ならないぜ!各機、散開!元々こっちに引きつけるのが目的なんだ。相手に合わせる必要はねえ!』

そう言ってハイネは強行突破を図ろうとガトリング砲を構えて正面にばら撒く。作戦の関係上補給が出来ない状況で実弾は好ましくないと判断し、ガトリングはビームのみに変更していた。中央の機体を中心に放たれ、広くばら撒かれたビームの雨に躱せないとハイネは確信する。しかし―――

『全弾防いだだと……ッ!』

『三機は陽電子リフレクター――――中央の一機はIフィールドだね』

『厄介な、だが!』

正面に居たMAはどれも攻撃を完全に防ぎきっていた。ビグロにはザムザザーの技術を流用したものなのか陽電子リフレクターが、中央の一機はデストロイと同じようにIフィールドが装備されている。とはいえ、陽電子リフレクターに関しては技術の転用はともかく、機体とのミスマッチがあったのだろう。
直線的に移動するビグロには、本来なら正面に陽電子リフレクターを装備させるのがベストなのだろうが、そうすることが出来ず、ザムザザーと同じように前屈みにならないと展開出来ないようだ。それはビグロの利点とも言える機動力を殺す結果となり、その隙を逸早く突いたのはドラグーンを操るレイと機体の特性を理解しているクラウだった。

『折角の機動力も、その装備じゃ意味ないよ!』

『ドラグーン、狙い撃て!』

リゲルグは月に降り、滑りながらビグロの真下に潜り込んでそのまま上にビームライフルを向けて貫いた。機動力を殺してまで正面の攻撃を防いだビグロは逆にそれ以外の所に対して何の対策のしようもない。
レジェンドのドラグーンも多数展開し、あらゆる方向から狙い撃たれる。勢いを殺したビグロは再び加速して速度を取り戻そうとするものの、間に合うはずもなくあっさりと全方位からの攻撃に残っていた二機のビグロも落とされた。

『シン、ハイネ―――前進しろ!こいつは俺が倒しておく!』

『OK、任せるぜ!行くぞシン!』

「わかった!落とされるなよ!!」

MA部隊に遅れて追いついてきた敵MS隊をレイのドラグーンによる五十を超える一斉射撃によって道を開く。

『ヴォワチュール・リュミエール展開!!』

ハイネのデスティニーの光の翼が展開される。リミッターの許す範囲での最大出力によって一気に加速し、MS隊は当然追いつくこともなく、ビームやミサイル、マシンガンなどによる攻撃を仕掛けても全く通らない。
後に続く様にシンも加速してハイネを追う。ルートは最短距離でダイダロス基地の大型兵器に向かうルートだ。目立つという意味ではこの上なく目立つことだろう。案の定、敵は殆どの部隊をこちらに差し向けてきた。

『ターゲット確認、排除……開始』

「あの兵器まで!まだアンタ達はそんな事を続けようっていうのか!!」

現れる三機のデストロイ。ザムザザーやゲルズゲーなどのMAやダガー系、ウィンダム系統のMSもいるが数はそれほど多くない。コロニーレーザーや中継ステーションに戦力を割いている以上、いかに物量の多い連合でもそこまで余裕はなかったのだろう。

「ウオオォォォ―――!!」

Iフィールドを装備したデストロイ相手に射撃武装が通じないことは分かっているので対艦刀を抜き出して、そのまま一気に駆ける。次々と砲撃を放ち、接近させないように必死に攻撃してくるがデスティニーの幻影を捉えるだけで、本体には一切当たらない。
陽電子リフレクターを展開させて少しでも防御しようとするデストロイ。実際、ただのビームサーベルならIフィールドと合わさり防御できただろう。だが、デスティニーの武装はアロンダイトであり、その程度の防壁は意味をなさない。シンは一刀のもとにデストロイを両断した。

『ついてねえ!ついてねえよ!!』

ダガーLを操縦するパイロットの一人がまさか敵がこんな所まで一気にやって来ると思っていなかったのか、悲鳴を上げながらそう叫ぶ。

『相変わらず、尋常じゃない反応速度だな―――羨ましいぜッ!』

一方でハイネは自身がシン程デスティニーの機動力を生かしきれないことに羨ましさを感じるが、彼にはシンとは違う戦い方があると自分を納得させ、手首に取り付けられた左手のワイヤーアンカーを放つ。鹵獲したストライクノワールとハイネが乗っていたグフのスレイヤーウィップを参考に開発された代物であり、クラウが「ヒートワイヤー?」などと呟きながら取り付けていたのは完全に余談といえる話だろう。

『甘いな!こういう使い方もあるんだよ!!』

ワイヤーアンカーが一機のMS―――ダガーLを捉えて、そのままこちらに引っ張る。その反動やAMBACを利用しながらダガーLは引っ張り込まれて盾代わりに扱われると同時にデストロイに近づく。

『おい、マジかよ……夢なら覚め――――――』

ダガーLのパイロットはそのままデストロイのフレンドリーファイヤーによって撃ち落とされ、ハイネは懐に潜り込んだ。

『そいつの動きじゃ、これは躱せねえだろ!!』

零距離に近づいたデスティニーはそのまま右手でデストロイの頭部を掴み、パルマフィオキーナによって落とされた。

「絶対に止めてみせる!撃たせたりするものか―――死なせるものか、誰も!!」

そう言ってシンとハイネは敵の防衛陣を次々と突破していった。







『シン達は上手くやっているかしら……』

ルナマリアがコアスプレンダーを移動させて砲本体に近づくために移動を続ける。セイバーとゲルググJG型もついてきており、未だ敵部隊との接敵はなかった。シン達は囮としての役割を十全に果たしているということだろう。

「大丈夫だ。此処まで来て俺達が敵と遭遇していないという事はシン達が上手くやってる証拠だ。それよりも、もう少しで予定ポイントに到達するぞ。そろそろ敵との遭遇もありえるはずだ。気を抜くな」

アスランは作戦が順調に進んでいると思い前進する。既に敵の警戒ラインに入っている筈だが、未だに接敵する様子はない。このまま上手くいけば敵と遭遇せずに試掘坑を発見できるか?そう思うと同時に敵が現れた。

「やはりそう上手くはいかないか……」

『敵だと!?こんな所に!』

想定外の接敵に驚いたのだろう。ウィンダムのパイロットは驚愕したのか動きを止める。アスランは躊躇っている暇はないと判断し、接近してMS形態に変形するとともに器用にビームサーベルでコックピットだけを貫いた。緊張が走る。しかし、予想された爆発は起きなかった。機体を爆発させずにパイロットだけを仕留めれたかと気を重くしながらも成功したことに安堵する。
宇宙空間では音は発生しないが、爆発自体は起こるし、センサーが爆発に反応すればこちらの存在が露見する事になる。そうなれば敵部隊はこちらにすぐにでも集まってくるはずだ。ミネルバとラー・カイラムによって敵部隊が引きつけられているといっても、露見してしまえばこちらも危うくなる。

『す、すげぇ……』

常日頃からアスラン達エースパイロットの実力を知るショーンだが、流石にこの技術には目を見張るものがあった。普通にコックピットを貫いたのではこうはならない。爆発はほぼ確実に起こるだろう。この攻撃は卓越した技量とセンスが必要になるものだ。

「感心している場合じゃないぞ。ここに警戒している敵がいたってことはしばらくすれば連絡がつながらない事で異常を察知するはずだ。敵に見つかる時間が少し延びただだからな。急ぐぞ!」

アスランは再びMAへと変形して移動を急がせる。







「さて、Iフィールド搭載機―――ノイエ・ジールと高機動MAのビグロか。どこから漏れたのかな……?」

クラウは一人そう呟きながら残っていた一機であるノイエ・ジールの相手に専念する。本当に、一体どこから漏れ出たのか?クラウ自身、この世界に用意した技術などいくらでもある。Iフィールドやゲルググシリーズ、デスティニーやレジェンドの改造は当然として、オーブにいたリゼルや先程落としたビグロ、目の前にいるノイエ・ジールなどのデータもないわけじゃない。しかし、当然ながらそれらのデータを公開したことはなく、オーブに居た頃のデータとてそこまで多く残っていなかったはずだ。

「実際、ザク、グフ、ドムがいるんだから自力で造ったっていう可能性も無きにしも非ずだけど……」

そもそもガンダムシリーズの機体にガンダム頭があるのは当然の出来事なのでそういった因果のようなもので出来るのかもしれない。

「とはいえ、その可能性は低いだろうし……原因は議長?いや、死してなお暗躍できる『一族』か?それとも根本的に俺の管理が杜撰なのかな?」

色んな世界に行けば管理の仕方なども変わってくるものだったりするだろう。自分にとっては満足いく管理でも相手にとってはお粗末なものなのかもしれない。

「まあ、どうでもいいか―――人間万事塞翁が馬ってね」

どういう結果になろうとも彼にとって気にするようなことではない。自分が壊れてる事は理解しているのだから。ノイエ・ジールがビームを放ってくるがリゲルグの巧みな軌道で躱し続けていた。ミサイルを時々放つが、パイロットはシンの予想した通りエクステンデットなのだろう。上手く迎撃、或いは回避をこなし、こちらが接近しようとしてもビームサーベルや有線クローアームによって迂闊に接近することが出来ない。
自分で見たことあるデータでありながら中々厄介だなと思いつつ、攻略方法を探しているとレイが攻勢に出始めた。本来の状態から背面の円形部分の中央の空きの部分に取り付けられた、直方体に近いレジェンドのドラグーンが一基起動する。残りのドラグーンはビームが通用しないからか、待機した状態のままだ。

『喰らえッ!』

そして、その起動した一基のドラグーンから小型ミサイルが次々と発射された。しかし、ノイエ・ジールはそれを横に逃げることで回避する。本来ならばニュートロンジャマーの影響でまともにミサイルを誘導できないままにそれは無意味に終わっただろう。だが――――

『軌道しろ!ドラグーンミサイル!!』

クラウ自身が付けた名前とはいえ何とも安直なモノにしたと思いつつも、ミサイルがその真価を発揮する。ミサイルは突如として誘導され、ノイエ・ジールに対して追撃してきた。敵は驚愕し、ミサイルの直撃を受ける。早い話がこの兵器は小型ミサイルの内部にそれぞれドラグーンシステムを搭載することでミサイルを誘導させたのだ。
サイズに関してはビームを発射する分のエネルギーをため込む必要が無い為、小型化自体に問題はなかった。問題点は余剰エネルギーが少ないので本来のドラグーンほど誘導が利かない事と、ドラグーンシステムを搭載することで威力が下がったことだろうか。後は普通のミサイルよりも大分高価であり、潤沢な資金があって初めて作れる兵器とも言える事だ。意外と欠点が多い為、レジェンドに取り付けらているのもこの一基のみである。

『何故ミサイルが!?』

しかし、当然敵はそのようなシステムを使っていることなど知らない為、驚愕せざる得ない。ミサイルの攻撃もたかが知れているが、ミサイルに気を取られ隙を見せたノイエ・ジールの懐にクラウは潜り込む。

『く、クソ!?まだ終わらねえぞ!!』

「足掻く必要なんてないさ。運命を受け入れなよ――――」

ビームナギナタを展開してクローアームを二つとも切り裂く。ノイエ・ジールは後ろに下がろうとしたが、クラウはそれを当然許すことなどせず、そのままコックピットを貫いた。







「ええい、ジブリールご自慢の玩具はまたこれか!?」

アズラエルはノイエ・ジールとビグロが落とされたことで喚き立てる。これらの機体は元々はアズラエルが諜報部を通じて手に入れたものだが、製作はジブリールを中心に行われたものだ。だからこそ、アズラエルは自分の責任ではなく、ジブリールの責任だと文句を言う。

「第一ステーション、間もなくポイントに到着します」

「敵艦、なおも接近中―――デストロイ、落とされました」

このままではレクイエムを撃てても二隻に落とされてしまうのではないのかと不安になるアズラエル。プラントを落とせても自分の命が潰えてしまっては意味がないのだ。

「ええい、防衛部隊は総て出撃させろ!あの二隻を何としても落とすんだ!?」

命令を受けて残っていた雀の涙ほどの防衛部隊も(無論、全体から見た話であり、二隻を相手にするには十分と言える量だろうが)出撃させる。レクエイムの発射まであと僅か。果たして誰が勝利を掴むのか。
 
 

 
後書き
ビグロで期待を裏切られたと言われたのでみんな大好きノイエ・ジールを出してみました。その割には物凄く簡単に落とされてしまいましたけど。やっぱりね、ああいった万能機はエースいてこそだと思うのですよ(笑)
レジェンドの秘密兵器その二、ドラグーンミサイル!マザードラグーン的なものから多数の小型ミサイルが誘導されて!威力ないしPS装甲系にはあんまり意味がないから今後このドラグーンの活躍はないかもしれませんが……。
その一は地上で使える腰につけてた二基のドラグーンだったので宇宙に上がってからは取り外されました(笑) 
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